カラー写真で見るノスタルジー Paris en Couleurs
パリほど、モノクロが似合う街があるであろうか。
ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)や、ウィリー・ロニ(Willy Ronis)らによるパリを被写体とした回顧展がしばしば催され、大盛況の内に終わるのも、白黒写真から滲み出すノスタルジックなパリの魅力のおかげだろう。
今回の、この写真展を目にするまで、私はつねにそう考えていた。
映写機を発明したリュミエール兄弟(Louis et Auguste Lumière)がオートクロームを開発し、1907年6月ある新聞社にて、600人の招待客を前に披露したのが、カラー写真の歴史の始まりとなる。
それから、一世紀。
このカラー写真による写真展が、「カラーのパリ~リュミエール兄弟からマルティン・パーまで(Paris en Couleurs~Des Frères Lumière à Martin Parr)」と題して、パリ市庁舎(Hôtel de Ville)で開催されている。
展示は、3世代に分けられており、まずは、1907~1930年。
レオン・ギンペル(Léon Gimpel)の作品「Hôtel de Ville(1907)」や、「Olympie」の展示から始まる。そして、ステファン・パッセ(Stéphane Passet)や、オーギュスト・レオン(Auguste Léon)らのパリの街角や、人々の生活の姿がそのまま伝わってくるような作品へと続いていく。(写真は、パッセの「Moulin Rouge(1914)」。)
カラー写真と言えども、作品の中の石畳や、建物はグレー色。それに映る、例えば、花売りの艶やかな花々、宣伝用のポスター、または、地上階のペインティングされた店舗などは、まるで、モノクロ写真に色を加えたかのように、逆に鮮やかで新鮮なのである。
その横には、小さなスライドスペースが設けられており、「戦争中のパリの顔(Visages de Paris Pendant la Guerre)」がエンドレスに投影されている。
ドイツ軍の占領時から開放までの、パリの人々の様子がいきいきと映されているのがとても印象的。
次に1930~1960年に移る。
こちらでは、ドアノーの写したサヴィニャックのポスター群(1959)や、ロニ、ブラッサイ(Brassaï)、ロベール・キャパ(Robert Capa)らによるパリの街の風情が、よりクリアなカラーで展示されている。
色付きのドアノーや、ロニの作品も…良い感じではないか!
こちらのスペースには、日本人写真家イヘイ・キムラ(木村伊兵衛)の「Dance(1955)」を始め、7枚の作品も展示されているので、見落とさないように。
その向かいのスペースに展示されているのが、このいかにもパリらしいエルネスト・アス(Ernst Hass)の作品、「Vue de Notre Dame」、「Escalier à Montmartre(1954)」である。被写体が被写体だけに、カラー写真というより、モノクロチックに仕上がっているが。
1950年も半ばを過ぎると、美しい街並みを撮り続けてきた写真家達にも変化が起きる。
新しいモードの時代。ヴォーグに代表されるようスタジオ内でのモデル撮影など、ドアノー、キャパらが新たな被写体に目を向けていったようである。
上階は、1960~2007年に到るまで。展示作品はぐ~んと現代らしくなる。
写真家達の被写体も、より現実的なものへと移っていくのと同時に、ピエール&ジル(Pierre et Gilles)のように、写真に手を加え、完璧なアート作品に仕上げる手法も登場!(写真は、ピエール&ジルの「Les Amoureux de Paris(1990)」。)
ドアノーや、マルタン・パー(Martin Parr)らの写真を鑑賞していき、ラストを飾るのがフィリップ・ラメット(Philippe Ramette)の合成写真「Contemplation」。非現実的なシチュエーションが芸術なのだろうが…私には、受け入れ難い作品である。
カラー写真で見てきたパリの100年。
これからも、この魅力的な街は、最新の写真技術により記録され続けていくことだろう。
最後に、この写真展、かなり人気のようで、最低30分は外で待たされる事と思われます。
あらかじめ、その心つもりでお出かけ下さい。
Hôtel de Ville (Salon Saint-Jean)【パリ市庁舎】
5 rue Lobau 75004 Paris
メトロ : 1番線Hôtel de Ville
開催期間 : 2007年12月4日~2008年3月31日
開館 : 月曜~土曜日10時~19時
閉館 : 日曜、祝日
入館 : 無料
館内にて、写真集「Paris en Couleurs」販売(39ユーロ)
パリ市庁舎で開催のエクスポジションはこちらでチェック!http://www.paris.fr
by chiharu on 2008-02-07 [アート]
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