『芸術の高架橋』をお散歩 Viaduc des Arts
パリ12区の主要道ドメニル大通りAvenue Daumesnilは、バスティーユからヴァンセンヌの森の方向へと東にのびている。その脇に聳え立つのが、『芸術の高架橋』ことヴィアデュック・デ・ザール。赤レンガ造りがなかなかシックで、たもとにはギャラリーやアンティークショップ、小粋なカフェが並び、まさに『芸術』を名乗るだけある、といった様相。そんな地上を歩くのも楽しいが、本日ご紹介するのは高架橋の上にある散歩道である。
そもそも、何故こんなところに高架橋があるのであろうか?実は、もともとここには鉄道が走っていたのである。RER A線の開通と共に廃止されてしまったが、現在オペラ・バスティーユがある場所にはかつて駅があり、ヴァンセンヌ線と呼ばれる、パリの西郊外に延びる全長約54kmの鉄道路線が存在した。開通は1859年のことだ。バスティーユ駅は取り壊されてしまったが高架橋はその難を逃れ、1979年に緑の散歩道・プロムナード・プランテPromenade plantéeの一部として再出発することになった。
まずはバスティーユからスタートしよう。眼科治療で有名なキャーンズ・ヴァン病院Hôpital Quinze-vingtのすぐ脇から階段を上り、高架橋に上がることが出来る。なおこのような階段やエレベーターはここだけではなく、何箇所にも設置されている(ルドル・ロラン大通りAvenue Ledru Rollinやディドロ大通りBoulevard Diderotと交差するポイントなど)ので、実際のところ出発地点をバスティーユに限る必要はないのだが。
高架橋の上に登っても町の騒音から逃れることは出来ないが、目の前にのびるのは下界(?)からは想像できない、のんびりとした緑のスペース。道沿いにはベンチが設置され、仲睦まじくお散歩する老夫婦、読書に耽るお姉さん、ただただひまそうにしているお兄さん・・・など、近隣住民の憩いの場として立派に役目を果たしているのがわかる。ぽつぽつと花が植えられていたり、突然ミニ竹林が登場したり、微妙な創意工夫がなされているのもご愛嬌。
歩き進むと、右手にリヨン駅が見えてくる。周辺の有名スポットはそれくらいなのだが、普段見慣れている風景をちょっと高い場所から眺めるというのも乙なもの。見えはしないが、アリーグル市場もそれほど遠くないところにある。高架橋のすぐそばにへばりつくように建つ建物も少なくはなく、部屋から緑が見える反面、絶え間なく行き交う散歩者も見えて落ち着かないんじゃないか・・・なんて、余計なお世話の想像が頭をよぎる。
そうしている間に、ランブイエ通りRue Rambouilletと交差する地点に到着する。ここで、赤レンガ造りの高架橋はおしまい。しかしまだ、建造物はぐっとモダンになるものの、プロムナード・プランテとして高架散歩道は続く。電脳ショップが並ぶパリの秋葉原モンガレ通りRue Montgalletを抜けると、かつてはヴァンセンヌ線のルイイー駅があったルイイー公園Jardin de Reuillyに到着。そこからは高架ではなく、地上の散歩道としてパリ境界のポルト・ドゥ・モンテンポワーヴルPorte de Montempoivreまで続くので、体力が残っていたら12区の奥地にまで足を踏み入れてみよう。
Viaduc des Arts【ヴィアデュック・デ・ザール】
http://www.viaduc-des-arts.com/
12区、Avenue Daumesnil沿い
近隣のメトロ駅 : 1・5・8番線Bastille, 1・14番線Gare de Lyon, 8番線Montgallet
*ヴィアデュックとほぼ平行して、バス29番が走っています。
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