フランス絵画史・影の立役者 Ambroise Vollard

フランス絵画史の影の立役者 Ambroise Vollard

パリの印象派絵画の殿堂といえば、おなじみのオルセー美術館。今ここで、ちょっとユニークなアプローチの特別展示が開催されている。De Cézanne à Picasso, chefs-d’œuvre de la galerie Vollard (ヴォラール画廊-セザンヌからピカソまで)と銘打たれたこの企画は、その名の通り、ギャラリストであるアンブロワーズ・ヴォラール(1866-1939)に捧げられている。
日本ではあまり知られていない名ではあるが、彼が世に送り出した画家達は、そうそうたるもの。セザンヌ、ピカソ、ゴッホ、ドガといったいわゆる印象派および後期印象派の巨匠達や、ピエール・ボナールやモーリス・ドニといったナビ派、アンリ・マティスやアンドレ・ドランといった野獣派まで、まさに19世紀後半~20世紀初頭のフランス絵画史そっくりそのままなのだ。

フランス絵画史の影の立役者 Ambroise Vollard

若き日から画廊ビジネスに興味を持っていたヴォラールは、1894年に弱冠27歳で、パリのラフィット通りに自らの画廊をオープンした。翌年には、まだ世に知られていなかったセザンヌに注目し、大展覧会を開催する。こうしてヴォラールが注目した画家達が、次から次へと大成功を収めてゆくことになるのである。特にセザンヌに関して言えば、全作品の3分の2にあたる680枚が、ヴォラールにより買い取られたのだそうだ。
今回のオルセー美術館の展覧会では、そんなヴォラール画廊から世界中の美術館やプライベートコレクションへ旅立っていった作品が集められている。ただでさえ常設展示にこの時代のフランス絵画が充実しているオルセー美術館だが、この特別展によりその濃度がさらにアップしているので、ファンには見逃せないところだ。

展示は画家ごとにまとめられて、とても見やすくなっているのもうれしい。そして最後のほうには、ヴォラールが世に送り出した画家達による、彼の肖像画に捧げられたコーナーがある。これぞギャラリスト冥利に尽きるのではないかと、見ているだけで感慨にふけってしまう。
ヴォラールは確かな審美眼を持った人物であったのと同時に、辣腕のビジネスマンでもあったので、ピカソなどそれを毛嫌いした画家もいたようだ。しかし、彼のフランス絵画界における重要性が甚大なことには変わりがない。画家とギャラリスト、そして鑑賞者はまさに三つ巴の関係。普段、華やかで美しい作品を見ているだけでは気づきにくい裏舞台に、ちょっと足を踏み入れた気分になれる展覧会である。

De Cézanne à Picasso, chefs-d’œuvre de la galerie Vollard
【ヴォラール画廊-セザンヌからピカソまで】

2007年9月16日まで
入場料(特別展+常設展示) : 一般9ユーロ、割引7ユーロ

Musée d’Orsay【オルセー美術館】
1 rue de la Légion d’Honneur 75007
アクセス : メトロ 12番線 Solferino RER C線 Musee d’Orsay
Tel : 01 40 49 48 00 (代表)
開館時間 : 9:30~18:00、木 ~21:45
休館 : 月
入場料 : 7,50ユーロ、日曜、祝日5,50ユーロ、18歳未満無料、第1日曜 無料
www.musee-orsay.fr

by mayu on 2007-07-11 [アート]
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