ロアンヌ(Roanne)にある歴史を背負う3つ星レストランで有名な「トロワグロ(Maison Troigros」」。ピエール・トロワグロ氏に継ぎ、現在は息子さんのミッシェル・トロワグロ氏が腕を振るい、今も尚その歴史は刻まれ続けている老舗レストラン。そのトロワグロ氏がプロデュースするレストランが華やかなシャンゼリゼ、ここパリにもあります。
近年話題の「ホテル・ランカスター Hotel LANCASTER」内にある2004年オープンのレストラン、「ラ・ターブル・ドュ・ランカスター La Table du LANCASTER」。翌年、ミシュラン1つ星を獲得。トロワグロのオマージュとして全てにトロワグロエスプリが散りばめられてはいるのですが、このダイニングを担うシェフ、ジュリアン・ロシュトゥー(Julien Roucheteau)氏の豊かなセンスがトロワグロの扉へと素晴らしく導いています。
優しい瞳の奥深くから感じる料理への思いの強さとキラリ光る鋭い眼差し、力のこもった握手。パリにある専門学校L’École Grégoire-Ferrandiにて基礎を整えた後、フランス元老院(Présidence du Sénat)にてジャン・ジャック・マトゥー氏(Jean-Jacques Matoux)とジル・ポヤック氏(Gilles Poyac)の側で見習い期間を経、18区のテラス・ホテル(Terrass Hôtel)にあるモンマルトルの景色を望むテラスが美しいレストラン、ラ・ディアパソン(La Diapason)のシェフに就任。その後ジョルジュ・サンク(Georges V)はシェフ・ルジャンドゥル(Philippe Legendre)のもとへ。そして2008年9月、ここランカスターのシェフに就任。現在持つ1つ星を背負いながらトロワグロ氏の料理を崩すことなく、且つシェフ・ロシュトゥーのパフォーマンスが豊かに溢れる皿の数々を披露されています。氏の料理を知っておられる方には、あぁ、あの有名な料理だ!とすぐにわかるも、その味わいの魅力の奥にロシュトゥーシェフの個性を感じるはず。今期2つ星を狙う今注目のシェフなのです。
ちょっぴりトーンを落とした店内は、低めのテーブル席にソファが並ぶ大人っぽさ漂うバーのような雰囲気。壁にはオリエンタルな絵画が飾られておりトロワグロ氏の雰囲気もオマージュ。席数は少なく決して広いスペースではないけれど、中庭テラスを望む心地よい空間となっています。
トロワグロ氏とロシュトゥーシェフの融合を堪能するべくデギュスタスィオンコースを頂くことに。全品4種のコース(115ユーロ)と7種(145ユーロ)のコースがあります。この日は7種のコースでしたが、特別に彼の作品を追加で紹介して下さいました。是非アラカルトのチョイスにご参考下さい。
まずはアミューズにパルメザンチーズのサブレとクリームのクロケットで下鼓。続く前菜は「ホタテ貝のメルバ・キャビア添え Melba de Saint Jacques au caviar」。薄く薄くスライスされたホタテは甘みがあってミルキー。薄いので2-3枚まとめてくしゅっと口に入れるとその柔らかい食感が優しく甘さも広がります。オゼイユ(ハーブの一種:スイバ【酸葉】又はスカンポ【酸模】)の酸味が同じ口あたりでまとわり、キャビアのプチプチがふゎ~っと口に充満。シトロンのゼストが散らされた甘みと酸味の融合はこれぞトロワグロのスペシャリテ、「サーモン・オゼイユ」を想像させられます。各人にサーブされるシルバーポットでのパン(3種)もとてもスタイリッシュで気分を盛り上げてくれます。
そして「ポティマロンのラビオリ・フレッシュトトリュフと共に 「Mezzaluna de potimarron à la truffe fraiche」はプルンと歯ごたえのあるラビオリ?と思いきや生野菜で仕立てられたラビオリ風。黄色い方はトピナンブールのピュレを生のポティマロンのスライスで包みこんだもの、そして白い方はポティマロンのピュレを生のポム・ド・テールのスライスで包み込んだもの。どちらも薄く中が透けて見える具合が美しい。シャキッとした食感と中に潜むクリーミーなピュレは絶妙なコントラスト。トリュフで贅沢に香りを立たせシンプル素材を引き立て合う前菜です。スープはポティマロンのコンソメ。軽いようで食べ応えのある存在感溢れるこのお皿もトロワグロ氏のあのお皿だ!と思って頂けるもの。
そして次は温かい、「フォアグラのポアレ・ラディッシュのコンフィ添え Foie gras poêlé aux radis confits et acidulé de grenade」。フォアグラの甘みが何とも言えぬその口に、ラディッシュのコンフィを放り込むと酸味を感じる甘いジュがじわっと広がります。グルナードゥ(ザクロ)の果汁でコンフィにされたというラディッシュはオレンジジュースと共に煮つめ、本来持つ苦みを残しながらうまい具合に甘みと融合して酸味を感じるものに変化した、キャラメルを思わす苦みに変化しています。ラディッシュはイタリア産なのだそう。小さなポーションでも満足感を得る見事な一皿です。
次に「スズキのグリエ・ミラベル添え Filet de bar de lignes et mirabelles」。皮目からプルンとはみでた身でその鮮度もおわかりでしょう。とても脂ののった旨みのあるスズキ!軽く塩をしてソテーし、素材そのものの甘みを十分に楽しみながら絡めるのは人参とオレンジのソース。この軽やかな酸味と甘さが絶妙なマリアージュなのです。周りに散ったミラベルはキャラメリゼして煮つめてからコンフィにすることでオニオンコンフィのような酸味と苦みを感じるものになっています。もちろん甘みも。フルーツが料理を立派に引き立てる美しいお皿はふわふわの身と共にとっても美味しかったです。
