ロワール川河畔の元ブルターニュの首都 Nantes
世界史で『イゴクハないナントの勅令』なんて、語呂合わせをした方もいるかと思いますが、ナントと言えば、ナントの勅令。1598年にアンリ4世がプロテスタント教徒らに信仰の自由を認め、宗教戦争の終わりを告げた法令だ。そんなナント市はフランスは西部に位置するロワール川右岸に広がる人口28万人の町。サッカーファンには、98年のワールドカップ、日本VSクロワチア戦が行われた都市として知名度が上がったかと。
ナント市は現在、ロワール・アトランティック県の県庁所在地となっているが、10世紀にはブルターニュ地方の首都でもあった。そんなわけで、今でもナントの住人は自称、生粋のブルターニュ人と、言う訳だが、現在のブルターニュ地方には含まれていない。今日見られる修復されたブルターニュ公爵城は、城壁、中庭、お堀は無料で散策できるようになっている。ブルターニュ公爵が13〜15世紀迄居住していた城中は、ナント歴史博物館となり、絵画、彫刻、地図、工具、家具など800数のコレクションが32室に渡って展示されており、ナントの歴史を知る上で重要なポイントが押さえられている。
お城の横には1434〜1891年に建てられたゴシック建築のサン・ピエール大聖堂。装飾が少ないのっぺりとした2つの塔など同世紀のゴシック建築に見られる素晴らしい装飾に比べて、あっさりとした外部だが、その分、内装に力が入っている。大ミサのみに開かれる大扉は、1481年に作られたもので、ナント勅令の発布の際に、アンリ4世が通ったのもこの入口だ。内部は修復によって取り戻された壁面の石灰の白さに、近代的なステンドグラスが美しい。全長103mの身廊は高さ37.5mとパリのノートルダム寺院を4m上回る。
ナントと言えば、八十日間世界一周』で知られるSF作家、ジュール・ヴェルヌの故郷でもある。1828年に彼が生まれたのは、ロワール川の中州のフェイド島だ。水上交易が盛んだったナントのロワール川沿いには、世界各国から船がやって来て、船乗り達の話に彼の冒険心と想像がかき立てられた。そんな彼が、ロワール川を望んで空想の世界に浸った高台に直筆の原稿、イラスト、旅の土産などを収蔵したジュール・ヴェルヌ博物館が150歳の誕生記念、1978年にオープンした。
その他、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、ギュスターヴ・クールベから20世紀までの作品が鑑賞できるナント市立美術館、印刷博物館、自然史博物館などの観光スポットがあるが、新開発都市としての現代の名所も見逃せない。
サヴィニャックのポスターから日本でも有名になったビスケットメーカー、LU(ルフェーベル・ユーティル社、現在はダノン社)は1846年にナントで創業。ナント駅裏に位置する、1886年に建てられたクロワッサン型の旧ビスケット工場は、2000年に文化施設としてオープンした。このスペースはLUを文字った『ル・リュ・ユニックle lieu unique(ユニークなスペース)』として、展覧会スペース、劇場、コンサート会場、レストラン、バー、書店、ブティックはもちろん、保育施設やハマムまで備えている。パレ・ド・トーキョーとの共同プロジェクトが組まれたり、と文化施設としても最前線のホットなイベントは要チェック。
1998年に修復され、2004年に一般公開されたカラフルな塔にも登ることができる。ナントのシンボルでもあるこの塔からは、ブルターニュ公爵城、サン・ピエール大聖堂はもちろん、ジュール・ヴェルヌ博物館のあるサン・タンの丘も見渡すことができる。最上階にはLUビスケット工場の歴史がビデオで紹介されている。
もう一つの新名所は中州の工場跡にできた新開発地域イル・ド・ナント。巨人やサルタンの象など巨大なフィギュアによるパフォーマンスで名高い、大道芸カンパニー、ロワイヤル・ド・リュクスの基地、レ・マシーン・ド・イル・ド・ナントがある。数日間に渡って『ガリバーの大冒険』などを町中で演じたりと、劇場を超えた大規模なスペクタクル。そんなロワイヤル・ド・リュクスが使う、奇妙なマシーン達にギャラリーで、そしてアトリエでは制作過程が伺える。遠方からも目を引くのは、45トンもある巨大な象。乗客45名を背中に乗せて、水を噴き出したり、ウィンクしたりと目を見張る小技を披露しながら、基地からロワール川までの45分のお散歩をする。是非、間近で巧みな動きを観察しよう。
