ここ数年で、”パリ郊外” がフランス映画の題材に取り上げられることが多くなってきた。
この映画「tout ce qui brille」(日本語に直訳すると「輝くすべてのもの」)も、パリ郊外に住む二人の女の子のストーリーである。
彼女たちの住む郊外は、暴動の起こるようなとりわけ危険な地域でもなければ高級住宅地でもない、庶民的な郊外の街だ。そんな郊外暮らしの、退屈な日常にうんざりする彼女たち。
2人が目指すものはただひとつ。
自分たちの日常から少しだけ離れたところで輝いている、”パリ” である。
初監督・そして主演も務めるのは20代の若手女優、Géraldine Nakache(ジェラルディン・ナカシュ)。初出演の映画『Comme t’y es belle!』では、気になる彼のためにきれいになる努力をする等身大の女の子役を好演した彼女。
本作は、自身もパリ郊外で生まれ育ったという彼女ならでは生き生きと描くことのできた、郊外に住む現代の20代の女の子たちのリアルな日常である。
エリー(Géraldine Nakache)とリラ(Leïla Bekhti ライラ・ベクチ)は、大親友。二人が住む郊外 Puteaux は、ペリフェリック(パリを囲む環状高速道路)を隔ててパリから10分の距離。
彼女たちにとっての輝くすべてのもの、そして自分たちの人生はまさに、ほんの10分先の境界線の向こう側にあるのだ。
ある夜ひょんなことがきっかけで、2人はブルジョアのアガット(Virginie Ledoyen ヴィルジニー・ルドワイヤン)と元スーパーモデルのジョアン(Linh-dan Pham リン・ダン・ファン)と知り合う。それまでは、ヒップなパリジャンたちの集うクラブに入るためのコードさえも持っていなかった二人。しかし自分たちの憧れていた世界に住む彼女たちに出会った事をきっかけに、2人の日常が少しずつ変わりだす、、、。
エリーはごく普通の家庭の中で育ち、一方のリラは、もう戻ってこない夫をずっと待ち続ける母親との2人暮らし。エリーはサンドウィッチのチェーン店で、リラは映画館の売店で働いている。
2人をとりまく登場人物も魅力的。
娘想いのエリーの父親、リラを一途に追いかける地元の彼、自分の子供の世話をまったくせず他人に任せる元トップモデル、また戻ってくることを信じて、夫と出会ったカラオケバーに毎週通うリラの母親、、、そんな人々の人間味あふれる日常を垣間みているようで、彼らをいとおしく思わずにはいられない。
Adrey Lamy(オドレイ・ラミー)演じる、同じくPuteauxに住むエリーとリラの女友達・キャロルのコミカルなキャラクターも映画に彩りを添えている。
そしてエリーはユダヤ系で、リラはアラブ系だが、映画の中ではこのことに触れていない。そんなことも彼女たちの日常であり、こんなことがありふれているのが、パリやパリ郊外に住む人々の日常なのだ。
そしてやはりこの映画の最大のテーマは、2人の友情である。
ピカピカの上塗りのエナメルがあっけなくはがれてしまうとき、今まで何層にも積み重ねて来た、ほんとうに大切なものの輝きに気づくのではないだろうか。
主役の二人が歌うVéronique Sansin(ヴェロニク・サンソン)の曲「Chanson sur ma drôle de vie」も、思わず口ずさんでしまいたくなる曲。
長い冬の終わり、そして春の訪れの季節にぴったりの軽やかなコメディである。























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