ショッピング街でスーティンを! Chaïm Soutine
マドレーヌ広場、2軒のフォションに挟まれるようにして建つのが、『ラ・ピナコテーク・ドゥ・パリ』。一見普通の建物だが、2000m2という広大な展示スペースを有し、特別展のみを企画する美術館である。2007年6月に、10区のパラディ通りから引っ越してきたてホヤホヤだ。
オープニングのロイ・リキテンシュタイン展に続き、現在開催されているのが、リトアニア出身のユダヤ人で、1920年代のエコール・ド・パリで活躍した画家、シャイム・スーティン(1893~1943)展。モディリアーニとの交友でも知られる彼は、ワイルドな曲線や大胆なタッチで知られ、そのダークな精神世界へのアプローチから、フランスで唯一の表現主義画家ともいわれているとのことだ。
実際に訪れるまでここまで広いとは知らなかったし、公的機関でもないので、正直あまり展示に期待はしていなかった。しかし、これがなかなか見応えがあるではないか。100作品という展示数のボリュームもさることながら、解説もかなり突っ込んだところにまで触れており(なんとユダヤ教の偶像崇拝禁止と芸術の関係まで!)、充実度はかなり高い。カラー刷のリーフレット(受付で1ユーロで販売・仏語のみ)も、持っているとスーティンに関する概要は押さえられるスグレモノである。
ショッピングのついでに気軽に立寄れるような場所に、このように真面目にアートを楽しめる施設がオープンしたということは、非常に画期的と言えよう。
リトアニアの貧しい村から芸術の都パリへ、パリから南仏のセラCératやカーニュCagnesへ、そしてフランス中部のアンドルIndreやシャルトルChartresへ…と、様々な場所で人生を過ごしたスーティンの軌跡を辿りながら展示は進む。バーンズ・コレクションで名高いアメリカの画商、アルバート・C・バーンズに見出され、貧乏画家から一躍夢のリッチライフへの転換。そしてそれに対する漠然とした不安…。このような、スーティンの「人生いろいろ」も、その作品から垣間見ることができる。
貧乏時代は「狂女」「幽霊屋敷」「解体肉」といった、まさに表現主義!といった感じのおどろおどろしいモチーフが目立つ。金銭的にも社会的にも豊かになり、歳を重ねたあとは、子供や田舎の風景を多く描いた。大胆な画風が変わることはないが、それでもスーティンのその時々の心理状態が筆先に繊細に表れているのが面白い。
この界隈に用はなくとも足を運ぶ価値のある展示だが、ショッピングの合間にスーティン作品のパワーでエネルギーチャージするのもいい考えかも!
展覧会 Chaïm Soutine【シャイム・スーティン】
2008年3月2日まで
入場料 : 一般9ユーロ、割引7ユーロ。同時開催の『One Jump』展とのコンビネーションチケットは一般12ユーロ、割引9ユーロ。
La Pinacothèque de Paris【ラ・ピナコテーク・ドゥ・パリ】
28 place de la Madeleine 75008 Paris
Tel : 01 42 68 02 01
メトロ : 8・12・14番線 Madeleine
開館時間 : 10:30 – 18:00 (12月25日と1月1日は14:00~)
休館日 : なし
*併設のブティックも同様の営業
http://www.pinacotheque.com/
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