カラフルな心躍る可愛らしいボンボン(キャンディーやグミ)のガラス瓶に魅了され、思わず足を止めました。まるで夢が一杯詰まった宝石箱の様な店内は子供達の笑い声が聞こえてきそう。
2008年10月にオープンしたばかりのボンボン屋さん。フランス各地に点在する伝統と歴史を残す由緒正しきコンフィズリーの老舗店は現在650にも及ぶのだとか。その中でもオフィシャル(公認)な老舗は限られています。そんなフランス各地の選りすぐり集め、中でも厳選したものを各地から1商品ずつピックアップし、このブティックで販売されているのです。つまり、フランスで最も美味しい究極のボンボンがその地毎に楽しめるお店。
まるで子供のようにキラキラした瞳で、一つ一つ丁寧にそして一生懸命説明してくれたのはオーナーのジョルジュさん(Georges)。人と向き合って話すことが大好きという彼は以前は何と「Maxim’s de Paris」や「Pavillon Elysée」などの高級レストランでメートル・ドテルをされていたサービスすご腕なお方。前職からもわかるよう、贅沢で豪華な高級感溢れるラグジュアリーなものを提供し、又人と関わる事が何よりも大好き。いつの日か、その高級感溢れるリュクスな空間で職人さんの手で作り出された愛のある何かをお客様と対話しながら販売したい、とずっと考えておられたのだそう。キュイジニエ達が心を込めて作ったお料理を最高のサービスと共にテーブルへ運ぶ様に。そして今、その夢が叶い全ての人に笑顔をもたらす最高級のボンボンを販売する事になりました。そもそもジョルジュさんのご家族が以前飴製造業を営んでおられた事から、幼い頃には砂糖が溶ける甘い香りをかいで育った為、その懐かしい記憶と美味しいという満足感を誰よりも感じていたとおっしゃいます。そんな子供心に響くワクワクする様な気持ちをいつまでも忘れてほしくない、そして美味しいボンボンを食べて今でも童心に帰るような、誰しもが持つ幼き頃の記憶を懐かしんでもらいたい、とボンボン屋さんに決めたのだそうです。
そんな彼がプロデュースした店内。まず「ボンボン=幼き頃」というコンセプトから学校がテーマとされており、ガラス瓶が並ぶ台は昔の学校の机とイス。壁には黒板がかけられ色とりどりのチョークが散らばります。レジカウンターは昔学校で使われていたという事務デスク、そして棚。どれも気品あるアンティークで雰囲気もばっちり。又、入口側には近所の子供達が書いてくれたという可愛い絵が掛けられてあり、思わず眺めて微笑みがこぼれます。そしてボンボン。その選りすぐりの数々は圧巻ですよ。全てジョルジュさんが食べてみて美味しかったものを厳選。その地にある同じ種類のもの全て取り寄せて、まず食べて、そして選ぶ。ポイントは工場生産ではなく職人さんの手によって一つ一つ作られているもの、そして保存料なし、無着色無添加のもの。
店内すぐの棚にはフランスを誇るベルランゴ(Berlingot)の瓶が並んでいます。ピラミッド型のキャンデーでその三角垂に象るため、専用ハサミで伸ばした棒状の飴を回しながらピラミッド型になる様切っていくのだそう。そのハサミの名前からつけられたのだそうです。右からパリ代表・老舗ボワシエ(Boissier)。カラフルで美しい艶、ピラミッド型と丸型。そしてHautes-Pyrenée地方のもの。味が強く香りも高い。特に茶色のチョコレート味はインパクトがあるのだとか。そして南仏Carpentras地方のものは味が繊細で穏やか、優しい香りが広がるのだそう。シトロン味がお勧め。どれもピラミッド型、つまり「ベルランゴ」なんです。フランスと言えど各地にあるベルランゴ、食べ比べしてみませんか?
