2007年にカンヌ映画祭でパルム・ドールにノミネートされ話題を集めた、オーストリア出身のザイドル監督の最新作 Import Exportが、2年経ったこの最近やっとフランスの映画館で公開中である。
まず気になるのが、この映画のポスターであろう。ベッドの上で、金髪の女がこちらに背中を向けて何かをしている。その傍らにはマウスとキーボード。
今時のインターネット繋がりの性事情の映画・・・?と思うかもしれない。
実はこの映画、オーストリアとウクライナで起こる、二人の若者のストーリーを描いた物である。
ウクライナ人の看護婦、オルガは母親とまだ幼い赤ん坊を養う為に看護婦として病院で働くが、ある日クビにされてしまう。 彼女はとりあえず金の為にと、インターネットのライブウェブカメラ専用のアダルトサイトで働こうとするが、そこまでプライドを捨てる訳にもいかない。(ここでポスターに使われたシーンが出てくる)途方に暮れた彼女は、新しい仕事と人生を探しに、オーストリアに居る友達を当てにウクライナを後にする。
オーストリア人の青年、ポールは警備の仕事から解雇されてしまい、義父の仕事の運び屋を手伝うことになる。 その一環で、オーストリアからウクライナまで、ゲームセンター用のゲームを運ぶ事になるが・・・。
この映画の中で、オルガとポールは実際に会う事は無い。しかし一方はウクライナからオーストリアへ、もう片方はオーストラリアからウクライナへと、同じ希望を持って移動していく。その中で、彼ら達は理想と現実の狭間を漂いながら、屈辱の味を知り、社会の厳しさを噛み締めていくのだ。
ザイドル監督特有の、ドキュメンタリータッチの撮影で、今の社会の陰の部分がユーモラス溢れる方法で照らし出されている。この映画の中で、権力、セックス、死というテーマは何度となく繰り返され、時にはコミカルに、時には美しく、そして残酷に描かれている。
この映画で心に残ったシーンは主人公二人の繰り出す全く異なったダンスシーンである。オルガは死を直前にした老人と、ラジオから流れる曲と共に地下の倉庫でスローダンスを踊る。老人は彼女に結婚しようとささやく。彼女は年も違いすぎるし結婚したって何するの、と彼に優しく微笑む。次の日、彼女は彼が死んでしまった事を知らされる・・・。
ポールは、ウクライナのホテルのクラブで、若い女を口説く義理の父親を横目に一人で踊る。夢中になって、何かを忘れるかのように・・・。次の日、彼は義理の父を部屋に残し新たな生き方を求め、ホテルを出て行く。
主人公を演じる二人はどちらも今回が初めての映画出演であり、今まで全く演技経験もない素人である。オルガを演じた彼女は、実際元看護婦であり東ヨーロッパを出たのはこの映画の撮影で初めてだったらしい。ポールを演じる彼は、失業者であり、役とかなり近い境遇に居た。この二人が、映画の中で葛藤しながら人生の目的を見いだそうとする姿勢にますます現実感を与えるのだ。
Import Export【インポート エキスポート】
2007年 オーストリア作品 135分
監督 : ウルリッヒ・ザイドル Ulrich Seidl
出演 : エカテリャナ・ラックEkateryna Rak, ポール・ホフマンPaul Hofmann, マイケル・トーマスMichael Thomas 他



















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