パリで絶妙なアルデンテのパスタを頂くこと、それはなかなか容易なことではないでしょう。フランス語で麺類を総称して呼ばれる「Pâteパート」や「nouilleヌィユ」というパスタはどちらかと言えば付け添えにされる食材で、しっかり茹で上げクタクタになったぐらいがおきまり。この柔らかパートはとりわけ子供達には大人気のメニューではないでしょうか。
7区に程近い15区はカンブロンヌ(Combronne)に、正統派イタリアン、いや、サルディーニャ料理も楽しめるリストランテがあります。2005年にオープン以来、その美味しさと料理への誠実さにリピーター達が通い詰める、知る人ぞ知る穴場の人気店として君臨しています。
オーナーのフラビオさん(Flavio Mascia)はサルディーニャ島のご出身。サルディーニャ島(Sardegna)とはフランス領でもあるコルシカ島の南部にあるイタリア領の島。シチリア島にも程近い、夏は太陽の眩しい絶好のヴァカンス地であります。素材、品質と鮮度、料理、ワイン、地中海の味わい、そしてサービスに至るまで食に関する全ての事において忠実で熱心である彼の想いが、ここで食事をしてお店を出る時にきっと感じられるでしょう。そんな彼のリストランテでは通常のパスタのみならずサルディーニャ料理なども頂くことができます。
店内はシックで正統派ガストロノミーな雰囲気。きちんとかけられたクロスが今宵のランチ・ディナーを待ちわびているかのようです。がしかし、夏のこの時期に是非予約して頂きたいのが中庭テラス。外から見るとオレンジ色の塀で覆われており想像もつきませんが、なんとその中は心地良い雰囲気を演出したテラススペース。まるで地中海を臨む島のテラスにいるかのようにパリの喧騒をふと忘れさせてくれます。実はこのすぐ表は車の行き交うパリの道路、そして上には6番線のメトロが走る高架もあるのですが、そんな景色も一瞬にしてサルディーニャ島にタイムスリップ。広さはこぢんまりとしてはいますが、塀に施されたモチーフや、所々に配された緑、蔦のからまるその葉にはなんとトマトがたわわに実っていたりと、ちょっとした演出からフラビオさんの想いを感じられます。
さて、席に着いたらキリリと冷えたイタリアンワインを頼み、太陽を浴びながらお料理を待つことにしましょう。サービスはダミアンさん(Damien)が取り仕切っておられ、スタッフ皆さんとても丁寧親切に対応してくれます。飛び交うイタリア語も雰囲気をプラス。
まずはアンティパスト(前菜)に「タコのカルパッチョ Mosaico di polipo con pomodoro e basilico (17ユーロ)」。薄く薄くスライスされ、プレスされたタコは繊細な食感と共に、上質オリーブオイルとフレッシュなトマトの果肉とあいまって、その一体感の美味しさを感じさせてくれます。口の中を引き締めてくれるバジルがアクセント。オリーブオイルがピュアでとても美味しいので、パンがすすんでしまうのでご注意を。
お待ちかねのパスタは「ボンゴレスパゲティ Spaghetti aux palourdes, ail et huile d’olive légèrement pimentée(21ユーロ)」と「トマトのタリオリーニ Tagliolini al brucio(18ユーロ)」。まずはテーブルに置かれた瞬間に湯気と共に立ち込める素材の香り。鼻で美味しさを感じます。ボンゴレは期待を裏切らない絶妙なアルデンテ!ゆで汁にしっかりきかせたお塩とふんだんに投入されている仕上げのニンニク、そしてアサリの旨みがぎゅっとスパゲティに吸い込まれています。アサリはパリでも高級食材。味が水っぽかったり、身が縮んで固くてがっかり、となることが多いのですが、さすが素材のこだわりにはオーナーの想いが込められています!身はふっくら柔らかく、味わいとエキスがしっかりしていてとてもフレッシュ。仕入れてすぐの新鮮アサリが使われていることがわかります。そしてスパゲティは食べ終わるまでのびることなくアルデンテ。火加減のテクニックとはここに差がでるのですね。大満足の一皿。そしてタリオリーニは、予想とは裏腹な平たく細い細いもの。もちもちでずっと口の中に入れていたい食感。ソースがしっかり絡まって、中はアツアツ。湯気が立つほどです。トマトの酸味と甘みがお肉のジュと混ざり合い、クリーミーでコクのある濃厚な一皿に仕上がっています。