お次はアニスの粒を中に潜め砂糖衣で覆ったボンボン。ブルゴーニュ地方Côte d’Orの名産「Anis de Flavigny」はフレーバーも色々あって多彩。南仏Montpellier地方のものも有名で表面がゴツゴツしていて食感も楽しめます。又この地のもう一つのスペシャリテ、ナッツを散りばめたヌガー・ドゥ・モンテリマール「Nougat de Montélimar」も瓶に並びます。ジョルジュさんのお勧めは「Anis de Flavigny」の粒とレグリーズ(甘草の根)味の真っ黒なグミをあえて同時に口に放り込んで舐めること。アニスとレグリーズは相性が良いんです。彼はあえて別々に口に入れそれぞれの味を自分で混ぜながら楽しむのがお勧めなのだそう。左のほっぺにレグリーズのグミ、右のほっぺにアニスボンボン、とフランスの子供がよく落書きする「0+0=0」→○+○=○のイラストと共に紹介されており試食もできます。
今度は中央のテーブル一杯の瓶。緑色のクッション型をモチーフにしたマジパン菓子、ローヌ地方の銘菓「Coussin de Lyon」やHaute Garonne地方の花の砂糖漬け「Fleurs Naturelles Cristalisées」。高価とされるすみれの花のそれは今まで食べた中でも最も香りが高く、そりそりと柔らかくてびっくり。又、パート・ド・フリュイ「Pâte de Fruits」も絶品選りすぐりが2種。まずはFinistère地方にある修道院Abbaye de St-Guenoleのもので、その敷地内にある果樹園から収穫されたフルーツを使い作られたもの。リンゴのペクチンを使用しているので割と弾力があると共にねっとりとした柔らかさ、表面のグラニュー糖は荒めで食感が楽しい。対してAuvergne地方のものは見るからに透き通るような色鮮やかさ。非常に柔らかく口に入れると溶けてしまう程のソフト感。フルーツのピュレを食べている様。どちらも甲乙つけがたい!そもそもパート・ド・フリュイがこの様な宝石の粒になるもっと以前は、型に流してぺろぺろと舐めるものだったのだとか。それが駄菓子として今も売られている「ルドゥドゥ roudoudou」、ウエハースカップに赤や緑、黄色などのゼリーが流されたもの。元祖はLoiret地方の「Cotignac d’Orléans(4ユーロ)」というものでCoing(マルメロ)のパート・ド・フリュイが木箱に流し込まれており、食べる時は箱の側面をくるりとはがして舐めるのだそうです。
そして是非ともお勧めしたいのがアンゼリカの砂糖漬け!町中で見かけるものはもっと濃い緑色でテカテカで、ブリオッシュやバターケーキの飾りなどにのせられている、あれです。ジョルジュさんが厳選したのは全くもって違うものでles Deux-Sèvres地方のNIORTのもの。自然のままの色は薄い緑。何よりも肉厚でそっと齧ると砂糖衣がシャクっと音を立てたと思うと中は何と柔らかいことか!アンゼリカってこんなに美味しかったっけ!?絶対思います。少々お高いですが、こればかりは食べてみて頂きたい。他にもジューシィなコンフィやキャラメル等があって目移りしてしまいます。
さて最後は店内奥、黒板のすぐ下に綺麗に整頓された瓶達。こちらはグミコーナー。中でもレグリーズréglisse(甘草の根)味のグミの種類の豊富さ。そもそもレグリーズは昔、薬草として食べられた植物で心臓にもいいと言われています。独特な味と香りで若干苦さを感じる為、好みがあるかもしれませんが、フランスでは子供達も普通に食べているお馴染みの味。北アフリカが原産でアカシアの木からゴム質を抽出し自然のままにグミ化したもので「Gomme Arabiqueゴム・アラビック」と言われています。又フランスでは南仏も産地でありその歴史は15世紀からに及ぶのだそう。1890年創業Montpellierに老舗を構えるレグリーズ専門店「Réglisserie Chabernac」のものはゼラチンを一切使わずゴム・アラビックを使用し、自然の甘味と独特な苦味をそのまま封じ込めた素晴らしいもの。そしてどれも手作りの為カットされた大きさがマチマチ。心のこもった温かいグミです。
