パリの下町とも言われる13区の静かな住宅街。パリには珍しいアンティークな佇まいの一軒家が並んでたり、お散歩するにはぴったりな地区。「小さな鶉の丘」と言う名がついたビュット・オ・カイユ(rue de la butte aux cailles)通り。ここに地元民から愛されている小さなハチミツ(Miel ミエル)屋さんがあります。
その名は「レ・ザベイユLes Abeilles」。ブティックこそ小さなスペースだけれど、その商品の素晴らしさと知名度は大きな大きなものなのです。今や日本でも販売されている為きっとご存知の方もいらっしゃることでしょう。パリでのブティックはここ1店舗のみ。巣箱から採れる100%ナチュラルなハチミツだけを瓶に閉じ込めたものはここパリでレ・ザベイユだけなのだそうです。養蜂家向け専門用具を販売しているのもパリでは唯一ここだけ。オーナーであり養蜂家でもあるジャン・ジャック・シャクマンデスさん(Jean-Jacque Schakmundès)。小さな頃からハチミツが大好きでその偉大さや良さをみんなに知ってもらえたらという思い、そして何か違う仕事をやってみたいなという人生の転機を期に、1993年にこのブティックをオープンされました。実は以前は映画のお仕事をしていたり、翻訳をされていたりとその背景はとても豊富。優しくて情熱的で、そして自然をこよなく愛しておられるミツバチの良き理解者である、といっても過言ではありません。
「ハチの巣はどうして6角形をしているの?」尋ねてみました。「それはまず、6角形は最も丈夫に形成できる形である事。頑丈な部屋が必要だからね。次に出来る限り少ない材料(蜜蝋)で作るには無駄のないよう隙間なく密着できる形であること。同時に軽くなるからね。そして何よりも沢山の蜜を保存できる様、限りなく広いスペースとなるように6角形が一番適しているいうことだよ。」
ハチミツというものは、遡ればいつの時代から存在していたのでしょう?ギリシャ神話の中でも既に高貴な食べ物とされ、儀式やお祝いのお菓子などにも使われるていた価値あるものであったことは歴史のそれから見ても量り知れぬほど過去に遡ると予想されます。又、ハチミツには原料となる物による効能があることも忘れてはなりません。そもそもミツバチの生態とは、1つの巣箱に1匹の女王蜂、多数の働き蜂、2~3千匹の雄蜂からなるコロニーと呼ばれる家族単位から成り、働きバチ達は自分達と雄蜂達の為に食料となる花の蜜やミエーラという甘い物質を集めに出かけるのだそう。吸い込んだ花蜜は体の中で分解され、単糖となりハチミツとなります。対するお砂糖は複雑糖。だからこそハチミツは人が食べても吸収もよく早く消化されるとして太りにくい、と言われているのだそうです。
巣箱の中は約30~35℃で、冬の寒い時期はみんなが集まり体を寄せて温度を上げているのだそうです。収獲時のハチミツはどれも全て液状。がしかし、種類によってどんどん結晶化が始まり、クリーム状になったり白濁したりと変化していきます。「アカシア」などのように長い間液状を保てるハチミツも勿論あります。ものによっては舐めるとザラっとしたものがありますが、それはこの為。だからと言って品質が変わるわけでもなくそのまま食べても何の問題もないそうです。40℃前後に湯煎で温め直すと又もとの液状に戻るそうです。がしかし、ハチミツは60℃を超えた時点で栄養素が欠乏していくとの事。美味しさには変わりありませんが、熱に弱いビタミンなどが失われてしまいます。でもハチミツのリッチな味わいとしっとりさは他にはかえれぬ美味しさ。養蜂家ならではのシャクマンデスさんの説明は的確でわかりやすく、買うばかりでなくミツバチのことも知ることができる素敵なブティックなのです。
彼の口から常に発される言葉は、「ハチミツはミツバチ達だけで運び作り出す完全なる自然食品である」ということ。人間の手よる加工、添加などは一切なされていない生粋の天然100%の産物。ここフランスではハチミツの販売において法律があり、ミツバチ達が運び、巣箱から収獲された天然のものにだけ「Miel ミエル」の表記が許可されているのだそうです。他の国では残念ながら水飴を配合していたり、加熱処理をしていたりと人間の手が加わった商品をハチミツとして販売しているところも一部あるようなのです。だからこそフランスのハチミツ、つまりミエルと表記のあるものは100%ミツバチのお仕事から成せる自然の産物そのものである、ということになります。
