ボーヌに来たならば必ず訪れて頂きたいのがここ。「オスピス・ドゥ・ボーヌ(Hospices de Beaune)ボーヌ救済院」と名付けられたこの建物、又の名を「ホテル・デュー(Hôtel Dieu)・神の宿」。ブルゴーニュ公爵フィリップ・ル・ボン(Chancelier du Duc de Bourgogne Philippe le Bon)の宰相ニコラ・ロラン(Nicolas Rolin)により1443年に建設された病院・慈善事業施設。百年戦争が終戦となった当時のボーヌはとても貧困で、病人や飢饉に苦しむ人々が沢山いました。宰相ニコラは妻のギゴーヌ・ド・サラン(Guigone de Salins)と共にこの貧しい人々の為にこのオスピスを建設。がしかし、お金のない人々は治療費を支払うことも出来ないが故に来れませんでした。そこでニコラ夫妻は所有するブドウ畑をオスピスへ寄付し、そこで作られたワインの収益を貧しい人々達の治療費に充てて無料で診てあげるようにしました。人々にとっては正に「神の宿」だったのです。中世のその当時、施設内には沢山のベットが設けられ尼僧達が看病を。又、のちに貧しい人々ばかりでなく貴族達にも評価を得、多くの寄与が集められ施設は拡大。美しい装飾や機能設備も進むと神の宿は次第に「貧しき者の為の宮殿」と呼ばれるようになったのだそう。1971年に病院機能は移転し、ここは養老院として残された現在、時を経て受け継がれるブドウ畑での栽培が盛んに。その広さ何と61ヘクタール。ここから作られる「Hospices de Beaune」もお土産には外せない一本です。
そんなワインの産みの親でもあるこの場所では現在ブルゴーニュを代表するワイン祭りが毎年11月の第3土曜日から3日間に渡りここで催されています。「栄光の三日間 Chapitre des Trois Glorieuses」と呼ばれるそのお祭り2日目の日曜日にここの中庭で行われるワインオークションがとても有名。その年のワインの味、品質、そして相場価格をも評価すると言われるほどとても注目を浴びる時なのです。その庭は「名誉の中庭」と呼ばれています。
又、世界のワイン関係者達が集まり、「利き酒騎士団(La Confrerie des Chevaliers du Tastevin)」という、ワイン普及推進を担う為に選ばれた方々の入団会や晩餐会も開かれます。団員だけに認められる深紅のマントをはおう利き酒騎士団。叙任者の中には勿論日本を代表する有名な方々も沢山おられます。
そんな素敵な宮殿を覗いてみようではありませんか。受付をくぐるとまず迎えてくれるのは「名誉の中庭」この庭を取り囲むように各部屋に分かれており何度も眺めることができます。神が宿るようなその屋根瓦は何とも言えぬ色と模様。光の加減で微妙に雰囲気を変える幾何学模様。圧巻の眺めです。中央に配置された井戸はゴシック式の傑作らしく又、施設の水源として働いていたそうです。この中庭は見る方向で目に映る屋根瓦の雰囲気も違って見えます。是非色んな角度から楽しんでみて下さい。
まずは「貧しき者の広間」へ。柏材造りの尖頭ヴォールトになった高い天井と広い面積を持つこの部屋には真っ赤な布団が用意されたベットがびっしりと並んでいます。ここで病人達は傷を癒し中央に置かれたテーブルとベンチで食事をとっていたとのこと。当時の様子が目に浮かぶ広間です。隣にはチャペル。つまりこの施設が宗教と深い繋がりを持つことを意味しています。看病にあたった尼僧達にもなくてはならぬチャペルだったのでしょう。
中庭を真ん中に隣へ進むと「聖アンヌの部屋」ここは見学不可ですので窓越しに見て下さい。この部屋の奥にあるタペストリーは祝祭日に隣の「貧しき者の広間」へかけられたそうです。
さて次は「聖ユーグの部屋」。ここも入ったトタンにゴクリと息を飲むような厳かな空気が漂っています。司教聖ユーグ・ベトー(Maitre Hugues Betault)によって作られたそうです。奥にある11枚の絵は「キリストの奇蹟」。美しい天井画は「ベツザイダの泉の奇蹟」。ペストで亡くなった二人の子供を生き返らせたというユーグの奇蹟が描かれているのもここ。
そして「聖ニコラの部屋」へ。ここは重病人の部屋だったのだそう。ルイ14世が資金援助をしたことで拡大され男女別々の部屋に。現在ではオテル・デューの歴史を辿る展示室となっています。
お次は「厨房」。ここは患者達の為に食事が作られたキッチン。作業している尼僧達の人形がリアル!奥の暖炉は当時のまま残されており必見です。また白鳥の首をかたどった温水用の蛇口も見ものです。隣部屋の「薬局」では当時院内で作られ、使われていた薬の瓶や治療用の陶器がびっしり棚に並べられています。まだまだ薬学が発達していなかったこの頃は植物や微生物などをもとに様々な原料で薬が手作りされていたそうです。建物内の裏手には薬の材料となる植物菜園があったようです。不思議な単語がひしめく瓶達、「カコノソウの粉 Valeriane」や「ジギタリスの粉 Digitale」をはじめ「リュバルブの粉 Rhubarbe」なども。よ~くみると「ワラジムシの粉 Cloporte」や、「ザリガニの粉 Ecrevisse」といった奇妙なものも色々あります。辞書を片手にじっくり見てみて下さい。
「聖ルイの部屋」には貧しい人々の為に毎日パンを焼いていたというかまどがあります。又、ブルゴーニュの土地柄を色濃く残す調度品などが展示されており、中でも16世紀当初に織られた素晴らしいタペスリーが壁一面に飾られています。立体感のあるそのデザインは当時の面影が描写されています。
最後は「ポリプティック(衝立画)」の間。フランドルの画家・ロジエ・ヴァン・デール・ヴェイデン(Rogier van der Weyden)の作品、「最後の審判」が見られるのはここです。真っ暗な部屋に浮かびあがるように光り輝く画は圧巻。是非じっくりと鑑賞して頂きたい。
どの部屋もゆっくりと時間をかけてみたいものばかり。最後はブティックでお土産などをお買いもの。思い出に「Hospices de Beaune」を一本購入するのもいいですね。外に出れば名誉の中庭。ここでオークションされるワイン達。世界から集まる騎士団達が決める今年のワインはどんなものでしょう。救済院から生まれたワインが繋ぐ名誉の歴史。今年も11月が楽しみであります。
【ボーヌへのアクセス】
パリ・ガール・ドゥ・リヨン(Gare de Lyon)駅からTGVの直行にてディジョン(Beaune)駅下車。(所要時間約2時間。Bercy駅発の在来線なら途中、数ヵ所停車にて所要時間約3時間20分)
ボーヌ駅から市内へは徒歩で10分程。
ボーヌ市内中心の地図
Hospices de Beaune (Hôtel-Dieu)【オスピス・ドゥ・ボーヌ(オテル・デュー)】
rue de l’Hôtel-Dieu 21200 BEAUNE
Tel : 03 80 24 45 00
Fax : 03 80 24 45 99
入館料 : 大人6.5ユーロ / 学生(又は団体)4.8ユーロ / 子供 2.8ユーロ(10歳未満は無料)
開館 :【1月1日~3月20日】 9:30-11:30 / 14:00-17:30
【3月21日~11月15日】 9:00-18:30
【11月16日~12月31日】 9:00-11:30 / 14:00-17:30
http://www.hospices-de-beaune.tm.fr





























初めて知りました。
この催しに是非来年、家内を行かせたいと思います。
私は残念ですが行けません。