20世紀の世界遺産を訪ねて le Havre

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クロード・モネが少年時代を過ごし、印象・日の出を描いた地le Havre【ル・アーヴル】クロード・モネClaude Monetが少年時代を過ごし、パリのマルモッタン美術館蔵の印象派を代表する作品『印象・日の出Impression soleil levant』を描いた地、北フランスはノルマンディー地方の町、ル・アーヴル市le Havre。
2005年から中心街がユネスコの世界遺産に指定されているが、それまでの道のりは安易なものではなかった。世界遺産というと、モン・サン・ミッシェルやシャルトル大聖堂などの古い歴史的建造物や町並みを想像するが、ル・アーヴルはコンクリートの四角い建物が連なる近代都市なのだ。フランスはどこの町に行っても、中心街を外れた駅を降り立った瞬間は近代的建築が見られても、中心街に向かうと教会を中心に古い町並みが残っているところが多い。しかし、ル・アーヴルは中心街を探してしまう程、町中はまるで促進住宅街。印象派をイメージして訪ねると、落胆してしまうだろう。

灯台から見た復興都市le Havre【ル・アーヴル】今日でもフランス一の活動量を誇るル・アーヴルの港だが、第二次世界大戦中はイギリス軍の補給基地となった。1940年5月にドイツ軍の侵攻によりイギリス軍は撤退し、平和条約の下、イギリス本土上陸を狙うドイツによって占領。町の大破壊はその後、1944年の9月6日、英国軍による中心街と港の大襲撃によってなされた。9月いっぱい続いた攻撃によって、死者5千人、8万人が住居を失い、12万5千の建物が破壊。ヨーロッパでも最大規模の惨事に見舞われた。

廃墟となった中心街が再建されたのは翌年の春のこと。都市再建省は荒廃した土地の復興を建築家、オーギュスト・ペレAuguste Perretに依頼した。彼を筆頭に、建築家18名で構成される再建チームが結成。ペレは元の中心街の構造を復旧するのではなく、シンメトリーやオーダーを用いる古典主義の理念を応用させた鉄筋コンクリートの新しい都市建築を目指した。こうして1945〜1964年にかけて、ペレのチームによって遂行された類を見ないユニークな都市計画は20世紀の建築と都市整備の歴史に残るものとなった。

世界遺産に指定されたオーギュスト・ペレの再建都市le Havre【ル・アーヴル】フランスの都市は広場を中心に放射状に広がる町づくりが多いが、新興地区はエジプトのポンペイなど古代の都市に見られる碁盤目状。戦火を逃れたノートルダム大聖堂などの建築物を残したために正確な碁盤目が崩れる部分があり、また港の地形から再建地は四角というよりは三角形になるが、その内部は整然とした直線を描いている。当時のコンクリート梁の長さを基準とした6.24mという単位がこの碁盤目の基本の値となっている。この単位で統一する事により、よりローコストでかつ建設時間の短縮を図ったのだ。

建物の下二階はブティックなどの商業物件又は住居、その上をバルコニーで区切り住居、そして平らな屋根というのが典型的なスタイルだ。大きく枠取られた窓がリビング、寝室、キッチンに自然光を十分に取り入れるという、省エネ設計だ。建物は公共住宅または集合住宅という、当時ではまだ新しいコンセプトで、無駄のないスペースには備え付けのクローゼットや各住居からゴミ収集場所に直結するゴミ入れ、中央暖房、エレベーターと近代設備が整っていた。

オーギュスト・ペレ設計の市庁舎Hotel de Villele Havre【ル・アーヴル】町のどこからも見えるシンボルは1956年にできた高さ110mの尖塔を持つサン・ジョセフ教会。その2年後に除幕された市庁舎Hôtel de Villeは高さ72mの鐘楼を想起させる18階建ての塔になっている。横に広がるシアターは1967年に増設され、前方に広がる庭園もペレの設計だが、1990年に地下駐車場や噴水の設置を含める改造が施されている。水辺にはカモメが戯れるこの広場で、現在、世界遺産認定2年を記念して、廃墟と化したル・アーヴルの150点の写真展”le Havre, de la renaissance à la reconnaissance”が行われているので、近代都市への足取りを辿ってみてはどうだろう。

ル・アーヴルの海岸は港だけでなく、ヨーロッパ有数の広さを誇る全長1.6kmにも及ぶ砂利浜がある。世界遺産に指定された133ヘクタールある中心街を除くと、海岸からは丘の上には爆撃を逃れた古い一軒家の連なりが見られる。
モネや光の画家としての方向付けを左右したといわれるウジェーヌ・ブーダンEugène-Louis Boudinが描いた海で時間とともに変わる光を楽しむのも良し、また200数のブータンの作品を海岸にあるマルロー美術館Musée Malrauxで鑑賞するのも良し。

海と再建都市を境づける門、ポルト・オセアンPorte Oceane灯台まで歩くと、町の全景が望める。海岸から市庁舎に繋がるメインストリート、フォッシュ大通りAvenue Fochには門のように通りの両脇に高さ47.5mの同じ建築物が見える。海と再建都市を境づける門、ポルト・オセアンPorte Océaneだ。

20世紀の景観の前例が少ない世界遺産の登録は容易なものではなかったが、2005年の登録以来、オーギュスト・ペレの再建都市はオリジナルの形を尊重するようにと維持が図られている。観光局ではアパルトマン・テモワンappartement témoinという当時の内装を保持したアパート内見学のツアーも主催している。
ル・アーヴルはコンクリートの巨匠とも呼ばれるペレの単体の建築物だけではなく、都市設計が見られる貴重な町なのだ。ヨーロッパでも珍しい世界大戦後のユニークな都市建築を建築ファンなら見逃す手はないだろう。

また、コンクリート好きなら主塔間の距離で世界第二位を誇るセーヌ河口にかかる斜張橋ノルマンディー橋も見逃せない。ル・アーヴル駅に併設する長距離バスターミナルからエリック・サティーの故郷、オンフルール市やドーヴィル市Dauville、トゥルーヴィル・シュル・メール市Trouville-sur-Merへ向かうバスに乗るとノルマンディー橋を渡ることができる。また、反対方面には断崖で有名なエトルタEtretat行きのバスもあり、ノルマンディー周遊にも便利な立地にある。

le Havre【ル・アーヴル】
パリからのアクセス : サン・ラザールGare St Lazare駅からle Havre行き電車で約2時間

Office de Trourisme【観光局】
186 boulevard Clemenceau 76059 le Havre Cedex
Tel : 02 32 74 04 04
営業時間 : 4月の復活祭〜9月末 9:00〜18:45、日祝10:00〜12:30/14:30〜17:45
10月〜4月の復活祭 9:00〜17:45、土9:00〜12:30/14:00〜17:45、日祝10:00〜13:00
http://www.lehavretourisme.com/

le Havre, de la renaissance à la reconnaissance【ル・アーヴル、復興から認知まで】
会期 : 2007年8月8日〜9月14日
会場 : 市庁舎庭園Jardin de l’Hôtel de Ville du Havre 76600 le Havre
http://www.ville-lehavre.fr/

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20世紀の世界遺産を訪ねて le Havre への7件のコメント

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