何よりもレ・ザベイユのハチミツはどれも味が濃いこと、そして甘みがとてもまろやかで個性の中に自然の丸みを持っているという事。花の種類によって濃度も異なり、毎年微妙に味が異なるのも自然だからこそ。どのハチミツが一番良い収獲具合、などという事はないとおっしゃいます。なぜならハチミツは全てミツバチ達が作り出す100%天然のものであって、品質の劣るものは一切ない、ということ。
「収穫した時にはもうすでに完成された‘ハチミツ’だからね。それはいつも完璧で実に素晴らしいものだよ。彼らがもたらすものは常に最高のもの。ハチミツとはミツバチ達の作るものであって、人には作ることのできないものだからね。」とシャクマンデスさんはおっしゃいます。例えばワインならば原料となるブドウをまず収獲し、様々な工程が施されワインという美味しい飲み物にるので出来具合が評されるけれど、ハチミツは収獲した時からすでにハチミツである、とシャクマンデスさん。
現在保有されている彼の巣箱はパリに数ヶ所。ブローニュ、ヴァンセンヌ、そして13区にあるケレルマン公園。その他にも小さなスペースであちこちに保有されているそうです。巣箱は各所5~6個を設置。1巣箱からの収獲量は約20kgのみ。実はもうすぐ12区と14区にも巣箱を増やすのだそう。きっと今以上に沢山のハチミツがブティックに並ぶことでしょうね。
まずはレ・ザベイユの素晴らしいハチミツの数々をご紹介致しましょう!ベーシックなのはまず「アカシア(Acasia)」でしょう。キラキラ輝きながら流れ落ちる柔らかさ。クセがなく、ふくよかなコクがあって食べやすさの中に味わいがきちんとあるもの。アカシア=食べやすくシンプルな味、と思いがちだけれど、シャクマンデスさんのアカシアは存在感がしっかりある味なのです。効能は整腸作用。これは常備しなければならぬアイテムでしょう。お料理にも使いやすいとされるラヴェンダーは3種類あります。「海辺のラヴェンダー(Lavande Maritime)」、「プロヴァンスのラヴェンダー(Lavande de Provence)」そして「野生のラヴェンダー(Lavande sauvage)」。白いクリーム状でほんのりざらつきのある感じ。見事にどれも味わいが違うのです。それぞれにコクと強さが違って面白いです。効能は呼吸器消毒。私のお気に入りは「クローバー(Trèfle)」。こちらも結晶化したクリーム状ですが驚く程にとろりとしていてクリーミー。お味はシンプルでほんのりミルキーといいましょうか。とっても優しい味でそのままパクリと口に入れたくなるような魅惑ものです。「きっと四つ葉のクローバーの蜜も混じってるはずだよ」と笑っておられました。こちらの効能は持久力や強壮。そして珍しいものでは「ソバ(Sarrazin)」。しっかり色づいた茶色。一般的に淡い色のものは柔らかい味で、濃い色のものは強い味なのだそうです。このソバは色からもわかるようにしっかり強い味。でもエグミなどは一切なく、旨みと甘みがぎゅっと濃縮されていて黒糖のような味わいが印象的。クレープと一緒に食べたら最高なのだそう。ミネラル豊富な1品です。
正に結晶化の変化の途中であった「ひまわり(Tournesol)」はコレステロールや肝臓に良いのだそう。通常「ひまわり=油」が頭に浮かびそうなものですが、「油は一切入ってないし全く関係ないよ」と補足です。どのハチミツも、ラヴェンダーだからそれが香るわけではなく、レモンの木だからといってレモンの風味がするわけではないのです。ほんのりは香りますがしっかり感じる程のものではなく、ただそのその花から採れた蜜である、という事。変わったもので「コーヒーの木(Caféier)」というものがありました。褐色からしてまるでカフェのようですが、勿論その風味はなく奥の深いコクを感じるものでした。