マシーンに魅了された後は、対岸にナントを見渡せるバー、レストランが集まった、いわば、パリのベルシー・ヴィラージュのナント版、アンガー・ア・バナヌHangar à bananesへ。40年代にバナナを輸入していたナント。そんな水上貿易の地となった中州の旧・商工会議所を2007年のアート・ビエンナーレの際に改築したのが、ここ。アートギャラリー、クラブ、バー7軒、レストラン3軒で構成されている。お気に入りのテラスを見つけて、のんびりと日暮れを刻むナントの町を眺めたい。
アンガー・ア・バナヌ沿いの川岸にはアーチストのダニエル・ビュレンと建築家、パトリック・ブシャンのコラボによるインスタレーション、リングAnneaux。闇の中で七色に輝き、ナントのナイトライフに花を添える。
また、同新開発地区にはジャン・ヌーヴェルによる裁判所、ブシャンのボウリュ・ショッピングセンターなどの現代建築にも目を見張りたい。建築ファンには、ナント郊外、ロゼ市のル・コルビュジエの集合住宅、メゾン・ラディウーズも見逃せない。
ブルターニュの首都から近代開発都市への道のりをさまざまな観点で辿ってみよう。
Nantes【ナント】
パリ・モンパルナス駅からフランス国鉄(SNCF)で2時間。
Office de tourisme【観光局】
★フェイド窓口Bureau d’accueil Feydeau
3, cours Olivier de Clisson
月〜土10:00〜18:00、木10:30〜
★カテドラル窓口Bureau d’accueil Cathédrale
2, place Saint-Pierre
10:00〜13:00、14:00〜18:00、木10:30〜
http://www.nantes-tourisme.com/
Château des ducs de Bretagne【ブルターニュ公爵城】
4, place Marc Elder - 44 000 Nantes
中庭と城壁へのアクセス : 10:00〜19:00
歴史博物館 : 10:00〜18:00
入館料 : 5ユーロ、割引3ユーロ
http://www.chateau-nantes.fr/
Cathédrale Saint-Pierre【サン・ピエール大聖堂】
Place Saint-Pierre 44000 Nantes
ミサ : 土19:00〜、日11:30〜、19:00〜
le lieu unique【ル・リュ・ユニック】
quai Ferdinand Favre
展覧会スペース、塔、書店 : 火〜土13:00〜19:00、日15:00〜19:00
バー:月11:00〜20:00、火〜木11:00〜2:00、金土11:00〜3:00、日15:00〜20:00
塔への入場料 : 2ユーロ
http://www.lelieuunique.com/
Musée Jules Verne【ジュール・ヴェルヌ博物館】
3, rue de l’Hermitage 44100 Nantes
開館時間 : 10:00〜12:00、14:00〜18:00
閉館日 : 火、日及び祝日の午前
入館料 : 3ユーロ、割引1,50ユーロ
http://www.nantes.fr/julesverne/acc_5.htm
Les Machines de l’île【レ・マシーン・ド・イル・ド・ナント】
Les Chantiers, Bd Léon Bureau - 44 200 Nantes
開館時間 : 10:00〜20:00(オフシーズンの開館時間はサイトでチェック)
ギャラリー入場料又は象の旅 : 6ユーロ
http://www.lesmachines-nantes.fr/
le Hangar à bananes【アンガー・ア・バナヌ】
ile de Nantes, quai des Antilles 44200 Nantes
年中無休
http://www.hangarabananes.com/
by aki on 2008-10-02 [バカンスへ行こう]
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