クストリッツァの名作映画がオペラ化! Le Temps des Gitans

クストリッツァの名作映画がオペラ化! Le Temps des Gitans

『パパは、出張中!』や『アンダーグラウンド』で知られる、旧ユーゴ出身エミール・クストリッツァ監督の1989年カンヌ映画祭監督賞受賞作品『ジプシーのとき(Le Temps des Gitans)』が、舞台化された。現在、パリのオペラ・バスティーユで堂々の公演中である。『パンク・オペラ』を名乗るこの作品を演出したのは、クストリッツァ監督本人。音楽は、ミュージシャンでもある彼が参加するバンド『The No Smoking Orchestra』が担当している。オペラ・ガルニエで歌舞伎が上演されたことが記憶に新しいが、由緒正しいパリのオペラ座も、どんどん外国の様々なジャンルの舞台芸術を受け入れる姿勢のようだ。『ジプシーのとき』もキャストは旧ユーゴ人、フランス語字幕つきの上演である。

さて映画『ジプシーのとき』といえば、小さなジプシー集落出身青年ペルハン、の悲劇の成功譚。彼は近所に住む少女アズラと恋に落ちるものの、彼女の母の反対にあう。そんな中ジプシー仲間の悪党アーメドが、彼の妹で足に障害を負うダニラを、遠い街の病院に入院させると提案。ペルハンもともに旅立つが結局は騙されて、ミラノで物乞い・強盗生活を強いられることになる。そうして彼は悪事を覚えるといっぱしのチンピラに成り上がり、富を手に入れアズラを迎えに故郷に帰還するが・・・という物語。なかなか重い話なのだが、クストリッツア独自のファンタスティックで軽やかな演出で、じめじめした雰囲気が一切ない。気になるところは、どうやってこれが舞台化されているか?ということ。

クストリッツァの名作映画がオペラ化! Le Temps des Gitans

映画の尺は2時間以上、それに対しオペラは歌と踊りの時間も入って1時間45分。前もって映画を見ていないと、ストーリーを追うのは正直難しい。しかし、実際そんなことどうでもいいのである。舞台の上で展開するのは、まさにクストリッツァの世界そのもの。大勢の登場人物が陽気にバタバタと動き回り、アヒルの集団がその合間を縫う。最初のシーンから映画版でおなじみ「動く箱」が登場し、きたか!と胸が躍ってしまう。愛すべき普通の人々の普通の生活に入り込む幻想的な瞬間。映画の演出とはまったく異なる生の舞台でそれが全く損なわれていないことに、クストリッツァの才能を実感できる。最近の舞台ではよくあることなのだが、映像も演出の一環として使われているので、こちらもお楽しみに。

バルカン半島の人々というのは根が陽気なのか、終始舞台はなんともいえない暖かい空気に満ち溢れている。役者のあおりに合わせて、場内を満たす観衆も手拍子で盛り上がり、ラストでは大スタンディングオベーション。普段のオペラ座とはガラリと変わった雰囲気を味わえる機会でもある。クストリッツァのファンならば、是非この機会をお見逃しなく!

Le Temps des Gitans【ジプシーのとき】
演出 : エミール・クストリッツァEmir Kusturica
音楽 : Dejan Sparavalo, Nenad Jankovic, Stribor Kusturica
2007年7月15日まで

Opéra National de Paris Bastille【オペラ・バスティーユ】
120 rue de Lyon 75012 Paris
メトロ : 1・5・8番線 Bastille
http://www.operadeparis.fr/
注意 : 通常は上記サイトからオンラインでチケット購入可能ですが、残念ながら「ジプシーのとき」の公演はすでに販売終了しています。オペラ・ガルニエかオペラ・バスティーユの切符売り場Billetterieか電話予約ならばまだ購入できるかもしれませんので、お試しください。また7月14日には、無料のマチネ公演(14:30~)があります。
切符売り場の営業時間 : ガルニエ、バスティーユともに10:30 – 18:30(日祝休)
電話予約 : 0 892 89 90 90 (通話料1分0,337€)

前もって映画で予習したいという方!
DVDも発売されていますが、現在5区の映画館で、『ジプシーのとき』を上映中です。
Cinéma le Champo【シネマ・ル・シャンポ】
51 rue des Ecoles 75005 Paris
Tel : 01 43 54 51 60
メトロ : 10番線Cluny la SorbonneかOdéon、4番線Saint-MichelかOdéon
http://www.lechampo.com/

by mayu on 2007-07-02 [シアター]
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