キッチュとゴシックのあいまで Pierre et Gilles
チュイルリー庭園の西端、コンコルド広場に面した『ジュ・ドゥ・ポーム』。1861年にナポレオン三世が、テニスに似た同名のスポーツのために作らせたという、由緒正しい建造物である。1909年には既にエキジビジョンスペースとしての使用が開始されており、1987年の建築家アントワーヌ・スタンコAntoine Stincoによる改装を経て、現在に至る。なお、2004年には他の2つの写真関係機関と統合され、まとめて『ジュ・ドゥ・ポーム』として、当コンコルドとマレ地区にあるシュリー館の2箇所で展示を行うようになった。
現在この『ジュ・ドゥ・ポーム』のコンコルドで開催されているのが、フランスの現代アーティスト『ピエールとジル』の回顧展。この二人組の本名はそれぞれ、ピエール・コモワPierre Commoyとジル・ブランシャールGilles Blanchardという。公私ともにパートナーで、出会った1976年からずっとラブラブ二人三脚だというのだから、うらやましい。彼らの作品は日本でも一時期大流行して、そのキュートでキッチュな作風ゆえに、特にオリーブ少女層に支持されていたようだ。しかし実際のところ彼らが扱うテーマは、本人達のセクシャリティである同性愛、社会問題、宗教となかなか深い。
人物写真に、極限まで強調されたカラーリングやイラストを施すというのが彼らのスタイル。額縁まで遊び心あふれたピエールとジルテイストなので、そこでも楽しめる。モデルとなるのは、彼らのゲイ仲間や有名人、そして本人達とさまざまで、総ての作品にモデル名が明示されている。有名人シリーズには、マドンナ、カイリー・ミノーグ、カトリーヌ・ドヌーヴ、レティシア・カスタ、ミレイユ・マチューとそうそうたる名が並び、ピエールとジルの現代アーティストとしての国内外における評価の高さが伺えるようだ。なお我らが日本代表は、野球界のスーパーヒーロー新庄剛志選手であった。
フランスのあるレヴューの言葉を借りれば、キッチュさとゴシックさのあいまをただよう、ピエールとジルの世界。しかし、二人のメインテーマである、現実ではなかなか直視できない・されない社会や人間の一面も、彼らの手にかかればファンタスティックなイメージに変わる。同時に、その人工的な美ゆえのはかなさ、物悲しさがそこにあるのも事実。ピエールとジルが生き抜いて、そして感じ取った20世紀後半という時代が、ここに展示されている作品にこめられてメッセージを発しているのである。
ただし、彼らの性の表現はショッキングといえるほどストレートで、中には日本ならばボカシが入ってしまいそうな作品もあるので、その手のものに不快感がある方は遠慮したほうがいいかもしれない。
展覧会『Pierre et Gilles, double je 1976-2007』
2007年9月23日まで
Jeu de Paume Site Concorde【ジュ・ドゥ・ポーム】
1 place de la Concorde 75008 Paris
メトロ : 1・8・12番線 Concorde
Tel : 01 47 03 12 50
入場料 : 一般6ユーロ、割引3ユーロ
開館時間 : 火 12:00 – 21:00、水~金 12:00 – 19:00、土・日 10:00 – 19:00
休館日 : 毎週月曜、12月25日、1月1日、5月1日
http://www.jeudepaume.org
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