パリ北駅から電車で1時間40分。そろそろかなと思い始めた頃に、電車は終点駅「ラン(Laon)」に到着する。
ところで、「ランってどこなの?」といった感じで、この街をご存知の方はそれ程はいらっしゃらないと思う。
ランは、パリより東北へ130キロ離れたフランス ピカルディー地方の南部に位置しており、現在でも、街の城壁内には、80をも越える歴史的建造物が残る、丘の上の美しい城壁の街として知られている。
駅前広場に出ると、はるか上空を見上げるような感じで、カテドラルの姿が目に入ってくる。それもそのはず、このカテドラルがあるシテ(丘の上の城壁の街)と、下の街との間には、100m以上もの標高差があるのである。徒歩で行くなら、駅前からの道が、そのままシテの街に上り着く階段(これが、かなりの傾斜)へと続いている。体力に自信のある方なら別だが、普通の方は、広場左手にあるポマ(POMA)乗り場へ。これは、フランス初の運転を完全に自動化したケーブルカーで、1989年に開通。今では、下の街と、シテの街を結ぶ大事な交通手段となっている。小さな箱型ケーブルカーだが、民家の間を走り抜けるさまなどは、まるで遊園地のジェット・コースターのようで多いに楽しめる。
ポマを降りると、「市庁舎(Hotel de Ville)」とその広場に出る。この市庁舎は、見るからに現代風なのだが、それと言うのも、1831年、新しい市庁舎と、その広場を作るが為に、まだ若かったルイ7世と、フィリップ・オギューストが中世時代の王宮を取り壊させてしまったのだそうである。これについて、ビクトル・ユーゴーは、次のように残している。「全てが美しいラン。しかし、こんなバカげた市会に、私はお目にかかった事がない。」と。
それでは、観光を進めていこう。ここから、カテドラル広場までは歩いてもすぐ。
ランの象徴は、何と言っても「ノートル・ダム大聖堂(Cathedrale Notre Dame)」。個性的な5つの塔を伴なったカテドラルの姿は、下の街からでも、到着した電車の窓からでも、それだけがはっきりとランの丘の上に浮かび上がるように映る。建立されたのは、およそ1150~1230年。頂塔や、5つの塔をはじめ、垂直的な建築法が用いられている為か、初期ゴシック様式であるにも関わらず、ゴシック独特のとげとげしさは全く感じられない。13世紀に入ると、シャルトルや、ランスなど、フランス国内におけるカテドラル建立にも大きな影響を与える事となった。
注目すべきは、西側ファッサード上にある塔。これは、長方形を模る塔に多くの空間(隙間)が見られるユニークな特長を持っている。また、もう1つは、塔のアーチの下に置かれた石製の牛の彫刻像。これは、このカテドラル建立の際、石材を運搬した牛の伝説を表したものだそうである。
カテドラル内に入ってみよう。身廊は、アーケード、高壇、トリフォリウム、高窓の4段から成っており、すっきりとした印象を与えている。また、ゴシック様式のバラ窓は、直接壁にはめ込まれており、小さなキリストを抱くマリアのステンドグラスを取り巻くように、当時の芸術や、中世の教育、道徳感、聖歌隊などの様子が描かれている。1120~90年にかけて製作されたこれらのステンドグラスは、未だに80%がオリジナル。称して「スタイル1200」と呼ばれている。
カテドラルすぐ横には、約1170年に建てられた「オテル・デュー(Hotel Dieu)」がある。この病院は、フランスで最も古い歴史的保存建築物だそうである。その当時、病室として使用されていた地上階のサル・デゥ・マラードは、今日では、観光案内所として使用されている。シテ内には、お土産屋さんと呼べるお店が1件(道を挟んで観光案内所の向かい)しかないので、ポストカードなどは観光案内所内で購入しておいた方がよいであろう。
それでは、ここでもらった観光マップ(無料)を参考に主な見所を紹介していこう。
まずは、中世時代の門。現在でも14の門が存在しているが、その中で、ラン市が通行を許可しているのは3つの門のみ。
その当時は城壁であった、住居と住居の間に存在する、7世紀に作られた「シュニゼル門(Porte des Chenizelles)」。
13世紀になると、シュニゼル界隈や、森のようなサン・ヴァンサンへの通行路(歩道)として使用され出した。
「ソワシオン門(Poete de Soissons)」は、8世紀のものだが、13世紀に立て直されている。門の街側は、19世紀に壊されてしまっているが、2階建てになっていたのが見て取れる。昔は、螺旋階段もあったらしく、そこから頂門まで上り、敵陣に備えたようである。
「アルドン門(Porte d’Ardon)」は、時としては「王の門」とも呼ばれた。何故ならば、近くに王宮の建物があったのと、1590年 3月会議の後、アンリ4世がこの門を通り、ラン国に入国した事によるそうである。現在でも、威厳のある、多いに風格を感じさせる門である。
なお、上記、3つの門は通行自由であり、夜になるとライトアップもされている。
また、このシテ内には、大、小さなざまな教会や、修道院が残っている。中でも1番古いのは、6世紀建立の「サン・ヴァンサン修道院(Abbaye Saint Vincent)(見学不可)」、そして、7世紀の「サン・ジャン修道院(Abbaye Saint Jean)(見学不可)」である。