その他にも利尿作用をもつ「タンポポ(Pissenlit)」や、呼吸器官に良い「ユーカリ(Eucalyptus)」、鎮静効果のある「菩提樹(Tilleul)」。泌尿器には「ヒース(Bruyère)」、血液循環には「栗の木(Châtaignier)」など、効能を見ながら探すのも楽しいです。特にヒースは力強く個性的なものですが、最後にスーッと苦みを感じる癖になりそうなお味。現在「フランボワーズの木(Framboisier)」は売り切れ。人気商品でもあるのですが収獲が少なかったというのもひとつなのだそうです。それでも今年の6月頃にはまた収獲できるんじゃないかな?とのことです。お楽しみに。どのハチミツも3サイズあり、3,3ユーロ(125g)、 5ユーロ(250g)、8,8ユーロ(500g)。ちょっと特殊なものはそれぞれに3,7ユーロ、6,4ユーロ、10,5ユーロとなります。店頭には量り売り(a la Tireuse)も用意されており、「アカシア」と「栗の木」が常時スタンバイ。こちらは3種(250g、500g、1kg)の専用ポット(0,5ユーロ)で購入できます。食べ終わったらポットを持ってくればそれに又入れてくれます。ひっきりなしに売れていくこの量り売りに負けずと人気なのがレ・ザベイユのオリジナルでもある「パリ(Paris/mille fleurs)」。13区の巣箱で採れるというこのハチミツは、正にパリにある1000種類もの花の蜜から採れる逸品。その味わいは予想以上に完成度のあるまとまり。フローラルで且つコクと旨みが高く、透き通るような爽やかさがあってとても食べやすい味。パリでしか買えぬ貴重なハチミツです。その他にも珍しいものが沢山あるので是非ゆっくり楽しみながら品定めしてみて下さい。どれも試食が可能ですので、気に入ったものを購入することができます。その他に、耳鼻咽喉や健忘症にも良いとされるプロポリス、健康全般に精神安定ともなるロイヤル・ゼリーも。ビタミン摂取に良いポレン(花粉7,8ユーロ~)は毎朝ひと匙食べたり、ヨーグルトやサラダに混ぜ込んで。
子供達にも大人気のボンボン(キャンデイ)はシュセットタイプ(棒付き0,4ユーロ/本、3,5ユーロ/10本)と包装タイプ(2,8ユーロ/100g)の量り売りも。2つ!3つ!と小さな単位でも笑顔で対応しているシャクマンデスさん。近隣の常連さんに愛されている素敵な光景でした。そしてもう一つ、パリジャン達のおやつタイムを牛耳っているのがパン・デピス!(14,5ユーロ/kg)驚く程に次々に売れていき、あっという間に大きな塊はなくなってしまっていました。普通ならスパイスが入るパン・デピスですが彼のオリジナルレシピはスパイスなし。ハチミツは50%配合。ハチミツそのものがしっかりした味なのでスパイスは必要ない、とのことのなのです。とてもしっとり優しくて非常に美味しいものでした。プレーンとオレンジ風味の2種あります。又、彼特製のハチミツマスタード(4,4ユーロ~)も。他にもハチミツビネガー(4,6ユーロ~)にヌガー(4,5ユーロ/100g)、お菓子などが一杯。蜜蝋のロウソクは穏やかな香り、マルセイユ石鹸がベースのハチミツ石鹸(1,5ユーロ~)は香りも優しくお肌がしっとり。蜜蝋(Cire13ユーロ/kg)も固形と液状があり、主に木製家具のつや出しやコスメなどに使われるだそうです。又、最近ではハチミツ用のガラススプーン(16,5ユーロ)を販売中!実はシャクマンデスさんの完全手作りです。ガラス細工の技術も持っておられるというのですから凄いですね。ハチミツがすくい易くかけやすいようにと考えられています。どれも手作りなので世界に1本しかないオリジナル!専用袋もハチのデザイン。ハチミツとセットで是非。
気になる養蜂家達の用具にも面白いものを発見。ミツバチ達を大人しくさせる為に使うポンプ。火を入れて白い煙を出してふりかけるもの。気温が高まるとハチ達は興奮しエネルギーを活発化させる為、そんな時はこれを使い白い煙を吹きかけてやると大人しくなるのだそうです。収獲時に使うネット帽やコスチュームや手袋など、面白い道具が沢山あってまるでミュゼのようです。
「シャクマンデスさんにとってハチミツとは、ミツバチとは何ですか?」とうかがってみました。「そうだなぁ、やはりどちらも僕にとっては自然そのものであり、我らになくてはならぬ必要なものかな。ミツバチはただハチミツを作るだけでなく花粉も運ぶ。それは花の生態にとって必要不可欠なことだよね。ミツバチが運んでくれないときっと花は存在しないだろうし、つまり自然も存在しないだろう。ならば人間にとって栄養物として必要とされているハチミツもきっとないだろう。だからこそハチは自然界においてなくてはならぬ自然そのものの存在だと思うよ。」
