草間彌生のドットの世界 Dots Obsession
今夏の流行ではないかもしれないが、毎年、夏になると涼しげな水玉アイテムが気になったりする。そんな水玉模様、ドットに掛ける日本人作家がいる。日本を代表する現役巨匠、草間彌生だ。8月中旬迄、ラ・ヴィレット公園のラ・グラン・ダールでフランス初の大規模なインスタレーションが見られる。狂いと天才の間を行く彼女の作品は、増殖する水玉模様。見ていると、視界が覆われるだけではなく、水玉に飲み込まれそうに…。
子供の頃から統合失調症に病み、幻覚に悩ませれ、その妄想を描き留めた草間。母親のポートレイトに水疱瘡のようにドットを塗り込めたり、と少女時代のデッサンに、すでに尋常ではない破壊性が見られた。
1954年に渡米し、コンテンポラリーアートの道を進む。ヴェネツィア・ビエンナーレでは正式参加できず、裸体にドットを塗るたくり、芝生に横たわるというゲリラ参加も。
そんな彼女も今日では世界的な前衛作家であるだけではなく、小説家としても活躍し、最近、アルテで放映された村上龍監督の映画「トパーズ」にも出演と、美術の域を超えて多彩に活躍している。
遠方からも、ガラス張りの大ホールに詰まったピンクの球が目を引く。黒の水玉に覆われたショッキングピンクの巨大なビーチバレーボールだ。宙に吊られもの、地に着いたもの、地にのめり込んだものと、跳躍感のある一見キッチュなインスタレーション。しかし、増殖する水玉に侵略されるという悪夢なのだ。
巨大な球のいくつかは、パビリオンと化して、彼女の増殖する水玉が体感できる。一つ目の内部は遊園地の空気の入った大きなぬいぐるみ、エアートランポリンを想起させる壁面。壁に沿って黒くて丸いクッションが置かれており、ふわふわ揺れる壁にもたれて座れると、自分も水玉のハーモニーに紛れてしまう、不思議な感覚。水玉に飲み込まれるというのは、こういうことか、と。
次のパビリオンはミラーハウスだ。反射する自分と水玉がどこまでも反復し続ける。自分の映りが水玉とともに増殖していくのだ。
最後のパビリオンは中には入らず、穴から覗いてみる鏡の世界。壁面の鏡とミラーボールに映る水玉はどこまでも続く。
インスタレーションの中央部にはマンハッタン自殺中毒を歌う作家のビデオが放映されている。ポップなインスタレーションとは裏腹に狂の世界が目覚める。
ドットに拘る『狂』の世界をもっと知りたい方は、別室で放映されているアメリカ時代1967年から今世紀までのビデオワークを是非見てほしい。7作のビデオで構成されており、全部見るとトータルで35分もある。入り口に注意書きがあるのだが、お子様にはお勧めできないし、洗脳されやすい方も悪夢に悩ませられる可能性が大だ。
フランスのテレビで放映される日本映画やクローズアップされる作家に、フランス人の日本人そして、日本という国への偏見的な理解も少なくない今日。会場では、若い普及スタッフが迎えてくれ、作品及び作家紹介をしてくれるので、一日本人として同郷の作家への理解を深め、自分なりの見解を持つのもいいかもしれない。
Dots Obsession【草間彌生/ドッツ・オブセッション】
会場 : Grande Halle de la Villette、211, avenue Jean Jaurès 75019 Paris
会期 : 2008年7月11日〜8月17日14:00〜22:00
休館日 : 月
入場無料
メトロ: 5番線Porte de Pantin
http://www.villette.com/
Yayoi Kusama【草間彌生】
草間彌生公式サイト: www.yayoi-kusama.jp
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