この上なく貴重なアンティーク手芸材料 Ultramod

古い街並みが残る2区はショワズル通り(rue Choiseul)の端っこに、アンティークなリボンやボタン、生地や糸など、歴史を抱え時と共に眠っている宝箱のような手芸用品店があります。『ウルトラモッド』(Ultramod)。店の真向かいに同じ緑色の店構えを持つ帽子の専門店が姉妹店として向き合っています。時は1931年、その当時はあるマダムが両店舗『ウルトラモッド』の名で経営されていました。当時もリボンやボタンなどを揃え、手芸老舗店でありました。時は流れ、今から15年前に、現オーナーとなるジャン・フランソワ(Jean-François)さんがここを買い取られ現在に至ります。今も尚、向かい合うお店どちらとも『ウルトラモッド』として経営されておられます。

お向かいの帽子店ではゴルチエでも働いておられたというジャン・ピエールさん率いるアンティークな帽子の素敵なお店。かつてエルメスのお仕事も引き受けられた事があるというジャン・ピエールさん。こちらはお宝の宝庫であります。魅惑のショーウィンドウに惹かれつつも、今回訪れたのは手芸店。こちらも驚く程の宝庫なんです。現在こちらに九州ご出身の日本人女性、本田もも子さんが働いておられます。柔らかな笑顔とほんわり優しい雰囲気を持つ彼女、日本では子供服店で働かれプライベートでも手芸にどっぷりつかっておられるという素敵な方。早速色々とお話を伺いました。

ここ、ウルトラモッドで取り扱っている商品の目玉は実際昔から残されているアンティークなもの。店内に足を踏み入れると、少し古めかしい歴史の香りと時を越えた生地の匂いに包まれます。圧倒されるボタン売場を横目に奥へ進むとそのどんつきまで糸、生地、リボンの宝庫。アンティークリボンは一番奥の左側。各色豊富なベロアのリボン。驚く程の色のバリエーション。微妙に違う色合い、全てアンティークなのだそう。約30年前に及ぶというこれらのリボン。美しいベロアの表面を裏返すと、品のあるサテンのもの、又ものによってはナイロンのもの。裏地にも違いがあるなんて今まで気づきもしませんでした。戦前から存在するこれらのリボンはなくなり次第終了。今あるだけのアンティーク。かなり貴重です。

奥にはなめらかな光沢が美しいサテンリボン。しなやかさと肌触りが素晴らしいリボンは幅も様々。色褪せず、素晴らしい品質のまま保管されているこれら、張りと艶の素晴らしさは見れば一目瞭然。その分お値段もご立派ですが、こちらもアンティーク。納得のお値段。販売は全てメートル売りですが、高価なものによっては少しからでも売っていただけるのだそうです。奥のショーケースには縦縞の美しいリボン。こちらは1940-50年代のものなのだそう。ゆっくりゆっくり時を越え、ここウルトラモッドで眠っています。

ふと上を見渡せば、どっしり巻き据えられた生地の山。当時あったものがそのまま保存されているというから驚きです。品質の良さはパリでも有名。リボン同様、劇場関係者の方が衣装の裏地や帽子に使用する為に買いに来られたり、特にサテンはパリの高級宝石店が、ジュエリーBOXの内側に使用する為に買いに来られたりと、お得意様は数知れずなのだそう。フランスの歴史を語り継ぐ物の発端は、全てウルトラモッドから作り出されている、と言っても過言ではない位なのです。

店内中央には1960-70年代の装飾リボンが。刺繍が施されたリボンの数々。見ているだけでうっとり。生地に縫いつけたり、裾にアレンジしたり、歴史の深さを一針一針縫いつけてみたいものです。すぐ側のショーケースには、更に年代もののアンティーク装飾リボンがビッシリ。こちらのお店に一目惚れし、7年間働いているというマーク(Marc)さん、自らもアンティーク生地やリボンを使って手芸をなされ、古き良き時代を今に伝えるお一人です。彼作のアンティークリボンをあしらった小物入れや針入れもこのショーケースに展示されています。

中央カウンターには刺繍糸の老舗DMCのシリーズが古い収納ケースごと残っています。なくなりかけた途中の糸、番号がわからなくなってしまっても、その端糸さえ持って来て下されば、サンプルリストに照らし合わせ糸番と色合いを照合し、同じものを探して下さるというのですから素晴らしい。過去のやりかけ作業などを再開させるにもありがたいですね。又、入口付近には洋裁小物が。陳列棚に積み上げられた古い箱から大切に取り出してくれたのは編み針。靴下用のフランス製の編み針(7ユーロ~)はシンプルですべりのよい細身タイプ。又、お土産にもピッタリなキュートなゴム製の指抜き(4.1ユーロ)もフランス製。クラッシックなメタリックタイプ(3ユーロ)も豊富に揃っています。

入口すぐに構えるのは何とも素晴らしい品揃えのボタンカウンター。アンティークから現代のものまで、どんなボタンでも見つかります。中にはミリタリーボタンなるものがあり、歴史がギュッと詰まった金ボタン。まるで勲章のようです。珍しいものでは、一見シンプルで白いボタン。実は色やデザインを入れる前の染色前のベースボタン(染色はこちらではしていただけません)。あくまで染色用の為、白いボタンと思ってご購入されても時と共にほんのり黄色みを帯びてくるのだそう。こんなボタンは初めて見ました。

紛失してしまったボタンを求め、同じものを買いに来られるお客様。その一つを探してまでも着続けたいと思う気持ち、又ブラウス一枚にしても今度はボタンを変えて新しい雰囲気を楽しみながらその一着を愛する気持ち。そんなお客様に出会う度、ものを大切にする気持の素晴らしさに感動する、ともも子さんはおっしゃいます。既製品にとらわれず、つけ直し、つけ代え、一つのものを長く持ち続けようとするフランス人の方々に出会う度、物への大切さを改めて感じるのだそうです。

又、こちらの店員さんをはじめ、手芸をなさっている方々はどこか非常に穏やかで物腰柔らかく、どんなことにも根気強く付き合ってくれると感じるのだそうです。内面の優しさに包まれながら、素晴らしいフランスの歴史に囲まれ日々感性を養っておられるとおっしゃるもも子さん。本当に親切に色々と説明して下さりますので是非お立ち寄りの際はご指名下さいね。

入口にはアンティークなスライド式レジスター。フラン表示が残されたレトロなそのレジは当時使われていたままのもの。店そのものが何十年も前のままで存在しています。昔のパリを垣間見られる空間、ウルトラモッド。その歴史の数々、是非手に取ってご覧下さい。

Ultramod【ウルトラモッド】
3 et 4 rue de Choiseul 75002 Paris
Tel : 01 42 96 98 30
Fax : 01 42 60 45 57
メトロ : 3番線 Quatre Septembre
営業 : 10:00 – 18:00
定休日 : 土・日・祝

75002 Paris, France

この上なく貴重なアンティーク手芸材料 Ultramod」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: お店も商品もアンティークな手芸店、ウルトラモッド | 乙女チップス | カワイイ情報いっぱいのウェブマガジン

  2. ピンバック: CHECK&STRIPE パリのワークショップのお知らせ | パリ発フランス情報ハヤクー::hayakoo

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