可愛い顔型のものは「マスク・ノアール」。しっかりした弾力に透き通るようなレグリーズの味。レグリーズグミの元祖です。白く正方形なのはヴァニラ風味をきかせた柔らかいもの。でもしっかりレグリーズの味。濃い黒色で小さく切られたものはハードで味もキツ目。レグリーズ好きには刺激的な粒。他にも蜂蜜入りや、表面を砂糖でまぶしたもの、スミレ×レグリーズ味のもの等、種類が多いこと。レグリーズはゆっくり舐めながら口の中で溶け出すエキスを楽しむもの、なのだとか。そして珍しいのがユーカリ(eucalyptus)のグミ。鮮やかな緑色に砂糖衣。咳や喉痛、鼻づまりなどに効果があり、口に入れるとペパーミントのように鼻がスーっとします。風邪の方にはお勧めです。又普通のキャンディーもカラフルな色でオレンジの花水、イチゴ、スミレ味やミントもあります。とにかく一杯で迷ってしまう。
以前来られたお客様でお年を召されたマダムが、「小さい頃、ママに“一粒だけよ!”と言われると嬉しくて嬉しくて、欲しいボンボンを一生懸命探すのが楽しみだった。懐かしいわ。」と話してくれたのだそう。誰もが持つ遠く懐かしい記憶を思い出し喜んでもらうのもこのブティックを開く夢の一つだった、そう嬉しそうに語ってくれました。
「パリにはそれなりに多くのボンボン屋さんがあるけれど、こうしてボンボンの由来や文化・歴史を対話しながら販売してくれる店が多くはない。今やスーパーでは工場生産された袋入りの着色料たっぷりなボンボンを手にする母親も少なくない。技術と文化と歴史が誇る職人の素晴らしい手作りボンボンがこんなにも残っているのだから、是非ともそれらを忘れずにいて欲しい。」そう願ってひとつひとつ心を込めて説明してくれるのです。どこで、どんな風に、何を材料に作っているのか、それがいつから続くものなのか。。。400年も500年も遡るフランスのボンボン文化。「当時と変わらぬ製法で今も手作りされるボンボンの甘さを知っている現代の子供達はどれぐらいいるだろう?忘れるも何よりも、まず知らない事の方が多いのではないか?だからこそ、伝えるべきであり文化を残すべきである」、とジョルジュさん。
ボンボンはどれも量り売り。勿論一粒だって購入可能!「小さい子供がポケットから10サンチームを出して、これで買えるだけちょうだい、って言うだろう?ボンボン屋さんなんだから一粒からでもOKにきまってるよ!」とジョルジュさん。”人生はボンボンがあればより素晴らしいものに。。。そんなあなたの為に、フランスで最も素晴らしい職人達のコンフィズリーを寄せ集めました”、そう書かれた黒板の前で笑顔。長い歴史と文化を持つボンボン、この美味しさ絶対後世に伝えるべき、ですよね。
Le bonbon au palais【ル・ボンボン・オゥ・パレ】
19 rue monge 75005 Paris
Tel : 01 78 56 15 72
営業時間:10:30~13:00 / 13:30~19:30
定休日 : 日・月曜の午前中
メトロ : 10番線Cardinal Lemoine
キャンディー・グミ系 4.5ユーロ/100g
パート・ド・フリュイ 5.5ユーロ/100g
コンフィ 6.5ユーロ〜/100g
花の砂糖漬け 13.5ユーロ/100g
その他 3.5ユーロ〜/100g
http://www.bonbonsaupalais.fr/

























m said 昨日行ってみたら、もうお店がありませんでした。