食事の前に楽しむアペリティフ。レストランのみならず、街角のカフェなどではお気に入りの一杯でバー・カウンターやテラス席を陣取るムッシュー達の集いもよく見かけます。様々なものがあるけれど、フランスではかつて1805年頃から親しまれていたリキュールがあります。「アブサン Absinthe」。フランシュ=コンテ地方の名産というこのお酒は当時フランス全土で親しまれ、アペリティフのみならず日常的に愛飲されいてた飲み物。ニガヨモギを主原料としているので香草リキュールと言った方がわかりやすいのかもしれません。
かつてゴッホやピカソなども愛飲していたいうこの魅惑のお酒はとても強く、アルコール度数も70%前後。又成分に含まれるツヨンの配合率から過度の摂取によると幻覚症状をももたらす危険性があると言われ、1915年には製造・発売が禁止されてしまったという事実も残っております。が、しかし、基準成分が見直され、1981年OMS(世界保健機構 Organisation Mondiale de la santé/ 英語ではWHO=World Health Organization )により復活。現在では日常的に楽しめるお酒としてここフランスでも親しまれています。
とても強いものなのでお水で薄めて飲むのですが、水を注ぐと薄緑色の原液が白濁することから、同様にこのような白濁の性質を持つリカール(Ricard)やペルノー(Pernod)、サンコンテアン(51)などの銘柄を持つウイキョウ(アニス)で香りをつけた主にマルセイユ名産のお酒、「パスティスPastis」と似ていると思われがちなのですが、実は全く違うもの、なのだそう。
「味も違うし、僕にとっては全く別のものだよ。」そうおっしゃいながらアブサンの魅力を話して下さるのはアブサン専門店のリュック・サンティアゴ・ロドゥグェさん(Luc-Santiago Rodriguez)。昔からアブサンが大好きでこのブティックを2005年にオープン。店内には所狭しと様々なエチケットを持つアブサンが並んでいます。
アペリティフに人気のパスティスも白濁するリキュールですが、アルコール度数は45%前後で主にウイキョウやアニスで香りをつけられており、そして甘味がある。がしかし、アブサンは70%前後のアルコール度数を持ち、ニガヨモギが主原料、そして甘くないこと。どちらも香草リキュールであることから消化促進にはアペリティフならずディジェスティフにもいいのかもしれないね、とおっしゃるリュックさん。でもやはりアブサンはどのお酒とも全く異なる!と笑顔でおっしゃいます。そんな彼のブティックには様々な歴史と共にアブサンを美味しく飲むべくグッズが沢山並んでいます。
まず、アブサンには糖分が全く含まれていないので、そのままでは強すぎて飲めない為自分でお砂糖を加えること。言わば、この工程がアブサンの楽しみ方の一つなのかもしれません。専用グラスにリキュールを3cl(30cc)注いだら、グラスの口に専用スプーンをセット。その上に角砂糖を1粒置き、上からゆっくりお水を注いでいくのです。ポタッ、ポタッと砂糖が溶けてアブサンの中へ。ゆっくり白濁するその変化を楽しみながら砂糖を溶かしたら、静かに混ぜて美しさも楽しむ。そして今度は時間をかけて味わうのです。リュックサンに作り方の画像をお借りしましたのでご覧になってみて下さい。
グラスの下には専用受け皿もあり、その昔カフェで使用されていたというアンティークがブティックで販売もされています。値段ごとに縁の色が違ったという受け皿はフラン表示。そして専用スプーンは本当に様々な形、模様があってコレクターにとってはたまらぬ品揃え。グラスもデザインが色々あり、足首近くに膨らみを施したグラスにはそこにリキュールを溜めて砂糖が滴る様子と色の変化が楽しめるようになっています。(こちらもクリップをお借りしました。)又、みんなでアブサンを楽しむ際に、一杯量のリキュールをすぐに注げるよう、30cl毎に形が施された19世紀のグラスカラフもあります。そしてお砂糖にお水をゆっくり落とす為には専用のフォンテーヌがあり、蛇口の下にコップを添えて少しずつお水を垂らすというもの。もちろんリュックさんのお家にもあるのだそう。作って飲むまで全てがトータルコーディネイトされたアブサン。ピカソやゴッホを虜にしたのもわかる気がしますね。
リュックさんのお店には様々な種類のアブサンが揃っています。人気なのはLa Coquette(56ユーロ / スプーン・グラス付68 ユーロ)。フローラルな香りで優しく、飲みやすい日常向けなアブサン。とはいえどアルコール度数は72℃。1899 年のルセットを基に作られているものなのだそうです。そして300本限定で最近入荷したというのはL’enjoleuse(62ユーロ/ スプーン・グラス付76ユーロ) 。1900年頃のルセットを再現したというこちらも72℃の強いもの。香りがかつてない芳香なものに仕上がっているのだそうです。又、とっても強いものとおっしゃるのがRoquette(58ユーロ / スプーン・グラス付72ユーロ)。何と75%のアルコール度数を持つこちらはエチケットにもある1797年のルセットを再現したもの。かなりの強さです。
又、関連グッズも豊富で、ポスターやポストカード、本、贈り物にも最適なセットになったものなどもあります。ミニチュアサイズなんかもありますので、初めての方やお土産にもぴったり。アブサンの魅力に取りつかれてしまいそうなブティック「Vert d’Absinthe」。ただし、どんなお酒も飲み過ぎにはどうぞご注意下さいませ!
Vert d’Absinthe【ヴェール・ダブサン】
11 rue d’Ormesson 75004 Paris
Tel : 01 42 71 69 73
営業時間 : 12:00~19:00
定休日 : 日・月(*2009年8月ヴァカンス期も日・月以外は通常どおりオープン予定)
メトロ : 1番線Saint-Paul
http://www.vertdabsinthe.com




























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