クールベのめくるめく絵画人生 Gustave Courbet
オルセー美術館にその多くの作品が所蔵されている、フランス写実主義の巨匠、ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)。現在、グラン・パレ国立ギャラリーにて、オルセー以外の美術館が所蔵している作品も集めた、一大回顧展が開催されている。ということは、『オルナンの埋葬Un enterrement à Ornans』や『画家のアトリエL’Atelier du peintre』、『世界の起源L’Origine du monde』といった超有名作は、この展覧会終了まではオルセーではなくこちらに来ないと見ることができないので、注意しよう。
ロマン主義一色だった当時のフランス絵画界に、写実主義という新風を吹き込んだといわれるクールベ。彼の生活や人生の中にある、ごく普通なシーンをありのままに描いた・・・という、一般的に知られる「定義」以上に、この画家を心理的にも掘り下げて知ることができる、かなり気合の入った展覧会である。もともとクールベはことにアクの強いキャラクターの持ち主であったが故、それが如実に作品に反映されているのをありありと目の当たりにできるのが、非常に興味深い。
展示はクールベの人生を追う形で順序だてられているので、まずは若き日の作品から見学することになる。スイスとの国境もほど近いフランシュ・コンテ地方、山の中の村オルナンで生まれ、21歳でパリにやってきたクールベ。どこにいようがお国大好き、訛りもなかなかとれなかったらしい。そんな彼の初期の作品は、故郷の山の風景をバックにした、ナルシスト系自画像のオンパレードだ。後の1855年、パリ万国博覧会で『オルナンの埋葬』と『画家のアトリエ』が落選してしまった際、自分で有料の個展を開いてしまったということからもうかがえる、自己主張の強い個性が、すでに出ているのである。
またそれ故、当時のマスコミからもいたく注目を浴びていたらしく、新聞等に掲載されたクールベ関連の風刺画も同時に展示してあるのが面白い(写真家ナダールNadarの風刺画家時代の作品も多々ある)。
その後も、故郷をはじめとし、さらにはノルマンディーの海などの素晴らしい風景画、どこまでも官能的かつリアルな女性のヌード、フランスでは殆ど描かれることがなかったという狩や山中の動物画(クールベ本人も描かれることが多かったという)など、ひとくくりにするのが難しいほど様々な題目に魅せられたクールベ。晩年には、芸術作品保護委員会を結成しその長になり、第三共和政府の芸術政策に反抗するなど、政治参加も盛んであった。1870年には、パリ・コミューンの一環で、ナポレオンのシンボル、ヴァンドーム広場の円柱撤去運動のかどで投獄もされている。結果1873年にスイスへと亡命し、そこで生涯を終えることになる。この展覧会も、その頃に描かれた静物画の一連で幕を閉じる。
オレ大好きナルシストから始まり、市民運動の闘士としてその絵画人生を終えたクールベ。彼はフランス史、そしてフランス絵画史の激動の時代を生き、さらにはそれをその個性で作り上げた人物でもあった。
きっと、展覧会の出口に足を運ぶ頃には、すっかりこの偉大な画家の強烈さに心を乱されてしまっているはずだ。
展覧会 Gustave Courbet【ギュスターヴ・クールベ】
2008年1月28日まで
開館時間 : 10:00~22:00、木曜は~20:00。12月24日と31日は~18:00。
閉館日 : 火曜
入場料 : 一般10ユーロ、割引8ユーロ。1月7日まで同時開催のデザイン・コントル・デザイン展とのコンビネーションチケットは、一般17ユーロ、割引14ユーロ。
http://www.rmn.fr/gustavecourbet/
Galeries nationales du Grand Palais
【ギャラリー・ナショナル・デュ・グラン・パレ】
3 avenue du Général-Eisenhower 75008 Paris
メトロ : 1・13番線 Champs-Elysées Clémenceau
http://www.rmn.fr/galeriesnationalesdugrandpalais/
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