南仏のヴェネツィアはアンティークで村おこし L’Isle-sur-la-Sorgue
アンティーク好きだったら一度は訪ねてみたい、南フランスの水車とアンティークの村、リル・シュル・ラ・ソルグL’Isle-sur-la-Sorgue。アヴィニョンから地方鉄道TERで20分、南仏らしい黄色の小さな駅に降り立つ。朝の7時台の電車を逃すと、次はなんと12時の電車なので、隣にあるバスターミナルの時刻もチェックしよう。バスだと45分かかるが、運賃が少し安く、小さな村を経由するのが粋だ。
12世紀、沼地にピロティを組んで作られたリル・シュル・ラ・ソルグ。沼は運河の建設によって干拓し、運河に囲まれた島となり、13世紀にはヴナスク伯領伯爵領(現在のヴナスク伯領地方)のヴェネツィアVenise comtadineとも呼ばれた地。
ザリガニ、鱒、ウナギなどの淡水漁業が盛んで、1403年には対立教皇ベネディクトゥス13世の下、漁業組合はソルグ川での独占漁権を得、5世紀にわたって教皇に魚を献上。19世紀には一日に1万5千匹のザリガニが捕れたというが、伝染病の流行により1884年にザリガニは全滅してしまった。漁に使われた、ネゴシンNego Chin(犬が溺れるという語源)と呼ばれる船底が平らな船とこの組合は今日も健在で、8月の第一日曜に行われる水上マーケットmarché flottantでも活躍する。
ソルグ川の豊富な水源から、12世紀にはすでに麦を挽く水車が設置されていた。後に、オリーブオイル、絹、羊毛などの産業を生んだこれらの水車は、町の至る所に今日も苔に覆われて回転している。
14〜15世紀にかけて、多くのユダヤ人がこの村に亡命し、金融業に従事。ジュイヴリー広場Place de la Juiverieを中心とするユダヤ人地区が形成され、15世紀には人口の10%がユダヤ人が占めたという。フランス革命直前、1768年には200の絹工場のうち、ユダヤ系は120を数え、絹そして羊毛産業で栄える。しかし、革命中の虐殺により人口は80%に減少、1808年にはユダヤ人は6家族を残すだけになり、シナゴーグも1856年に解体された。
ソルグ川の恵みを受け、農業、漁業そして様々な産業が発達したばかりでない。運河はお堀ともしても利用され、1795年までは教皇によって造られた城壁によって村は守られていた。
1944年には村は爆撃され、水車も利用されなくなり、産業は衰退するが、温暖で自然豊かなこの地はバカンス先として注目を浴び、フランスはもとよりヨーロッパ各地からバカンス客が集まるようになる。
今日のアンティーク村としての地位を獲得することになったのは、1966年の復活祭の季節のこと。アルベール・ガッシエールAlbert Gassierとルネ・レジエールRené Légierがアンティーク市を企画し、村おこしを計ったのだ。市はテレビでも放映され、初回から大成功を納め、復活祭と8月に行われる、国際アンティーク市Foire Internationale Antiquités & Brocanteとなったのだ。
その後、アヴィニョン絨毯の旧工場を利用して十数のアンティーク商が集まるヴィラージュ・ド・ラ・ギャールle Village de la Gareをオープンしたのがヴィレッジの皮切り。約40年の歴史を持つアンティーク産業によって、人口は1960年の7千人から今日は2万2千人へと急増。ロンドン、パリに次ぐアンティーク市場を抱えるこの村には、今日、300を数えるアンティーク商が駅から運河沿いにアンティーク・ヴィレッジをなしている。
84回目を迎えた国際アンティーク市はアンティーク・ヴィレッジを中心に、運河沿いのキャトル・オタージュ大通りAvenue des quatre otages、ゴーティエ公園Parc Gautierと500数の野外スタンドが連なり、連休を利用してやってきた観光客で賑わう。ホーロー、カフェオレボウルなど蚤の市で見られる古道具から、家具やシャンデリアなどの高級感あふれたアンティークが並び、オリーブのペーストを作る鉢、タプナーディエなどに地方色を感じる。
国際アンティーク市以外の季節も、毎週日曜日には、キャトル・オタージュ大通りにアンティーク市が立つので、アンティーク好きなら、やはり日曜にこの村を訪ねたい。また、午前中は中心街でプロヴァンスの特産品を扱うマーケットも立つので、この地方の歴史ある産業もチェックだ。
お土産にはオリーブやタプナード、蜂蜜、石けんなどの特産品が集まる可愛らしいブティック、デリス・デュ・リュベロンDélices du Luberonもおすすめ。タプナードを作るための陶器の鉢やお皿もある。試食もできるので、お気に入りを選びたい。
l’Isle sur la Sorgue【リル・シュル・ラ・ソルグ】
アクセス: パリ・ギャール・ド・リヨン(Gare de Lyon)駅からTGVにてアヴィニョン(Avignon-TGV)駅下車。アヴィニョン・ソントル(Avignon Centre)駅からリル・シュル・ラ・ソルグL’Isle-sur-la-Sorgue駅下車。
観光局 : http://www.oti-delasorgue.fr/
Foire Internationale Antiquités & Brocante à l’Isle sur la Sorgue【リル・シュル・ラ・ソルグ国際アンティーク・古道具市】
日時: 復活祭と8月の年に2回
http://www.foireantiquites-islesurlasorgue.fr/
Délices du Luberon【デリス・デュ・リュベロン】
1, Avenue du Partage des eaux 84800 L’Isle sur la Sorgue
TEL : 04 90 20 77 37
営業時間 : 9:00〜18:00
http://www.delices-du-luberon.fr/
by aki on 2008-04-15 [バカンスへ行こう]
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