シックな佇まいとお洒落なブティックで私達を惹きつけてやまないマレ地区。そんな中にひっそりと、カルナヴァレ博物館ことパリ歴史博物館がある。シャルル5世がこの地域のサン・ポル館(現存しない)に宮廷および居を構えたのが14世紀。これによりマレ地区は発展し、多くの貴族が住むお屋敷街となった。そんな華やかな歴史を物語る彼らの館は、現在オテル・パルティキュリエHôtels particuliersと呼ばれている。
博物館に利用されているのは、そのうちの2つ、カルナヴァレ館とル・ペルティエ・ド・サン・ファルジョー館。16世紀に建立された前者はルネッサンス建築の見本といわれている。その名はかつてのこの館の所有者であるブルターニュ人Kernevenoy氏に由来する、というのがユニーク。また後者のほうの誕生は17世紀末。1960年代に博物館の一部となり、隣り合って建つカルナヴァレ館と渡り廊下で結ばれている。
すでに建物自体が美術品級で、中庭も手入れが行き届いていて美しい。これだけで満足せず館内に一歩足を踏み入れれば、驚くばかりに豊富な展示品と、外観からは想像しがたいほど長い見学ルートが待っている。中世から20世紀まで、時代順に展示室が並んでおり、最後のほうにちょっとだけ紀元前関連の展示もある。
とはいえ、マップでスタート地点となっている中世のコーナーは閉鎖中。展示品が5区にあるクリュニー館に移されたのだそうだ。また私が訪れた日には、17世紀のコーナーも閉まっていた。どうやらフランスお得意の従業員スト関連らしい。どうしても見たいコーナーがあるのならば訪問日の朝に電話確認してね、と監視員のおじさん談。
展示品は、かつてのパリの風景画や重要人物の肖像画、調度品といった美術館的なものをはじめ、歴史的建造物のかつての姿を再現したパノラマ模型と博物館的なものまで、さまざま。パリという街のゆるやかな時代の流れを確認しながら進み歩くことができる。中でも目玉は、当時の家具で再現したフランス歴代王風の部屋。本物であるヴェルサイユ宮殿のそれには及ばないけれど、由緒ある館の雰囲気とあいまって臨場感は抜群。時代ごとのスタイルの変化を楽しめるのもうれしいところ。
また王様がいるということは、勿論フランス革命の部屋もあり、こちらに進むと気配が急におどろおどろしくなるのが面白い。マリー・アントワネットが幽閉されていたタンプル塔の部屋を再現したものなんていうのもある。画家ダヴィッドの有名な「マラーの死」の、顔だけアップバージョンというレアな作品も。さらに時を進めれば、20世紀初頭のパリの文学シーンのコーナーがあり、大作家マルセル・プルーストの部屋が再現されている。
ただ残念なのは、パリの庶民生活に関する展示がほぼ皆無なこと。確かにフランス革命は民衆が作った歴史。それでも、フランス人にとって歴史とはやはり王様や貴族が中心なのか、と思うと逆に興味深かったりもする。併設の書店では、パリに関するありとあらゆる書籍が揃っているので、物足りなさを感じたらこちらで補ってみるのもいいかも。
Musée Carnavalet【カルナヴァレ博物館】
23 rue de Sévigné 75003 Paris
Tel. : 01 44 59 58 58
メトロ : 1番線Saint-Paulか8番線Chemin vert
開館時間 : 10:00~18:00
休館日 : 月・祝日
入館料 : 無料(特別展除く)
併設の書店 : 博物館の開館時間中に営業

















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