2人の監督のビデオレター Victor Erice / Abbas Kiarostami
バルセロナ在住の友人から、「秋ごろポンピドゥー・センターにすごい展覧会が行くから、絶対見にいくように!」と前から言われていた。それこそがこの、『Victor Erice / Abbas Kiarostami Correspondances』である。バルセロナにあるCentre de Cultura Contemporania de Barcelona(バルセロナ現代文化センター、CCCB)で去年の春に開催されていたものが、パリへ巡回してきたのだ。
スペイン人のビクトル・エリセと、イラン人のアッバス・キアロスタミ。言うまでもなく、二人とも現在の映画界において、世界的に重要な監督だ。実はこの二人、同じ1940年に生まれ、誕生日も1週間違いという、同世代も同世代なのである。さらに二人の作品の中では、子供の視線が非常に重要な役割を占めている。エリセの『ミツバチのささやき(1973年)』、キアロスタミの『友だちのうちはどこ?(1987年)』などの作品を見て、その鮮烈さに感動を覚えた経験がある方も多いはず。そんな二人は国境を越えた友情で結ばれ、ビデオレターを交わしている仲だというのだ(といっても、CCCBがこの企画のために二人の間をとりもったらしい)。

- © Víctor Erice : photo : Maria Moreno
P.C.-CAMM Cinco S.L. – Abbas Kiarostami
: Elisa Resegotti, Musée national de
cinéma de Turin, © Adagp, Paris 2007
期待に胸を膨らませて入場すると、左手にはキアロスタミのコーナー、右手にはエリセのコーナー。「どちらからご覧になっても結構です」とのことだ。いずれに進んでも、彼らの映画以外にも、写真やインスタレーションなどの作品が豊富に展示されており、その限りない表現の世界の奥の深さに、改めて溢れる才能を感じ取ることが出来る。二つの岐路は、奥のビデオレターのプロジェクションコーナーで合流するのだが、エリセから始めた私は、ビデオレターを見る前に入り口に戻って、キアロスタミのコーナーから再スタートしてしまった。
このビデオレターというのがまた熱い。なにせ、二人の友情は現在進行形。新しいビデオレターが作成され次第、ここポンピドゥー・センターにも届いて上映されるというのである。その内容は彼らの世界や視点が前面に出た、むしろ個人的なもの。手紙をビンに詰めて海へ流すエリセ、手紙を書くために雨の中町の外に向かうキアロスタミ・・・。彼らの自然で穏やかな視線に、あたたかい人間性を感じずにはいられない。表現者の内面が見えてこそ芸術、と改めて実感できる。他人のお手紙を覗き見する・・・というのもやや気が引けないこともないが、このような個人的なものに一番人間の内面は表れるのかもしれない。
入り口の外に設置されたコンピューター端末には、この展示のために特別に開発された『Ligne de Temps(時の線)』たるソフトが積まれており、好きなビデオレターを選んで、詳細に見直すこともできる。また同時に、センター内の上映ホールにて、この2人の監督のレトロスペクティブも開催されているので、十分に彼らの世界の余韻に浸ろう。
Victor Erice / Abbas Kiarostami Correspondances
【ビクトル・エリセ/アッバス・キアロスタミ コレスポンダンス】
2008年1月7日まで
Centre National d’Art et de Culture Georges Pompidou
【国立ジョルジュ・ポンピドゥー芸術文化センター】
Pl Georges Pompidou 75004 Paris
アクセス : メトロ 11番線 Rambuteau, 1・11番線 Hôtel de Ville 1,4,7,11,14番線 Châtelet
RER A, B Châtelet
TEL : 01 44 78 12 33
開館時間 : 11:00~22:00、木〜23:00、美術館〜21:00
閉館 : 火、5月1日
入場料金(企画展及び常設展) : 10ユーロ、 割引 8ユーロ、 18歳以下 無料
第一日曜は美術館入館料無料
www.centrepompidou.fr
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冬休みピッツバーグの大学から帰ってきた娘がこのブログを見ていて、「ダディ、肩に力が入りすぎているんじゃないの?」といわれた。完全に英語圏で育った娘は簡単な日本語しか読…
トラックバック by NY金魚 - 2008-01-11 @ 3:57 am