ふっくらと弾力はあれども柔らかいこの細さ。フォークの先にたっぷりソースを絡めながらくるくるとまとまってくれるので小さな一口でも食べ応えを感じます。イタリアではパスタメニューは前菜の次、メインの前に食べるお皿。手始めに食べるようですが、日本人の我々にとっては「メイン」的存在。なので量の割にはちょっぴり値が張るように感じるかもしれませんが、この一皿にかける隅々に渡る料理人の想いと素材をいかに美味しく食べてもらうかを極めた丁寧さから妥当、と思って頂けるはず。大きく長い特大胡椒引きで、テーブルの上でがりがりと仕上げてくれたりする素敵なサービスもあったりします。
太陽の下、飛び交うイタリア語を聞きながら、熱々のもっちりパスタを堪能したらすっかり気分はイタリアヴァカンス。デセールはイタリアならではのフロマージュ、「ペコリーノ・サルディーニャ産 Pecorino sardo (8ユーロ)」と、スペシャリテがギュッと詰まった「デセール3種盛合せ Trio de desserts FontanaRosa (10ユーロ)」を堪能。ペコリーノはコクのある濃い味わいで、見た目に薄くはらりとお皿に乗っているように見えますが、食べてみると結構なボリュームです。デセール盛り合わせは欲張りさんにはもってこいのお皿。特製ティラミスの食感はフワフワタイプ。軽いのにコクがあって、お酒がふんわり香る上品な味わい。丁寧に作られたと感じられるものでした。パンナコッタはとってもミルキーでクリーミー。ぷるんとしていてもっちりしていて何とも言えぬその食感が病みつきになる美味しさ。ソースを付けなくても、十分美味しいものでした。オレンジのサラダもただのマリネではなく、繊細な風味を感じるジュがとてもジューシーでした。
最後はやっぱりエスプレッソ(3ユーロ)で〆。カップに注がれたカカオ豆の雫はきっちり苦くて、キチンと風味があります。お砂糖をたっぷり入れてぐいっと飲み干せば幸福感に満たされます。もちろんその前の食後酒に上質グラッパもありますよ。
美味しいものがただ食べれる、ということだけではなく、それプラス美味しく作ろうと心を込めている作り手の気持ちが伝わる食卓は心が満たされる充実感と幸福感を感じられます。来てよかった、また来よう、そう思えるリストランテです。
料理は科学、などと言ったりもしますが、フラビオさんは正に錬金術のようなものだと語ります。シンプルでありながらも、真の味わいが感じられ、その旨みがゆっくりと穏やかに、そして繊細に感じ取れるよう調理し、最後は高貴なものに仕上げること。テーブルに運ばれてきた瞬間にふわっと香り立ち込める魚介類の香りがとてもピュアでフレッシュであることがそれでしょう。季節の食材を重視し、メニューを組みかえることも忘れません。
現地のスペシャリテでもある小さい粒状のパスタ(Flegola)はプチプチ、もちもちして病みつきになる味わい。もちろんメニューにもありますが、これらの食材は入り口にて販売もされているので、食事後、気に入ったものをお土産にすることもできます。
テラスは夜も開放されているので心地良い夜風にあたりながらディナーを楽しむのもいいですね。夏のヴァカンス中も無休で営業されるとのこと。ちょっとしたサルディーニャ島へのグルメ旅。気軽に訪れてみて下さい。本格派リストランテ。正真正銘の味がここにはあります。
Fontana Rosa【フォンタナ・ロサ】
28 rue Boulevard Garibaldi 75015 Paris
Tel : 01 45 66 97 84
営業時間: 12:00~14:30 / 19:00~22:30 (週末は23:00まで可能な場合もあります)
定休日 無休 *夏のヴァカンス中もオープン
メトロ: 6番線Combronne , Sèvres-Lecourbes
http://www.fontanarosa-ristorante.eu
■ムニュ
19ユーロ(前菜+メイン又はデセール) *ランチ(月~金)のみ
26ユーロ(前菜+メイン 又は メイン+デセール)
30ユーロ(前菜+メイン+デセール


































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