ローマ教皇が南仏に居住した68年間 Palais des Papes

ユネスコ世界遺産に登録されているアヴィニョン教皇宮殿Palais des Papes教皇と言えば、バチカン市国なのだが、クレメンス5世Clément VI(在位1305年 - 1314年)によって、南フランスはアヴィニョンAvignonに教皇庁が移転した時代があった。アヴィニョンに教皇が居住するようになったのは1309年のことだ。

床面積1万5千平方メートルと中世のゴシック建築では世界的規模を誇る、アヴィニョン教皇宮殿Palais des Papesは1995年よりユネスコ世界遺産に登録されている。
1335年から、ベネディクトゥス12世Benoît XII(在位1334年 - 1342年)及びクレメンス6世(在位1342年 - 1352年)の下、14世紀のローマカトリック教会のシンボルとされる教皇庁が建造された。隆起した岩山の頂上にそびえ立つ様相は、神々しさを高め、ローヌ川をはさんだ対岸、ヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョンVilleneuve-lez-avignonからはアヴォニョン中心部の全景と共に、絶景が見られる。

演劇祭Festival d’Avignonのメイン会場ともなる教皇庁広場から入場。サン・ベネゼ橋との割安になった共通券、又は教皇宮殿のみの入場券が入口で購入できる。購入時に、アヴィニョン・パッションAvignon Passion(各観光名所で入手可)をもらっておくと、お得。アヴィニョンの入場有料の観光名所を1件目を全額払うと、2件目から割引価格が適応されるのだ。

旧宮殿と新宮殿が集まる名誉の中庭Cour d'Honneur日本語のオーディオガイドもあるので、是非、貸してもらおう。教皇宮殿内には、聖像や調度品と言ったものはなく、がらんとした建築空間を楽しむことになるからだ。オーディオガイドの説明を聞きながら、当時の様子を思い浮かべ、想像をかき立てよう。

観光は名誉の中庭Cour d’Honneurから始まる。東部と北部のベネディクトゥス12世が建てた旧宮殿と南部と西部のクレメンス6世が建てた新宮殿が集まる中央部となる。

アヴィニョン教皇の宴の場グラン・ティネルGrand Tinelグラン・ティネルGrand Tinelは宴が開かれた場所。教皇に次ぐ高位聖職者、枢機卿が任命された時や、教皇の戴冠式と言った特別な機会にのみ使われた。庭に面した東の6つの窓から自然光が燦々と降り注ぐ大きな部屋だ。クレメンス6世は、天空のような金がちりばめられた青い布で天井を覆わせた、とあるが1413年の火災によって、この天井装飾も宗教画のフレスコの壁も破壊されている。今日の木材が上張りされたボールト(曲面天井)は1970年代に修復されたもので、14世紀当時を目をつむって想像してみるしかない。隣接したキッチンに向かいながら、オーディオガイドに耳を傾けると、豪勢な宴に要した食材の数から、当時の豊かな環境が伺える。

教皇の部屋Chambre du Papeは青いフレスコ画の壁とモザイクの床サン・マルシャルのシャペルchapelle Saint-Martialのフレスコは2005年に修復されたばかり。リムザン地方出身のクレメンス6世は、同地の聖マルシャルを特に崇め、リモージュの聖マルシャル伝をマテオ・ジオバネッティMatteo Giovanettiに依頼した。ヨーロッパ中の画家を集めて制作されたこのフレスコには、初期のアヴィニョン派école d’Avignonのクオリティーの高さが見られる。48万ユーロを費やしたこの修復によって、聖マルシャルの伝説が鮮やかに蘇った。

教皇の部屋Chambre du Papeは青いフレスコ画の壁とモザイクの床。移動式の壁で部屋を分割し、教皇は使えの者と同室で寝たと言われる。カラフルな装飾の私的空間に、当時の栄華がひしひしと感じられる。

壁のイエズスのモノグラムI.H.Sからイエズスの部屋Salle de Jésusと呼ばれたこの部屋では、枢機卿は教皇の着替えを待っていたとされる。15世紀に教皇庁が移転してから、教皇の使節によって食堂に改装され、17世紀にはスイス衛兵の部屋とアパルトマンへの控え室となる。壁には、教皇の特派使節補佐の紋章と名前が見られる。

4年間で完成したグランド・シャペルGrande Chapelleペストが流行る中、わずか4年間で完成したグランド・シャペルGrande Chapelleは長さ52m、幅15m、高さ20mの外陣で構成されている。ステンドグラスが設置されるまでは、マテオ・ジオバネッティが鑞で描いた赤、黄色、緑の唐草模様の布が張られていたという。クレメンス6世以後の教皇のセレモニーが行われた場所がここである。

1377年まで続いた、ローマカトリック教会の長、教皇がこの地に居住したアヴィニョン捕囚Papauté d’Avignon時代。その栄華と陰が伺われる教皇宮殿は、建築物としてだけではなく、フランスそしてカトリックの歴史的背景からも、一度は訪ねてみたい歴史的建造物だ。

また、空っぽな宮殿内ではミューゼ・ド・ルーヴルLe Musée de l’Oeuvreと題して、パネルや石像などで、関連する歴史を紹介している。

Palais des Papes【教皇宮殿】
開館時間 : 9:00〜19:00(季節により異なる)
入場料 : 9,50ユーロ(11/1〜3/14は7,50ユーロ)、サン・ベネゼ橋との共通チケット11,50ユーロ(11/1〜3/14は9,50ユーロ)
http://www.palais-des-papes.com/

by aki on 2008-05-23 [バカンスへ行こう]
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『ローマ教皇が南仏に居住した68年間 Palais des Papes』へのコメント1件

  1. […] 城壁に囲まれた中心街intramurosの入口、アヴィニョン・ソントル中央駅前がTGV駅からの最終点。中心に向かって、メインストリートのCours Jean Jaurèsを進むと、右手に観光局があるので、観光市内地図をもらおう。そのまま、まっすぐ進むと時計台のある市庁舎と劇場がある時計台広場Place de l’horlogeに出る。天気がよければ、カフェのテラスがたくさんでているので、ここで一休みしたい。さらに、北に上ると、アヴィニョンを代表する歴史的建造物、教皇宮殿Palais des Papesだ。お隣のノートルダム・デ・ドン大聖堂Cathédrale Notre-Dame des Domsの上に立つ金の像も、遠くからも輝いて見える町のシンボルだ。 […]

    Pingback by 城壁に囲まれた古都とアヴィニョンの橋 Avignon »パリ発フランス情報ハヤクー::hayakoo - 2008-06-09 @ 10:46 am