紅茶やパン、ヨーグルト、料理やお菓子作り、ソースにしたりフロマージュに添えたりと食べることばかりでなく火傷や唇の荒れなどにも効果てき面なハチミツ。「ハチは決して神秘なものではないよ。彼らは至って自然の生物であり只生きる為に当たり前のことをしているだけだからね。」とシャクマンデスさんはおっしゃいます。ミツバチ達の生態をよく理解した彼らのような養蜂家達が巣箱管理や危険回避をしてあげる事で、ミツバチ達が安全且つ快適な環境で蜜を集める事ができる。きっとその甘い雫はシャクマンデスさん達の愛で更に輝くものとなるでしょう。
Les Abeilles【レ・ザベイユ】
21 rue de la butte aux cailles 75013 Paris
Tel : 01 45 81 43 48
営業時間: 11:00~19:00
定休日 日・月
メトロ ⑥番線Corvisart /⑤⑥⑦番線Place d’Italie
http://lesabeilles.biz































本日おすすめの les abeilles に行ってきました. お店でハチミツを買いながら, おいてあった試食用のおかしをたべようとすると,お店の男性の方から,それはたべられないというようなことを言われました. いっしょにいた私のフランンス人の主人によると, Madame, on ne goute pas ici, c’est moi qui fait gouter, ce n’est pas la meme demarche. と言ったそうです.あまりにもひどいいいかたで,侮辱と言ってもいいと思います. 結果的に,ハチミツは買ってきましたが,いまだに納得できません.hpをみてみると日本語の対応もしているぐらいなのに.とてもおすすめのお店として掲さいするような所ではないと思われます.とりあえず,ご報告いたします.
*yuriさま
当サイトをご覧になって訪れて下さったのに不愉快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。偶然にも今日、私もお店に立ち寄りました。シャクマンデスさんは数日前よりご不在ですので他のスタッフの方かとは思われますが。。。
今日はスタッフのムッシューと日本人女性スタッフの方がいらっしゃったはずです。彼は日本語もお上手ですし又日本人の方にもとても親切にして下さるはずなのですが。日本人スタッフのマダムも側にいらっしゃれば恐らくおうかがいして下さるだろうし、お二人共とても熱心に説明して下さるはずなのですが。。。
お忙しい中,ご説明いただきありがとうございました. 咋日お店には日本人の方はいらっしゃいませんでした. ムッシューだけでした.それにしてもくりかえしになりますが,試食するかどうかを决めるのは自分であってあなたではないなんていう言い方はあまりにも失礼だと思います.しかも他のお客さんの前です.私の夫は買おうとしていたハチミツをもどそうとも思ったそうです.夫も私もハチミツが大すきですが,わざわざメトロをしようしてまで,このような不揄快なお店にはニ度と行く必要はないと思っています. yuri
少し前になりますが、このブティックではちみつを購入したことがあります。
その時は日本人スタッフも、HPのムッシューもいらっしゃいませんでしたが、別のスタッフがとても親切に対応してくれました。
yuriさんの場合、試食をする前にお店の方にひとこと言うのがマナーだったのではなかったのでしょうか?コメントを読む限り、勝手に食べようとした、その態度がスタッフの方にあまりいい感じを与えなかったのではないかと思います。
フランスでは店員さんのその日の気分で応対が異なることなんてよくあることです。
そこまでひどい対応だと私は感じませんが、コメントを読んで、行きたい、行きたくない、と判断するのはそれぞれですので、こういった色々なコメントがあるのは逆にいいことだと思います。
試食用においてあったこまかくくだいたcookies のcaseを手にとろうとした時にそのような事を言われたんですが,フランンス語の原文をよんでいただければ,どれだけひどい言葉なのかわかるはずですが?
何処にしても,お店に直接クレ-ムします.
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