空気の澄んだ涼しい季節になると、キャンドルに火をつけて秋の夜長を楽しみたくなります。フランスではフレグランスを始めキャンドルは生活の一部に溶け込んだ日常アイテム。お気に入りのキャンドルを焚いていい香りに包まれながら贅沢な気分に浸るのも心のケアには大切。
フランスでも最古の歴史を誇る老舗シール(ワックス/キャンドル)メーカー「CIRE TRVDON」。ブティックとしてはパリでここだけ。太陽王ルイ14世(1638-1715)の時代にクロゥド・トリュドンCLAUDE TRVDON(Trudon)氏により1643年に創業。初めは食料品店としてパリ1区、サントノーレ通り(rue Saint-Honoré)のサン・ロック地区に店を構えておられました。砂岩や陶器の取扱いもしており、家庭向けのキャンドルや教会用のキャンドルを小教区などにも販売し始めます。なのですぐ側にあったサン・ロック教会へも勿論キャンドルを提供。それが歴史の大きな始まりになるのです。その後はパリ南部にあるアントニー(Antony)に工場を移し、現在はノルマンディ―地方にお引越しされたのだそうです。
キャンドルは自家製で少しずつノウハウを高め努力を重ね、その後自社工場を作りあげ、息子が後継者となって日用品雑貨・キャンドル商人となります。TRVDON一家のキャンドルは評判をあげ、国王ルイ14世へのロウソクも作り始めます。そしてベルサイユ宮殿へも。1687年には王妃マリー・テレスのおかかえ人にもなりました。その優れた品質を持つキャンドルはあっという間にフランス中に広がり、1762年には当時、科学・植物学者だったデュアメル・ドュ・モンソー(Duhamel du Monceau)によって彼らの才能が称賛されTRVDON一家の製品は更に世に広まることになるのです。
当時から変わらぬレシピのもと、昔ながらの道具を用い今もなお作り続けられているその高品質なキャンドル。他との違いを比べてみましょう。まずは何といっても成分はすべて天然植物100%ナチュラルであること。パルマオイル、稲、大豆、コプラ(ヤシ)。石油化学から起こる鉱物質やパラフィン、重金属や農薬なども一切含まれていません。全成分自然物で有害物質なし。ワックス(蝋)は石膏で濾過され、純度の高い真水で洗われること。よってワックスは真っ白に仕上がります。灯心(中央の芯)は100%コットンを使用し、細く品質の高いものを厳選。その為、燃焼にはムラがなくパチパチという音もしない静かな炎を灯します。と同時に揺らめきが少ない分、長時間火が灯り続けること。また、植物成分の為、吹き消した時に出る煙やススは黒くならず、独特な匂いもないのが特徴。消した後も悪臭に覆われる事なく自然から蒸留されたピュアな香りが部屋の中を包み込み続けます。
美しい緑色の入れ物のグラスはイタリア・ヴィンチ地方(Vinci)で作られている手吹きガラス。熟練された職人さんの手によって一つ一つ手作りされています。その為どれも形が微妙に違った不揃い。つまり世界で一つしかないこのグラスはTRVDONでのみの販売です。透かした時にガラス内に残る小さな気泡はまばらに広がり、同時に緑の色濃さが所々違うこと。光をかざせばその美しさも一目瞭然です。シックなシルエットはインテリアとしても最高。正面に飾られた金のTROVDONの紋章が美しさをプラス。
現在のコレクションは18種。毎年何種ずつかのペースでシリーズアップされるそうです。基本サイズは70~80時間燃焼(各50ユーロ)、又芯が3箇所ついた特大サイズも(300ユーロ)。贈り物に素敵なミニサイズが3個セット(各20~30時間)になったものもあります。(100ユーロ)店内奥スペースにテスターが並べられており、大きなガラス蓋がかけられて厳かに列をなしています。試したい場合は蓋をそっと上げてそのガラスの方の香りを嗅ぎます。とてもデリケートなものなので店員さんにお願いするのがいいかもしれません。コレクションはフランスの年代を追いその時代のイメージや歴史上人物をコンセプトに揃えられています。いくつかをご紹介。
「TRIANON」:王妃マリー・アントワネットが過ごしたベルサイユ宮殿の庭園内離宮「トリアノン」のオマージュ。農村のように作りあげられたという庭で彼女が収穫を楽しんだヒヤシンスにバラや白花、ハーブ、稲などのフローラルな香りと夏の夜を思わす植物と土の香りを表現。