そしてお肉は「ウサギの背肉とラングスティーヌ・酸味のあるジュと共に Râble de lapin et langoustine, jus acidulé 」。しっとり柔らかいお肉とプリッと弾力のあるラングスティーヌ。どちらかというと弾力性のあるラパンの背肉は微妙に同じ食感を保ったラングスティーヌと一緒に口に入れるととても心地良く混ざりあい、両者独特な甘みが相まって何とも言えぬ美味しさ。その周りにはオゼイユが巻き込まれ酸味と風味もプラス。ソースはラパンとくればマスタード。決して素材を邪魔しないように強すぎず、穏やかにその酸味を感じる仕上がりになっています。そして食感にはポムスフレ!薄くてもしっかり歯ごたえを感じるとても贅沢なガルニチュール。まるで絵画のような、手の込まれた美しさと躍動感を感じるお皿でした。
フロマージュも忘れてはなりません。「トリュフ風味のブリー・ド・モー Brie de Meaux à la truffe 」上質のブリー・ド・モーにトリュフを挟みこんだもの。優雅な香りが広がる中、ミルキーでトロトロのブリーと一緒にまとわりながら喉を通過すればワインもすすんでしまいます。
お待ちかねのデセールは、「カシスのスフレ・栗のアイスクリーム添え Soufflé au cassis avec une glace à la châtaigne」。これは何とも素晴らしい1品でした。綺麗に焼き上がったスフレは本当にフワフワで柔らかすぎず固過ぎずの泡のような食感。中にはとろりとアングレーズソースが仕込まれています。カシスの酸味が温かさと共にふわりと口の中を刺激します。お供にはラム酒のきいた栗のアイスクリームとメレンゲ。一緒に食べると尚美味しい。栗とカシスという組合せはよくあるけれどもこういう風に一体化するととても上品!
そしてもう一品、「パッション・バナナ・ライムのクリームソルベ Effeuillé de passion, banana et citron vert」。繊細かつインパクトを兼ね備えた個性あるデセール。おかわり!と言いたくなる、爽やかさにコクがあって病みつきになる味でした。デセールではバナナを使うとその一皿がバナナ一色な味になりがちなものですがなんのその。上にのった丸いものはバナナと思いきやパッションのソルベ。薄い生地にサンドされているのがバナナのクリーム。ライムの酸味をプラスして、そしてキャラメルクリーム!見事に一体化していてこれも本当に美味しかった!口の中がさっぱりするも、後を引く美味しさでした。
そしてパティスリーにも力の入ったこのレストランでは、こんな芸術作品も頂けます。「フォレ・ノアール風ショコラとグリオットのムース・シャンティ Comme une forêt noire, chocolat, griottes, chantilly」。仕込みが大変!と想像させられるような美しいフォームは崩すのがもったいない。グリオットのふわふわソースが広がるお皿にビターなビスキュイショコラの台、ドーム型のショコラを崩すと中からは優しいショコラのムースとグリオット、そしてシャンティがお目見えします。これは芸術作品ですね。至福の溜息をついたら余韻と共にカフェタイムといきましょう。自家製ミニタルトシトロン、マロングラッセ、パンデピスのミニケーキが付いたプレートはお砂糖も3種用意されていて至れり尽くせり。写真は食後を癒すミントティー。重厚なシルバーポットにたっぷりサーブされており3杯、いや4杯分はあるでしょうか。余韻を味わうために食後もゆったり時間をとりたい、そんなレストランです。
酸味と甘みの達人でもあるメゾン・トロワグロの料理。そこにはフルーツと野菜が沢山盛り込まれ、それぞれに持つ素材の酸味と甘みが一体化されている。
だからこそ、ここラ・ターブル・ドュ・ランカスターでも素材への拘りは人一倍。ランジスから毎日届く新鮮食材は魚はブルターニュから、肉はオーブラックから、鶏肉はブレス産、と厳選も欠かせない。素材を尊重し最大限の旨みを引き出す事こそが料理人の使命。そして氏へのオマージュを表現しつつ個性をたっぷり活かしたメニューの数々を展開しているロシュトゥーシェフ!キッチンの中は仲間との一体感を常に大切にしておられるのだそう。シェフ自身も、過去の経験を活かし練り上げた新作メニューであれど、全てスタッフに意見を聞き、改善しながらみんなで作り上げるとのこと。パティシェチームはジョルジュ・サンク出身のフランソワ・ペレーシェフ(François Perret)率いる 5人態勢。かゆいところにも手が届く美味しさの究極、そしてプレゼンテーションの素晴らしさを実現。
トロワグロへの扉から広がるロシュトゥーシェフの世界。そこには両氏のベストが融合した魅惑的なお皿の世界が並んでいます。今注目のシェフの2つ星!是非獲得していただきたいですね!
La Table du LANCASTER【ラ・ターブル・ドュ・ランカスター】
7 rue de Berri Champs Elysees 75008 Paris
Tel : 01 40 76 40 18
mail予約 : restaurant@hotel-lancaster.fr
営業時間:12:00~/ 19:00頃~
定休日 土曜日の昼
メトロ 1番線 George V , Franklin Roosevelt
http://www.hotel-lancaster.fr



































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