アポリネールの想いは今も / ミラボー橋 Pont Mirabeau
15区はコンヴォンション通り(rue Convention)、エミール・ゾーラ大通り(Avenue Emile Zola)、バラール通り(rue Balard)の3本がちょうど一つに集まったセーヌのふもとから架かる橋、ミラボー橋「Pont Mirabeau」。15区と16区を繋ぐこの美しい橋は鮮やかな緑色に黄色を落としたような何とも言えぬ美しい色合い。遠くから見ても一目瞭然にミラボーだ、とわかる存在感溢れるもの。全長173mのアーチ形式、その幅20m。鋼鉄でできたこの橋は1893年に当時のフランス大統領サディ・カルノー(Marie François Sadi Carnot1837-1894)の指示により、1895年から1897 年にかけてエンジニアのポール・ラベル(Paul Rabel)の指揮のもと作られました。ローマ出身のポーランド人詩人・アポリネール(Guillaume Apollinaire 1880-1918)の詩集「アルコール Alcools」の中にある作品「Le Pont Mirabeau –Sous le pont Mirabeau, coule la Seine-」にも残っている有名な橋。
今となっては有名なピカソやコクトーなどの画家達・詩人達がその昔集まり住んでいたというモンマルトルにあるアパート、「洗濯船(Le Bateau Lavoir)」のアトリエにてアポリネールが制作活動中に、フランス画家マリー・ローランサン(Marie Laurencin 1883-1956)と出会う。アポリネール26歳。マリー23歳。二人はやがて恋に落ちるも、1911年に起きた「モナ・リザ」(レオナルド・ダ・ヴィンチ作)を盗んだ容疑の疑いでアポリネールが逮捕されたことから、彼女との仲は破局を迎えてしまう。結局彼は無罪だったことがわかったけれども、マリーの気持ちはすっかり消沈し彼の心は届かぬまま終わりを告げてしまう。彼女のことが忘れられず綴った想いが彼の作品「Le Pont Mirabeau –Sous le pont Mirabeau, coule la Seine-」。その切ない詩はシャンソン歌手レオ・フェレ(Leo Ferre 1916-1993)により作曲され唄われ、シャンソンの名曲ともなったのは有名なこと。マリーとの恋がはかなくも情熱的であったことをセーヌの川の流れにたとえ謳い、また今も変わりないことを綴っているのが印象的な詩。アポリネールはその人生を終えるその日まで、マリーのことを想い続けるも38歳の若さでスペイン風邪に侵され亡くなってしまいます。片時も忘れることのなかったマリーへの想いを託したミラボー橋。そんな彼の想いを象徴するかのように、今も変わらずセーヌに架かっています。
美しい色が特徴的なミラボー橋。近づくにつれその色合いも変化して見えてくるのが魅力。ゆっくり歩いて眺めるのもいいし、全体を流れる景色で見たければ62番線のバスに乗って眺めるのもお勧め。橋を隔てて望むのは凛々しいエッフェル塔。鮮やかなミラボー橋の色ととても美しく映えるビューポイント。側を歩いたなら是非見て頂きたいのが、セーヌ川をまたいで橋の左右4か所に4体の彫刻が施されていること。橋から覗きこめばすぐ側に見える距離。これらはフランスの彫刻家ジャン=アントワンヌ・アンジャベール(Jean-Antoine Injalbert 1845-1933)によって作られたもので、橋をまたいで2艘の船が置かれている設定で、それぞれの船にまたがる2体の女性像が船の前と後ろに座った形で像となっています。4体は斧を持って座り構える「La Ville de Paris」、左手の斧を振りかざした裸体の「La Navigation」、槍のようなものを天にかまえる「La Commerce」、ラッパのようなものを吹いている「L’Abondance」と名付けられています。何ともリアルで表情豊かなこの4体。じっくり歩いて覗いて見てください。前から横から上から。。。見る角度によって雰囲気もがらり違います。
アポリネールの想いが込められた美しいミラボー橋。彼の想いを感じながらこの橋を渡れば、遠き昔のフランスの歴史を感じられるかもしれません。
Pont Mirabeau【ミラボー橋】
15区Rue Conventionをセーヌ川に向かった終点辺り
メトロ: 10番線Javel / Mirabeau
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はじめまして。
以前ミラボー橋の近くに住んでいましたので、
とても懐かしくこの記事を読ませてもらいました。
4体の像についても詳しく書かれていて、勉強にもなりました。
夜のミラボー橋も像がライトアップされて美しいですよね。
コメント by kou - 2009-08-10 @ 5:59 am
*kouさま
このお近くにお住まいだったとは!素敵な地区にお住まいだったんですね。
遠くから見ても近くからみても、存在感タップリの橋で、周りもまた静かな住宅街が広がりとても綺麗な場所ですよね。
夜もまた違う雰囲気で美しそう!
昔の懐かしい風景を思い出して頂けたらたならとても嬉しいです。
コメントいただきありがとうございました。
コメント by junko - 2009-08-13 @ 6:16 pm