1890年創業、時を重ねた古き美しきビストロ。パリ1区はレ・アール広場(Les Halles)。かつてその昔はこの地区こそが今のランジス市場の役目を担う中央卸売市場であり「パリの胃袋」と呼ばれる賑やかな場所でありました。昔の名残を残すかのように、この近辺には市場の雰囲気を残したフォアグラ店が軒を並べていたり、すぐ側にはビストロやカフェ、お肉屋さんや野菜屋さんなどが連なるマルシェ通りがあったりと食に関するお店がひしめいています。当時の面影を残す美しいタイル壁画や当時のままの古き内装に目を奪われ、いつか来たいなとずっと思っていたビストロ「ル・コション・ア・ロレイユ Le Cochon à l’Oreille」。お昼になるとテラスはいつも満席で手書きの黒板メニューを見ながら慣れた雰囲気でメニューを注文する常連さんのような人達。隣には製菓器具店の「MORA」があり、日頃お世話になっているお店でもあることからいつもここを通り過ぎてはその光景を目にしていましたが、やっと訪れることができました。
せっかくですから中の綺麗な内装を見ながら席に着きたいな。と思いきや、すでに満席。美しいタイル壁画の側には小さいテーブル席がほんの少し、しかも結構狭いキューキューなイス。でもそれがビストロらしくて何とも言えぬ雰囲気なのです。「よかったらカウンターで待っててね」と親切なお言葉を頂きしばしその美しきカウンターも鑑賞。こちらも当時の面影を残すアンティークな雰囲気で本当に素敵なんです。フランス語の手書きメニューが映えるフランスならではの古き良きビストロ。古めきつつも味のあるシャンデリアとタイル壁画が鏡に映って反射、カウンターの食器やグラスがまたまた鏡に映って美しい。近くにあるサン・オースタッシュ教会前に出ていた当時のマルシェの様子が描かれたタイル壁画は、かつてのレ・アール広場が中央卸売市場であった様子がうかがえます。
さて、キューキューのイスに着席したら早速オーダーです。お昼のムニュは本日の前菜、本日のメイン、本日のデセール、で12ユーロ。どうですか、この安さ。勿論カルトも各4-5種づつほどあり、前菜は5ユーロ~、メインは11ユーロ~、デセールは5ユーロ~ととても良心的。この日はカルトからメイン+デセールで選ぶことに。

選んだのはタルタル。「Tartare de Boeuf Charolais (14ユーロ)」さて、ポイントはこのタルタルにはトラディショネル(Traditionel)とドゥ・モマン(du moment)の2つから選べること。前者は言葉の通り定番でクラッシクなスタイルのタルタル。ということで後者をチョイス。
やってきたのはどんぶりのような器に黄身を落としたシャロレ牛のタルタル、薬味、そしてウォッカ。これら全てを自分でいい具合にかき混ぜて作り上げる自家製タルタルなのです。ウォッカはアペリティフとして飲んでもいいわよ、なんて冗談まじりに言って楽しませてくれましたが、全部入れた方がお肉の風味が更に増します、し、入れるべき。薬味はオリーブ、ケーパー、エシャロット、パセリ。そしてテーブル奥に供えられたマスタードと塩・コショウ、そしてオリーブオイルを加えてしっかり器の中で練り上げます。最初は少しずつ混ぜていたのですが、味みをしていくうちにどの薬味もタップリ入れた方が美味しいと確認。ウォッカもお酒が弱くなければ是非全部入れてみていただきたい。
と、コネコネしているうちに熱々のフリットとサラダのお皿がやってきます。その上に手塩に掛けたタルタルをポテンと乗せていただきます。自分で仕上げたものは更に美味しさも倍増。時に街中のカフェなどで頂くタルタルも自分で混ぜたりするものがありますが、ここのオリジナルはウォッカ。注ぐと若干お肉の色が変わりアルコールとあいまってお肉の風味が増すのです。粋な味付けですね。お味はやはりウォッカのお陰で上品な味わいに。まろやかさと薬味のオリーブの風味がとても美味しいタルタルでした。
お友達はランド風サラダ「Salade Gourmande des Landes(16ユーロ)」を注文。ランド地方の名物、鴨をふんだんにあしらったサラダ。鴨の燻製にフォアグラのポワレ、ウフ・ポッシェ。ボリュームもなかなかです。どのお料理もとりわけ洗練された、というものではありませんが、昔ならではのドーン、とわかりやすいクラッシックなメニューでお腹を満たすべくビストロの味。ボリュームがあってお腹が一杯になるそんなあったかい料理ばかりです。
デセールにはグラス・ソルベの盛り合わせ「Coupe de glaces et sorbets(6ユーロ)」。4種好きなお味を選べます。リンゴのクランブル「Crumble aux pommes flambé au Calvados(6ユーロ)」などもあり、直前でカルヴァドスをかけてフランベしてくれます。又他にもグラス・ソルベにリキュールをタップリかけてくれるお酒好きの方の為の1品もあります。最後はコーヒーでしめ。オリジナルロゴの入ったアーモンドチョコをつまみながら、店内装飾をもう一度ぐるり。一人でふらりきても気軽に食べれるビストロです。
また、嬉しいことにこちらは朝からオープンしているので午前中はカフェやプチデジュネとして、夜は0時までですからカウンターで一杯、なんてのもOKなのです。
古き良き時代を残すパリのビストロ。後世に伝えるべき昔のパリ、レ・アールの光景がこのビストロのタイル壁画には残っています。何だかちょっと昔にタイムスリップしたような束の間のランチタイム。本来のビストロの空間を少し垣間見た、そんな気分に浸れるはずです。
Le Cochon à l’Oreille【ル・コション・ア・ロレイユ】
15 rue Montmartre 75001 Paris
Tel : 01 42 36 07 56
営業時間 : 9:30~0:00
定休日 : 日・月
メトロ : 4番線Les Halles

























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