芸術家を魅了した白亜の断崖 Étretat

クロード・モネが描いた白亜の断崖 Etretat【エトルタ】ロマン主義を代表するウジェーヌ・ドラクロワEugène Delacroix、光の画家という名の下に印象派として活躍したクロード・モネClaude Monet、写実主義のギュスターヴ・クールベGustave Courbetなど多くの画家が描いたエトルタÉtretatの白い断崖。画家だけではなく、ギ・ド・モーパッサンGuy de Maupassantは幼少から所縁の地であったエトルタにまつわる小説『女の一生une vie』の大ヒットの後、ここ、エトルタに別荘を建てている。また、怪盗ルパンで有名な小説家モーリス・ルブランMaurice Leblancの傑作『奇巌城』はエトルタの断崖、大針岩がモデルとなっており、彼の住居は、アルセーヌ・ルパン記念館Clos Arsène Lupinとして公開されている。

そんな芸術家達を魅了した北フランスはノルマンディー地方の小さな町、エトルタは今日は観光名所としても有名だが、電車は通っておらず、ル・アーヴルからバスで40分。バスターミナル前には観光局があるので、散策用のマップをもらおう。町自身は小さいが、断崖を巡るコースはお手軽な3分コースから、じっくり派の1時間40分コースまでマップに示されている。

先端が腕または象の鼻のように伸びて門を象るポルト・ダヴァルPorte d'aval【エトルタ】海岸の砂利浜まで出ると、両手に広がるのは断崖のパノラマ。
左手にはアヴァルの断崖Falaise d’Aval。オルセー美術館蔵のクルーベの作品にも見られる先端が腕または象の鼻のように伸びて門を象るポルト・ダヴァルPorte d’aval。海岸から見る景はそのまま絵になるが、せっかくなので、登ってみよう。
一歩踏み出すと、そこはまるで登山道。強い海風に打たれる絶壁に生える背丈の低い植物は、堅い高山植物のよう。道なりに進めとポルト・ダヴァルの頂上に立てる。すぐ目の前に小さな針山Aiguille d’Aval、そして先には連なる絶壁が望める。

イギリス海峡の激しい波に時間をかけて削られた絶壁は燧石と白亜からなっている。細粒白色の石灰岩である白亜はもろいため、景色に見とれて崖の縁まで行かないよう、気をつけよう。断崖に見られる縞を描く黒い層は燧石からなっている。断崖が崩れるとき、燧石を残して白亜は海水に溶かされる。むき出した燧石が繰り返し並みに打たれ、表面に磨きがかかり、切り立つ中に丸みを帯びたこのような形状となるのだ。脆い白亜質からなる断崖は毎年10cmの浸食を記録しており、光の動きで情景が変わるだけでなく、エトルタの景は日々、変わりつつある。

ポルト・ダヴァルPorte d'avalの前には針山Aiguille d'Aval【エトルタ】 水が湧き出る断崖ピースウズPisseuses【エトルタ】

ここからの道のりはゴルフ場を横目に進んで行く。天候の変化が激しいため、地は抜かるんでいたりと、起伏に富んだりと小道は益々険しくなる。長距離散策を目指す場合は歩きやすい靴で望もう。
海岸絶壁をなす小さな谷Valleusesを超えると、刳り貫かれた門、マヌポルトManneporte、その先には断崖から水が湧き出るピースウズPisseuses。苔に溜まった水分が石灰岩によって集められ、岩から湧き出ている。
この辺りまで来ると、ポルト・ダヴァルの上で戯れる観光客が粒のように見える。散策者も少なくなり、白亜の断崖と青い海のパノラマを独り占めにできてしまう。天気がよければ、お弁当を持参して、ピクニックを楽しみたい。

波で丸くなった小石を集める砂利産業が盛んだったアンティフィエ海岸Plage d'Antifier【エトルタ】散策コースの折り返し地点、ヴァルーズ・ダンティフィエValleuse d’Antifierまでは約一時間のお散歩コース。その先にはアンティフィエ海岸Plage d’Antifierが広がっている。出発地点の海岸同様、砂利浜の海岸。この地域ではかつてこの砂利産業が盛んで、波で丸くなった小石を集めて馬や船を使って運搬していたのだ。今日では、貴重な自然資源としてこの小石を持ち帰る事は禁止されているので、お土産には写真で我慢を。
帰路は折り返して同じ道を帰るのも良いし、ゴルフ場を沿いの田舎道を歩くのもいい。地平線まで広がる畑や森を通過して、中心街に戻ろう。

アマンの断崖の頂上にはシャペル・ノートル・ダム・ド・ラ・ギャルド【エトルタ】ハイヒールで来てしまった人は、海岸に向かって右手に広がるアマンの断崖Falaise d’Amontへ。300段程の階段を登るのはハードだが、前述に比べると道は良いし、登りながら開けて来る断崖のパノラマを楽しみながら頂上まで頑張ろう。
小さな教会、シャペル・ノートル・ダム・ド・ラ・ギャルドChapelle Notre-dame de la gardeは船乗りを讃える小教会として1854年に建設された。しかし、第二次世界大戦中に破壊され、今日見られるのは1950年に立てられたものだ。ガーゴイルが魚の形をしているところに、海の教会が感じられる可愛らしいチャペルだ。
また、パリ-ニューヨーク無着陸飛行に挑戦したナンジェセールとコリーが消息を絶つ前の最終通過した地点として60°傾いた全長24mの白い矢、モニュメントMonument Nungesser et Coliが建っている。
ここまでは、車でのアクセスもでき、年配の方や探検準備ができてない方も気軽に断崖の頂上からのパノラマを堪能できる。

また、アルセーヌ・ルパンはエトルタ断崖、海、そして町が見下ろせるお城に、生まれたばかりで捨てられたという設定なのだが、ファンならそんなルパンの生活が味わえる豪華なホテル、ル・ドンジョンLe Donjonで奮発したいかも。

Étretat【エトルタ】
ル・アーヴルle havre駅横のバスターミナルからFrecamps行きの24番のバスで40分

Office de Tourisme【観光局】
Place Maurice Guillard 76790 Étretat
営業時間 6/15〜9/15 9:00〜19:00、9/16〜6/14 10:00〜18:00
休業日 : 11/11〜3/15の日
http://www.etretat.net/

by aki on 2007-09-26 [バカンスへ行こう]
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