ノスタルジックな人形に会いに Musée de la Poupée
1994年6月に開館された人形博物館『Musée de la Poupée ミュゼ・ドゥ・ラ・プペ』。3区はポンピドゥー・センターの側、ランビュトー駅を上がったすぐの路地裏に静かに佇んでいます。小さな中庭を横目に入口を入るとそこは一気にノスタルジックな人形ワールド。何となく威圧感を感じる人形の歴史の重さに始めは少し躊躇しましたが、見ていくうちにその時の長さと数々の作品の素晴らしさに魅了されてしまいました。オーナーはSamy ODINさんと奥様のGuidoさん。優しい笑顔で迎えられ奥へ進みます。
こちらでは14世紀~20世紀に至るまでの500体にも及ぶ人形が、貴重に展示されています。入ってすぐはとても古い初代14世紀の人形。頭の作りは小さく、ドレスは質素で犬などの動物も野性的な感じ。現在見るフランス人形とはかけ離れたモデルです。まだ手で一つ一つ作られていた時代。目はシンプルな点が描かれただけのもので手や足も何となく模られた感じです。違うショーケースには1860~70年代を代表とする『Parisiennes パリジェンヌ』という、一般的に想像するようなフランス人形の原型が面影を残すものが。裁縫技術が向上し、ドレスも当時のフランスの華やかな時代を思わせます。真白な肌にふくよかな母体。ぽっちゃりした貴婦人達は優美なドレスを身にまとい、クリクリのカーリーヘア。服のデザインも歴史を感じるアンティーク。母体は木製で、頭の部分は陶器のBiscuit社のものが使用されています。2度焼きした濁陶器。顔の表情にも立体感が醸し出されます。これらのシリーズはSalle1(1800-1900年代 1の部屋)で見られます。
又1878年、パリ万国博の時に登場した『le bébé ル・ベベ』が一躍脚光を浴び、貴婦人をモデルにした『パリジェンヌ』と対照的に3~12歳の子供人形が作られます。自分と同じ年ごろの人形を持つという風習が子供達に大流行したのもこの頃が始まり。ベベシリーズ黄金期になると手作りから量生産になり機械が導入され始めます。数多くのベベを世に送り出した有名な人形作家Jumeau ジュモーやBru ブル、Gaultier ゴルティエを始め、Steiner、Fleischmann、Thuillier、Schmitt、Halopeauなど数々の人形作家が登場したのもこの時期。と同時にドイツ製の人形も数多く出始めます。その時フランス製を主張するべく大きな団体が登場します。それがS.F.B.J(Société Française de fabrication de Bébés et Jouets)。有名作家の型をモデルに大量生産を成功させ、様々な表情の人形を作り出しました。髪の毛や洋服も個性的でリアルな表情。頭の大きさ、体のバランスも現代に近い風貌に近づきます。又、髪の毛のない赤ちゃん人形『Poupons プポン』も発表。セルロイド製で水の中でも使える『Baigneur ベニュール』などは子供達にも人気に。人形の歴史を大きく変えるべく時代だったのではないでしょうか。これらの作品はSalle2(1900-1950年代)で見られます。
Salle3では1950-2000年代のものが見られます。時代を追うごとに妙にリアルになる人形達もまた見もの。中にはバービー人形のコレクションもありました。時代を超えてバービーブームは続いているようです。又人形ばかりでなく、小物やアクセサリーも見ごたえのある素晴らしさ。正しくアンティーク小物の数々。それだけでも欲しくなります。昔の裁縫店をイメージした『La Mercerie』のショーケースにはSajouの本も小物としてひそかに置いてあり、時代を感じる雰囲気でした。又元祖キューピー人形もあったり、日本人形もあったりで見どころ満載。時代と共に母体やアクセサリーも陶器、紙、生地、ゴム、セルロイド、そしてプラスティックと素材も変化。その流れを目で追うと人形の歴史を感じます。
時に本当にこっちを見ているような瞳の子もいたりしてドキッとしますが、それ以上に個々の素晴らしさに魅了されてしまいました。博物館のすぐ隣にはショップもあり、お手軽な人形から高価なアンティークドールまで購入できます。人形用の洋服、過去行われた展示会用のポスター(2ユーロ~)、ポストカード(0.5ユーロ~)、ドール本、人形型紙や、手作り人形キットと目移りしてしまいます。また、このショップ内にクリニック部屋があり、壊れてしまった人形やほつれてしまった洋服などを修復してくれるところがあります。担当するのは人形博物館専属のIsabelle Banon イザベル・バノンさん。毎週金曜、お店におられ洋服の寸法測定や修理の具合など相談にのってくれます。見積りは無料。お部屋には、現在修復に出された人形の頭や手が一杯。正に人形の病院!カウンター前には人形用の洋服も売られており、又端切れ布コーナーもあって思わぬアンティークな生地(1ユーロ~)に出会えます。
館内は撮影禁止の為、様子をしっかりお伝えできませんのでHPを是非覗いて見て下さいね。尚、博物館では曜日ごとに多彩なアトリエを開かれております。5~12歳向けの手作り人形講習『Confection d’une Poupée en tissu』や、人形童話『Séance de contes pour les enfants』(3歳以上対象)、又お誕生日会『Gouters d’anniversaire au Musée』(5人以上~)なども催されているようです。その他、ディレクターSamy ODIN氏による人形講習会など大人向けのものもあります。詳細はHPサイトをご覧下さい。
ふと幼少時代を彷彿させてくれるノスタルジックな世界。現在展示会も開催中ですので是非訪れてみて下さい。
Musée de la Poupée【人形博物館】
Impasse Berthaud (vers 22 rue Beaubourg) 75003 Paris
Tel : 01 42 72 73 11
fax : 01 44 54 04 48
メトロ : 11番線 Rambuteau
開館 : 10:00 – 18:00 (ショップ・クリニック共)
休館日 : 月・祝
入館料 :
大人 7ユーロ
学生(12-25歳)、65歳以上、無職の方 5ユーロ
子供(3-11歳)、ハンディキャップをお持ちの方 3ユーロ
http://museedelapoupeeparis.com/
展覧会『Les Poupées des Petites Filles Modèles』
2007年10月16日~2008年3月16日まで開催中
現在のプラスティック人形に至るまでのモデルとなった、原型でもあるべく1840年に存在した蝋人形・セギュール伯爵夫人のモデル人形を題材に繰り広げられる、今日までの人形歴史を辿る展示会。
by junko on 2007-11-23 [美術館・博物館]
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