2009年のアヴィニヨン演劇祭では、この「火事Incendies」(「焼け焦げるたましい」というタイトルで日本で上演された)を含む、「沿岸Littoral」「森Forêts」「空Ciels」とともに(「約束の血」というタイトルで全部で四部作シリーズ)が、一挙に上演され話題になった。
ムアワッドは1968年、レバノン生まれ。8歳の時に内戦の為、家族とフランスに亡命したが受け入れられず、カナダのケベックへ辿り着く。この「Incendies」も舞台はレバノンとカナダだが、幸いにもこのストーリーは彼自身の経験ではない事を言っておきたい。
ジャンヌJeanneとシモンSimonの双子の姉弟は、死が近づいている母ナワルNawalの遺言書によって、会ったことのない実父と実兄を中東まで捜しに行くことになった。母は、その2人に手紙を渡して欲しいという。2人を捜すために、ジャンヌは母の人生を、母の祖国で辿り始める。田舎の小さな村で、許されぬ恋愛の末に産み落とされた兄。内戦の中、その生き別れた子を見つけ出すため、どんどん危険な運命を辿って行く若き日のナワル…。
映画は何章かに別れており、カナダのケベックから始まる現在と、ナワルが生きている過去とが交互に展開する。劇場では3時間ほどの長い作品だが、ヴィルヌーヴVilleneuve監督は2時間に短縮する事に成功した。ムアワッドの書いたこの四部作シリーズは、人物関係がややこしく、理解する為には、何度も観なくてはいけない。ところが、映画だと重要ポイントだけを簡潔に整理されているし、状況や背景などが理解しやすい。
70年代、ムアワッドの祖国レバノンでは、宗教上の争いで内戦が激しかった。ナワルの人生を通して、いかに非人間的行いが戦争で起こっているのかが知る事ができる。ストーリーが進むにつれて、謎が一つずつ解けて行くので、長丁場になっても苦にならないのだ。たとえ、最後にどんな悲劇が待っていても…。
この作品は、2010年にカナダではトロント映画祭や、イタリアのヴェネツィア国際映画祭などで賞を取っており、さらに第83回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされている。
2010年 フランス・カナダ作品 131分
監督:ドニ・ヴィルヌーヴDenis Villeneuve
脚本:ドニ・ヴィルヌーヴDenis Villeneuve、ワジディ・ムアワッドWajdi Mouawad
出演:ルブナ・アザバルLubna Azabal 他

















うさじろう said 6月に久々パリ行き決定。詳しい方にお聞きしました。 必ずいきます。