チョコレート製造所のオーナーであるjean-René(ジャン=ルネ)のもとに営業員として採用され、働きだしたAngélique(アンジェリック)は、才能あふれるチョコレート職人。”チョコレートへ対する情熱” という共通点を持つ二人は間もなく惹かれ合い、お互いどうしようもなく恋に落ちてしまうのだが、二人にはもう一つの共通点があった。それは、”超がつくほど、感情的である” ことである。そしてその過剰な多感さが、二人の恋の妨げとなってしまう。
果たしてお互いを鏡に映し合ったような二人は、この障害を乗り越え、運命の恋を実らせることができるのか...。
タイトルである『les émotifs anonymes(匿名の多感な人々)』とは、アンジェリックの参加している、同じような悩みを持つ人々が集う会話サークルの名前だ。一方のジャン=ルネは、心理カウンセラーのもとに足しげく通っている。
前半で印象的なのは、レストランでのシーン。カウンセラーから『ディナーに誘う』という課題を言い渡されたジャン=ルネは、勇気を出してアンジェリックをディナーに誘う。しかしお互い極度に緊張し、まともにお互いの顔も見れず、なかなか会話の続かない二人。そして汗っかきのジャン=ルネは、予備のシャツを何枚も用意しており、たびたび席を立ち、こっそりとトイレで着替えるのだが、しまいには思わぬ失敗をしてしまい、パニックになってしまう...。このような二人の病的なほどの不器用なやりとりに、見る側はハラハラしながらも、思わず笑ってしまうような滑稽な場面がたくさんある。
チョコレート職人としての天賦の才能をひっそりと隠していたアンジェリックが、どのように衰退ぎみのチョコレート製造所を盛り上げていくのかも見どころだ。彼女は、仕事に対しても熱心な活気にあふれる女性だが、感情的過ぎることが前へ進み出たい気持ちの足止めとなり、自分を内へ閉じ込めさせていた。
主演のIsabelle Carré(イザベル・カレ)とBenoit Poelvoorde(ブノワ・ポールヴールド)は、Anne Fontaine(アンヌ・フォンテーヌ)監督の『Entre ses mains(イン・ヒズ・ハンド)』という2005年の作品ですでに共演を果たしていた。バラエティにとんださまざまな役を演じ大活躍しているブノワ・ポールヴールド、たくさんの映画で主役を演じてきたイザベル・カレ共にベテランの俳優だ。今回も、感情的な二人の情緒の不安定さ、もろさを繊細に演じながらも、ユーモアを醸し出すとても好感の持てる人物像を作り出している。
そして映画を彩っているのは、赤と緑を基調とした衣装、れんが造りの建物や、暖かいトーンの照明。いつの時代設定なのかは不明であるが、このレトロともいえる映画の色が、観客を物語の世界にいっそう引き込ませる。
感受性の強い主役の二人の目に映っている世界は、きっとこの映画の色のように美しく彩りのあるものだろう。観る側は、そんな彼らの世界にどっぷりと浸かりながら、二人をいじらしく思い、時にもどかしさにため息をつき、そして応援したくなってしまう。
主役の二人がそれぞれ歌うシーンもあり、そんなちょっとしたミュージカル的な場面も、映画をテンポよく展開させる要素になっている。
アンジェリックが自分を鼓舞するために時々一人で小さく口ずさむのは、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の中で歌われる『J’ai confiance en moi(自信を持って)』だ。Angus&Julia Stoneのフォーキーな声も、耳に心地良い。
自身も多感で、幼い頃から他人から向けられる視線を避けていたという、監督のJean-Pierre Améris(ジャン=ピエール・アメリ)は、これまでの作品でも、何かへ対する不安や恐怖を主題としてきたと語る。『Le bateau de mariage』での誓うことへの恐怖、『Les aveux de l’innocent』での、俳優の職業に身を投じることへの恐怖、『C’est la vie』での死への恐怖、『Mauvaises fréquentations』での性に対する恐怖...。そして彼がそれらの映画を通して語りかけたいことはいつも、その恐怖や不安をどのように乗り越え、いかに希望の光を見いだしていくか、である。
チョコレートがおいしく感じる冬の季節。そっと口にふくんで、ほんの少しの苦みとともに口の中でほろりと甘く溶ける、一粒のチョコレートが食べたくなってしまうような、素朴だけどとっておきのラブコメディだ。
監督:Jean-Pierre Améris ジャン=ピエール・アメリ
出演:Isabelle Carré イザベル・カレ、Benoit Poelvoorde ブノワ・ポールヴールド他


















ロンドンに向かう飛行機の中でこの映画を見ました。
軽快なリズムと素敵なチョコレートがとても魅力的で大好きです。
試作品を作っていることろは思わず自分も手を出して食べたくなってしまうくらい。見終わった後に早速買いに行きました。途中ちょっと踊ってみたくなったり、ハッピーな気分になれる映画です。是非日本か英語圏の国でもDVDを発売してほしいです。
はじめまして。映画を調べていたのですが、どうしても【les émotifs anonymes】が見たくなってしまったのですが、日本では見ることは出来ないでしょうか?FUMILA☆さんのコメントで飛行機で見る事が出来たようですが、何か情報があれば教えて頂けたらと思います\(>_<)/宜しくお願い致します!!
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