パリは12区。メトロ駅 ドーメスニルを上がると、そこにはフェリックス・エボーエ広場を中心とした庶民的な地域が広がっている。何の変哲もないように思われるこの場所に、実はとてもクオリティーの高い、お薦めのパティスリー「ラ・ミュスカデット( La Muscadette)」がある。
実はこのお店、日本のグルメ雑誌でも既に取り上げられており、知る人ぞ知る!パティスリー。
それもそのはず、パトロンシェフであるセバスチャン・デガルダン(Sébastien DEGARDIN)さんは、3ツ星レストラン「トロワグロ」で8年、その後、2年半を「ピエール・ガニエール」でシェフパティシエとして活躍されていた方。「ガニエール」時代には、同時に東京や、ロンドンなどでのコンサルティングの仕事も兼ねていたそうである。その彼が独立し、奥様であるサンドリンヌ(Sandrine)さんと、ここ12区に彼らのパティスリー「ラ・ミュスカデット」をオープンさせたのが約3年前。今では、この地域の住民にとって欠かすことの出来ないパティスリーとなっている。
店内は、さほど広くはない。しかし、オレンジ色をベースとしたセンスの良いプレゼンテーションには、すっきり整然とした印象を受けさせられる。
ショーケースに並ぶケーキは、平日で35種類、週末には40種類に及ぶ。
地域柄か、昔ながらのケーキを好む年配の客層も相変わらず多く、トラデションと、モダンなものとがバランスよく並ぶように考慮されているようだ。
お店を担当するのは、マダム・サンドリンヌ。とても、チャーミングなアジア女性である。(最初は、日本の方かと思い、そうかと尋ねてしまった程。)その彼女に、「ラ・ミュスカデット」のスペシャリテや、セバスチャンさんのケーキに付いて伺ってみたところ・・・・。
「うちには、これ!というスペシャリテはないんです。全てがスペシャリテと言うか、逆に、全く無いと言うか。確かに、トラデションタイプのものは、年間を通してショーケースに並びます。でも、モダンなクリエーションタイプのものに付いては・・・・・セバスチャンは、何時も前を見つめています。同じところ(時)に留まったり、後戻りをしないの。シーズン毎に、次々と新しい作品を彼のインスピレーションと共に創り出し、以前の作品に付いては、余程の事が無い限り2度と作りません。その為、「以前、ある雑誌で見たんですが、○○○というケーキを下さい!」と来店されても、それが既に姿を消してしまっている事もあって。だから、うちのスペシャリテはこれ!って言えないんです。」との事。
その為、彼女は接客中に、そのお客さんの、その日のニーズ、欲するものを尋ね出し、それに相当するケーキをアドバイス(紹介)しているのだそうだ。例えば、「今日は、フルーツたっぷりのケーキが食べたいんだけど。」とか、「軽めのチョコレートケーキが食べたい気分なのよね。」といった風に!
それでは、ショーケースに並ぶセバスチャンさんのケーキをトラディションタイプのものからご紹介していこう。
バルケット・オ・マロン(Barquette aux Marrons 3,5ユーロ )、ポロネーズ(Polonaise 3,1ユーロ)、アリ・ババ(Ali-Baba 3,5ユーロ)、パリ・ブレスト(Paris-Brest 3,5ユーロ)、オペラ(Opéra 4ユーロ)、エクレア(Eclair ショコラ、カフェ、ヴァニラ 各2,3ユーロ)など、昔ながらのケーキがおよそ15種類ほど。
それらの中で、面白いと思ったのはアリ・ババ。中央に突き刺されたスポイトにはラム酒が入っており、各自の好みでラムの量を加減出来るアイデアと、フォームが可愛らしい。
セバスチャンさんお薦めのケーキはこの4つ。シボレン(Cbollent)は、ビスキュイ・アーモンド・ヴァイオレットに、ヴァニラのババロアをたっぷりと詰め、その上を赤と、ヴァイオレットのフルーツで飾ったもの。アンブレ(Ambre 4,50ユーロ)は、ビスキュイ・ショコラをベースに、ショコラ・ノワールのムース。中には、とろ~と流れ出すキャラメルが潜んでいる。
ピーチのロールケーキは、ぺッシェ・ミニョン(Péché Mignon 4,4ユーロ)。ピーチ風味のビスキュイ・ロールの中は、ピーチのロティと、ココリコ(ひなげし)の花のクリーム入り。土台にサブレ・ブルトンを据え、アクセントにピーチのマカロンを! なんとも、丸ごとピーチっと言った感じの美味しさ。
4つ目は、エデルフィナン(Edelfingen 4ユーロ)。ブリセ生地のタルトにアーモンドクリームを詰め、シュトロゼルと、チェリーで仕上げたものである。
そして、以下は私が自分の好みで試してみたケーキ4種。タルトレット・オ・フランボワーズ(Tartelette aux Framboises 3,7ユーロ)は、ブリゼのタルト生地に甘み控えめのカスタード・クリーム。大粒の新鮮なフランボワーズがとっても嬉しい。2つ目は、私も個人的にも大好きなタルトレット・シトロン・マッチャ(Tartelette Citron-Macha 3,5ユーロ)。サクサクのタルト生地に、軽い酸味を伴うレモンのアパレィユは、爽やかな美味しさ。写真の緑の部分は、抹茶味となっている。
続いては、最近はなかなか口にする機会にも恵まれなかったサント・ノーレ(Saint-Honoré 3ユーロ)。美しいフォームと、ドカ~ンとした存在感に、何だか引き寄せられるように買ってしまった感じ。シューの硬さも丁度良く、中のカスタードクリーム、外のシャンテー共に甘さ控えめ。これは、素直に美味しい!と言える1品。最後は、ロゼ・デ・ボワ(Rose des Bois 4,4ユーロ)。ガトー・ブルトンに木苺、刻んだナッツ類を載せ、シブーストで覆ったもの。上部は、木苺とローズ・ぺタル(バラの花びら)のコンフィでデコレーションされている。どのケーキも甘さは控えめで、クオリティーの高い上品さを感じさせるものばかり。甲乙は付け難い。
尚、今回ご紹介したこれらモダンタイプのケーキに付いては、お店がバカンスに入る前の7月に取材させて頂いた時のもの。9月に入った今日、それらはもう店頭には無いと思っておいて頂きたい。
その代わり、セバスチャンさんの秋らしい新作がショーケースを飾っているはず。
ケーキ以外にも、店内にはバロティンや、オランジェットなどの各種チョコレート(6ユーロ/100g)や、ギィモーヴ、自家製コンフィチュール(大瓶 6ユーロ、小瓶 3,50ユーロ)、ヴィエノワーズリーなど美味しそうなものが沢山揃っているので、こちらも是非試してみたい。
パリの中心からは少し離れているが、それでもわざわざ出かけて行きたいパティスリーである。
La Muscadette【ラ・ミュスカデット】
29 bd de Reuilly 75012 Paris
メトロ : 8番線 Daumesnil
Tel : 01 43 07 77 59
営業時間 : 火曜~日曜日 8時~19時
定休日 : 月曜日
























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