底辺のあるフレンチの美味しさ le Cristal de Sel
今だ街を賑わすビストロブーム。星付きレストランがどっしり構える間を縫うように、気のきいた小さなビストロ達が網羅しているパリ。クラッシックメニューに現代的アレンジをプラスした現代風ビストロが多いもの近年の傾向。
そんな中、昨年オープンしたばかりの人気ビストロ店をご紹介。15区の庶民的界隈にアットホームな田舎のお家風な店構え。シェフはホテル・ブリストル(Hôtel Bristol)でスーシェフを務めていたカリル・ロペ氏(Karil Lopez)。優しい笑顔と温和な雰囲気が料理の優しさをも包み込む。サービスを務めるのは同ホテルに勤務していた ダミアン・クレピュ氏(Damien Crepu)。仲良しだった二人が共同経営という形でこのビストロをオープン。何といっても腕はホテル・ブリストル上がり。オープンと共に近隣客であっという間に埋まってしまうその人気振りは、もう皆さんご存知のよう。
こちらのお店はすべて黒板にあるメニューから選ぶスタイル。シェフが願う、その時期、その日に入った素材の良いものを美味しく提供すること、がモットー。又、メニューに拘らず好きなものを好きなだけ食べてもらいたいという発想。なのでコースは無くどれもアラカルトオーダー。(但しお昼のランチタイムだけメニューがあります。)早速本日のメニューを黒板からチョイス。
とっても親しみある雰囲気で本日のお勧めなどを丁寧に説明してくれるダミアンさん。どれも捨てがたい!バターは当サイトでも以前ご紹介したブルターニュ地方のジャン・イヴ・ボルディエさんのもの。デザートのフロマージュ・ブランもボーディエさんのものが食べられます。それに添えるは店内にびっしり並べられたシェフオリジナルのコンフィチュール。美味しそうなフルーツの組み合わせが手書きのエチケットに書かれずらり並んでいました。又、フロマージュはこちらも以前当サイトでご紹介したマリー・アン・カンタンのもの。しっかり熟成された一品が揃います。お肉や魚も部位や産地に拘りも。
まずは前菜にジロールのポワレ「Poelée de girolle à la bordelaise, jus de poulet (14ユーロ)」と鰯のタルト「Fin Tarte Sardines juste cuites oignons et pissaladière et poivrons marines(12ユーロ)」。ジロールはボリューム満点。どれも食感がしっかりとした実の綺麗なものばかり。さすが!と思わずうなってしまう。鶏のジュをしっかり含んだジロールはコクも増しとてもジューシー。香も芳香で食べ応えありの濃厚な一皿。対する鰯のタルトは抜群のミ・キュイ。柔らかく脂ののった鰯の良さを最大限に引き出しています。間に挟まったタマネギとポワブロンはとても甘くてピサラディエール(オリーブやアンチョビなどをのせたニース風のピザパイ)風の味付けアクセントで相性もぴったり。しかもアツアツなので美味しさも2倍。サラダのドレッシングも美味しかったのが印象的。
メインはラングスティーヌのラヴィオリ「Ravioles de langoustines, embeurrée de choux vert et beurre de nage(24ユーロ)」とリ・ド・ヴォー(仔牛の胸腺肉)のブレゼ「Ris de Veau braise à la canelle, risotto aux girolles(28ユーロ)」。
ラヴィオリはもちもちの皮の中からプリプリのラングスティーヌがそのエキスと共にはじけ出します。クリーミィなソースがチリメンキャベツと絡まって味もしっかり。優しさが口に広がります。そして濃厚一発なリ・ド・ヴォー。お肉は口に入れるとねっとり広がりとろりと無くなる位柔らかい。お肉に直接突き刺されたシナモンスティックは独特のどぎつさは全く感じられず、ふわりと香るシナモン風味がとっても美味。又、ジロールのエキスをたっぷり吸いこんだリゾットはご想像の通り絶品です。パンチのある一皿です。
どのお皿もシェフの拘りと丁寧な技術がきちんと表現されていて味にしっかり出ています。ブリストルというクラッシックフレンチの底辺をきっちりと持っておられるからこそこのような味が出せるんだろうな、と感じるものばかり。そして塩加減がぎりぎり限界の手前。これぞフレンチ、な味付けもブリストルならでは。
心も満たされたところでデザートです。お皿一杯にクネルされたショコラ「Quenelles de Chocolat Noir, fleurette au Safran(10ユーロ)」にフランボワーズのフィナンシェ「Financier à la Framboise et grace vanilla(10ユーロ)」。ショコラは口どけが良くビターなほろ苦さと独特なサフランのソースが相まって大人なデザート。結構、量あります。フィナンシェは外側カリッ、中しっとりで久しぶりに美味しいフィナンシェを食べた!と思いました。バターの香りがとても上質で鼻を突き抜ける瞬間に粉ものデセールの真髄を感じます。中にはしっかりフランボワーズが焼き込まれていてとてもフレッシュ。そしてもう一つ素晴らしかったのがヴァニラアイス。ヴァニラ・ビーンズの量が半端じゃない。写真ではわかりにくいかもしれませんが白というより褐色を帯びたクリーム色。それはそれは贅沢なお味です。
食べ終えて思ったのは、美味しいものを提供したいと思うシェフの想いが心に響く土台のしっかりしたフレンチだったなぁ、ということ。ブリストルで培った技と美味しさの味覚。確実にお皿に表現されています。でもやっぱりここはビストロなのです。お昼にだけ提供されるメニューは前菜は黒板から好きなものをチョイス、そして本日のメイン料理(店頭の黒板に毎日出ています)で何と20ユーロ!又はメイン+デセールでもOK。はたまたメイン+グラスワイン+カフェなんてのもOK。どれも20ユーロ。さすがはビストロです。ちょっと一皿だけサクッと食べたいんだよね、なんて時には持ってこいではないでしょうか?
とにかく、誠実で美味しいフレンチここに有り、です。
le Cristal de Sel【ル・クリスタル・ド・セル】
13 rue de Mademoiselle 75015 Paris
Tel : 01 42 50 35 29
営業時間 : 12:00~14:30 / 19:00~22:30
定休日 : 日・月
メトロ : 8番線Commerce / Félix Faure
http://www.lecristaldesel.fr
by junko on 2008-09-24 [普段着のレストラン]
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