フランスの若手アーチストの登竜門 Salon d’Art Contemporain de Montrouge

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第54回モンルージュ現代アートサロン会場のラ・ファブリック『明日の傑作に立ち向かう準備はできた?』という赤に黒字で書かれたポスターが町中に見られるのはパリに隣接する人口4万5千人の町、モンルージュ。パリから外環状道路を超えただけで、人気も一気に少なくなり、小さな村にやってきたような静寂さ。2012年開通予定で4番線の延長工事が行われており、注目の町でもある。そんなモンルージュで1976年から開催されているのが、町のビックイベント、サロン・ド・モンルージュ。新進気鋭のアーチストを発掘しようという現代アートのコンペティションだ。

昨年は1万2千人の観客を迎えたこの展覧会。54回目を迎えた今回は、コンクール自体の形式を、より時代に沿ったコンセプトへ改革。キューレータであり、コレクターであるステファン・コレアーStéphane Corréardをアートディレクターに、フランスの現代美術シーンの立役者、パレ・ド・トーキョーのディレクター、マーク=オリヴィエ・ワレー、イル・ド・フランス現代美術基金、ル・プラトーのディレクターのギザビエ・フランセチ、国立近代美術館の学芸員クリスティン・マセルらを審査員に迎えた。

第54回モンルージュ現代アートサロン千数の応募から書類選考された82人の若手アーチスト。前回までは200名が選抜されていたのだが、各アーチストがより多面に渡った効果的な発表ができるようにと今回は、さらに厳しい選考となった。平面、立体はもちろん、ビデオなど今日の現代アートを担う可能性を秘めた作品スタイルのパノラマが見渡せる、そんな展覧会である。

会場となる工場跡、ラ・ファブリックは4000m2の打ちっぱなしのコンクリートに、自然光の入るガラスの屋根。セノグラフィーを手がけたのは、ヨーロッパで活躍中のデザイナー、マタリ・クラセットMatali Crasset。地面に描かれた黄色のマーキング、展示スペースを隔てる圧縮ボード、天井を這うポンピドゥーセンターを想起させるカラフルな配管。そして消化器、分電盤などの既存の設備がごちゃごちゃと点在し、現代美術にありがちな、どこまでがアートなのか、とちょっと戸惑ってしまう楽しい空間だ。

第54回モンルージュ現代アートサロン名誉作家アルノー・ラベル=ロジュ名誉作家として招待されたのは作品がこのサロンのポスターともなっている、アルノー・ラベル=ロジュArnaud Labelle-Rojoux。パリで開催中のフォルス・ド・ラールにも参加している彼は、絵画、パフォーマンス、文章、彫刻と多様な表現方法で、固定観念や人類の過ちなるものにアイロニーを込めて挑発。出入り口からちょうど、右と左の両脇の壁を埋め尽くす作品群が見られる。彼が教鞭をとるニースの美術学校の最終学年の5年生の15名も特別ブースで作品を発表している。

3週間に渡るこの展覧会では、華々しいデビューを迎えるきっかけとなる、芸術関係者らとの出会い、そして作家の発展を支える一般観覧者らとの交流が、カンフェランス、評論会、パフィーマンスなどのイベントを通して試みられる。
また、選考に関わった美術評論家達は、各々が選んだアーチストらの批評を綴ったリーフレットを各300部贈呈。アーチストらの方向性を評価し、今後の売り込みへのバックアップだ。

最終選抜に残った10作家には年末にモンルージュ及びヨーロッパ各地で開催されるヨーロッパ大会への参加権、そして受賞者3作家には2010年にはパレ・ド・トーキョーでの企画展も催される。フランスには国公立だけでも50数を数える美術学校が存在し、毎年卒業する学生の数を考えると狭き門となる新人デビューへの道だ。

第54回モンルージュ現代アートサロングランプリ:キノシタ・カオリ&アラン・デラ・ネグラ今回のグランプリに輝いたのは、我らがニッポン!キノシタ・カオリKaori Kinoshita、アラン・デラ・ネグラAlain Della Negraのユニットだ。バーチャルワールドと現実の狭間に疑問を投げかけるビデオ作品。幸福を追求し、アバターに扮しセカンドライフで生きる人々、そして平行線に現実の世界で続く生活…。
そして、特別賞にオレリー・ポルトAurélien Porte、県議会賞にアントワン・ドロットAntoine Dorotteが輝いた。

受賞者の経歴を見ると、名の知れないアーチストというよりは、現代アートの機関などで作品発表を行っているので、当初の新人発掘という名目とはズレがあるような気もするが、このサロンをステップにさらなる飛躍が期待される。

なんとこれだけの企画に、コンクールへの応募者からの参加費はもちろん、観客からの入場料も徴収せず、モンルージュ市で運営資金も賄われているということに、脱帽だ。しかし、サロン自身の公式サイトがなかったり、パリ市内での宣伝が見られなどの理由からか、訪問した日は土曜日に関わらず、広大なスペースにまばらな観客、と改善すべき点も見られる。それでも、大きなアートコンクールが少ないフランス。他の自治体でのこういった企画を活性化が願われる。

第54回モンルージュ現代アートサロン 第54回モンルージュ現代アートサロン

54e SALON D’ART CONTEMPORAIN DE MONTROUGE 2009【第54回モンルージュ現代アートサロン】
会期 : 2009年4月30日〜5月20日12:00〜20:00、水曜日、5月6日、13日、20日〜22:30
会場 : La Fabrique, 51, avenue Jean Jaurès 92120 Montrouge
パリからのアクセス : メトロ4番線Porte d’Orléansよりバス68番線 : Châtillon-Montrouge行きにてPlace des Etats-Unis下車、メトロ13番線Châtillon Montrougeより同じくバス68番線
www.ville-montrouge.fr/

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