サン・ヴァンサン修道院については、広い敷地に張り巡らされたフェンスの隙間から、修道院跡を眺める事が出来るのみ。
当時は、素晴らしいルネッサンス様式のファッサードを持った大きなゴシックの教会が建っていたらしいのだが、現在残るのは、宿舎であった建物のみで、計り知れないわびしさを感じる。
写真は、「サン・マルタン教会(Eglise abbatiale Saint Martin)(見学不可)」。こじんまりとはしているが、全体的にまとまった気品溢れる教会である。建立は、1122年。ファッサードは、ゴシック様式である。残念な事に、12人の使途の彫刻の頭部は、革命時に砕かれてしまっている。その横に付属する建物群は、昔、この教会の宿舎であったもの。現在では、中央病院と、市立図書館として使用されている。
「トンプル騎士団礼拝堂(Chapelle des templiers)」の建立は、12世紀。その当時、ランに滞在した十字軍の兵士たちの為に建立された物がいまでも残存している。礼拝堂はロマネスク様式で、八角形の上に蓋をかぶせたようなシルエットをした小さなもの。そばに無造作に置かれたロマネスクの彫刻品群のかけらも、ゆっくり見てみると面白い。
なお、同じ敷地内には、「ラン博物館(Musee Laon)」もある。古代ギリシャのガラスや、ガリア時代の遺物、又、17世紀のラン出身の画家ル・ナン(Le NAIN)兄弟の作品などが展示されている。
少し変わった風景としては、シテの端に位置する「バッテリエ・モ-ロ(Batterie Morlot)」もお薦め。青々とした芝生が茂る中に、雑然と配された岩々。ナンだろう?と思いつつ、塔のある場所まで上がってみる。今日は、天候にこそ恵まれなかったが、そこからは、眼下に広がる下の街をパノラマで眺めることが。。。。。。
実はこの場所、昔、ランの兵士たちが、同じラン県内の兵士たちと戦略のコミニュケーションを取る為に使用していた所。
昼間は、鏡と太陽の光、夜間は、石油ランプなどを利用し、視覚的に信号を送りあったのだそうだ。
このように、マップを片手にシテ内を自由に散策。天気さえ良ければ、多いに楽しめる街である。手っ取り早く、ランの街を巡りたい方には、「ラントラン(Lain Train)」もお薦め。カテドラル広場より出発し、35~45分でシテ内の主要観光箇所を廻ってくれる。
また、シテ内には、幾つかのレストランや、ブラッスリーもあるのだが、お薦めはサン・ジャン通りにある「レスタミネ・サン・ジャン」。手頃な値段で、ピカルディー料理がいただける地元の人々に人気のビストロである。
最後に。。。。皆さんにまだ充分な程の元気が残っていたらですが、帰りはポマを使わずに、階段で下の街まで戻ってみてはいかがでしょうか。
アクセス SNCF パリ 北駅(Gere du Nord)より、ラン(Laon)行き乗車 (約1時間40分) 終点駅ラン下車
POMA 運行時間 月曜~土曜日 7時~20時(3~5分おき) 片道チケット1,10ユーロ
観光案内所(Hotel Dieu)
pl du Gautier de Mortagne 020000 Laon
Tel 03 23 20 28 62
開館時間 2010年1月2日~4月2日、9月21日~12月31日 月曜~土曜日 9時30分~12時30分、14時~17時30分 日曜、祝日 14時~17時30分
2010年4月3日~9月20日 毎日 9時30分~18時30分
閉館日 無休
www.tourisme-paysdelaon.com
ラン博物館(Musee Municipal de Laon)
32 rue Georges Ermant 020000 Laon
Tel 03 23 22 87 00
開館時間 2010年6月1日~9月30日 11時~18時
2010年1月2日~5月31日、10月1日~12月31日 14時~18時(午前中は、予約の団体のみ)
閉館 月曜日、1月1日、5月1日、7月14日、12月25日
入館料金 3,60ユーロ、 割引(団体、子供)2,70ユーロ
www.ville-laon.fr
ラン・トラン(Laon Train)
Cathedrale前から出発(所要時間 35~45分)
Tel 03 23 20 31 97
出発時間 11時、14時、15時、16時、17時
料金 大人 5ユーロ、 子供 3,50ユーロ、 6歳以下 無料
お薦めのレストラン(手頃な値段でピカルディー料理がいただける)
L’Estaminet St Jean
23 rue St Jean 020000 Laon
Tel 03 23 23 04 89
営業時間 昼 火曜~日曜日 12時~14時
夜 火曜、木曜日 19時~21時30分 金曜、土曜日 19時~22時
定休日 月曜日、 水曜と、日曜日の夜
www.estaminetsaintjean.com




























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