「LA MARQUISE」:ルイ15世の妾であったポンパドゥール伯爵夫人をイメージしたもの。粋なロカイユ様式の享楽的な彼女の魅力の様に、柔らかく且つ快活に広がる香りにみたてたヴェルヴェンヌ、シトロン、白花やバラなどを配合。
「MANON」:花づな装飾を施した美しい女性のベット、シーツやタオル、洗濯の香りが漂う真っ白なリネン、洗ったばかりのタイルの床など、日常に感じる清潔感溢れる軽やかなハツラツとした香りをイメージしたもの。ラベンダー、オレンジなど。
「ERNESTO」:ハバナ島のホテルに滞在していたアーネスト・ヘミングウェイをイメージ。シガー、タバコ、革などが混ざり合う男性的な香り。又木部屋にある独特な板張りのロウの匂い、銃から放たれる野性的な香り。
「DADA」:1910年に起こった芸術思想運動・ダダイズムの時代を表現。芸術家達の陶酔と魅惑的な自由領域を切り開くべく知的な香りをイメージし、お茶、ミント、ユーカリが香る。
「ODEUR DE LUNE」:その名も「月の匂い」。現代アーティストPhilippe Parreno氏との初コラボーレション作品。月に浮かぶ宇宙船、金銀の点を結ぶ衛星、その神秘的な空気と空間が何とも言えぬ独特な香りでイメージされている。どちらかと言うと刺激的な鼻をつく香り。
「ROI SOLEIL」:太陽王ルイ14世をイメージ。ベルサイユ宮殿のギャラリーの広大なフローリング板、豪華な生活を思わせる王室やシャンデリアの蝋、床板の樹脂ヤニ、窓の外に溢れる太陽と緑の入り混じった植物的な香りが柑橘類の中に漂う感じ。
タイトル毎に当時を想像しながら楽しめるのも面白いです。キャンドルはどれも最初にふわっと立ち込める香りの次に、後から追いかけてくる香りが感じられます。火を灯せば又次の変化も楽しめる。どの香りも透明感があって、ナチュラルな香りが心地良い。鼻孔を通り、そのままコクリ、と飲みたくなるようなそんな自然の香りが漂います。又、ナポレオンの肖像が正面に飾られた教会用の太いキャンドル(Cierge Camee 15ユーロ~)は5色展開で、彫刻型のオブジェキャンドル(Les Bustes de Cire 50ユーロ~)などもあります。又、ロゴにもなっている巣の周りを飛び交う蜂のデザインは、TRVDON社が正しくルイ14世にも奉納していたことを表しています。蜜蜂達が女王蜂の為に巣を作り働くのと同じように、CIRE TRVDONも国王の為にキャンドルを納め続けたということ。その証がロゴになって刻まれています。
今も尚、発端となるべくパリのサン・ロッシュ教会にはCIRE TRVDONのキャンドルが絶えることなく灯り続けています。又ベルサイユ宮殿、フランス各地のノートルダム大聖堂や教会、星付きレストラン、ホテルなどへ作られておられます。又、エルメス、カルティエ、ディオール、ゲラン、ケンゾー、バカラ、フラゴナールなどのグランメゾンだけでなく、2006年には映画「マリー・アントワネット」にも提供。これからの季節、ノエルには贈り物にも最適、又自分の為にも是非楽しみたいものです。
癒しの炎、極上のキャンドル。香りが蘇らせるフランスの歴史、心を静めて楽しんでみてはいかがでしょうか。現実から離れた昔へタイムスリップできるかもしれませんね。
CIRE TRVDON【シール・トリュドン】
78 rue de Seine 75006 Paris
Tel : 01 43 26 46 50
営業時間 : 9 :00~19 :00
定休日 : 日
メトロ : 10番線Mabillon
CIRE TRVDONのサイト:http://www.ciretrudon.com
アトリエのサイト:http://www.cirier.com

















ピンバック: 年の瀬を灯すリュクスな炎 CIRE TRUDON | パリ発フランス情報ハヤクー::hayakoo
[...] した、フランス最古の歴史を誇る創業1643年、老舗シール(ワックス/キャンドル)メーカー「CIRE TRUDON」から新作が出ましたので年末に向けて...いつも楽しみにHPを拝見させていただいております。
カフェと雑貨屋を経営しております。
CIRE TRVDONのキャンドルや質素なアンティーク品、ヨーロッパの雑貨を充実させたいと思っております。
卸し価格の設定はございますでしょうか?
よろしくお願いいたします。