パリの東に広がるヴァンセンヌの森(Le Bois de Vincennes)は、天気の良い日などには、格好のパリ市民の憩いの場となっている。
その北端にあるのがヴァンセンヌ城。
そのドンジョン(主塔)が12年間にも及ぶ修復を終え、昨年5月より一般公開されている。
そこで、この城の歴史について少しふれておこう。
12世紀、カペー朝の王により、ヴァンセンヌの森に狩猟のための館が設けられたのが始まり。14世紀中頃から、ジャン2世王によって、ドンジョンの建設が始められ、その息子シャルル5世の時(1370年)に完成。その後、このドンジョンは、ぶ厚い城壁と、9つの塔を備えた要塞のような姿と化す。
その後、サント・シャペルの建設を始めて間もなく、このシャルル5世はこの世を去る。
ルイ14世も、1682年、ヴェルサイユ宮に移り住むまでは、しばしば、ここに滞在していたように、12~18世紀に掛けては、歴代の王族達が住居として好んで使用したようである。
王宮としての役目を失ったこの城は、フランス革命以後は大兵器庫として使用される。その頃、ナポレオン1世により、まわりの城壁の塔部分が水平に揃えられている。
では、早速見学を始めてみよう!メトロ1番線 シャトー・ドゥ・ヴァンセンヌ駅を出るとすぐの「村の塔」と呼ばれる厳めしい正面玄関から城の敷地内に入る。
まず、右手にあるチケット売り場で、パンフレットをもらい、ドンジョン見学のチケットを購入。
チケット売り場の目の前に広がる青い芝生地帯が、かってカペー王朝の館があった場所。これらは、17世紀以降、次第に解体されてしまい、現在では当時の噴水が残されているのみである。
さらに進んでいくと、すぐに敷地内の中心部にたどり着く。
ここから、目にするドンジョンの何とも厳めしい事!
ドンジョンの正面玄関を入る時、ふと脇を覗くと、このドンジョンが、城壁と深い堀で守られている事に気付くであろう。
かつては、この堀にも水が満たされていたのだそうだ。
さて、このドンジョンだが、全体の高さが50mにもおよび、中世のものとしては最も高いといわれている。各階とも、広い中央広間と、各角にある小塔の部屋からなっており、その中央広間の曲面天井は、どの階も1本の中心柱のみで支えられている。
まずは、ドンジョン内に入る前に小塔のテラスまで登ってみよう。
ここからは、サント・シャペルを正面にし、敷地内を一望する事が出来る。
ここでのポイントは2つある。
1つ目は、目の前にそびえるドンジョンの2,3階部分の窓辺に配された彫刻。「音楽を奏でる天使」や、「預言者」など興味深いものなので、よく目をこらして見よう!
2つ目は、このテラスより仰ぐ「カンパーニレ(鐘塔)」。フランス最初(1369年)の公共時鐘(時計)だそうだ。
歩道橋を渡りドンジョンへ。この橋、中世においては、ドンジョンへ渡ることが出来た唯一の通路であった。
渡ってすぐの大広間は、当時、公式の催し事や、閣議の場として使用されていたところである。曲面天井には、今日でも「板羽目」が残されている。
こちらでは、我々見学者の為に、「シャルル5世統治の歴史」のフィルムが映されている・・・・らしい。というのも、私が訪れた時には、待てど暮らせど、それらしきものが始まる気配すらなかったので。
ゆったりと幅を設けた階段を登ると、そこの大広間は「王の寝室」。
立派な暖炉や、かすかに残る天井に描かれた当時のモチーフや、色彩から、その頃の様子を伺う事が出来るであろう。
周りの小部屋も覗きながら、地上階まで降りる。
こちらには、建立当初の大きな井戸が残っている。
16世紀~19世紀にかけては、この場所(窓の柵や、独房の扉からも想像出来るよう)牢獄として使用されており、財務大臣フーケ、サド侯爵、ミラボーらが投獄されている。
ドンジョンを後にし、サント・シャペルを覗こう。1379年、シャルル5世が、パリ シテ島にあるサント・シャペルをモデルに建設を始めたもので、正面入り口のレリーフは、ゴシック・フランボワイヤン様式の傑作と言われている。
残念ながら、現在は修復中のため、教会内の見学は出来ない。
美しいアーケードを伴う回廊を潜ると、そこには、向かって右に「王の館」、左に「王妃の館」がシメトリーに姿を現す。こちらは、ルイ14世の要望で1654年に着手されたのもで、典型的な古典様式建築となっている。
その先にあるのが、「森の塔」。跳ね橋の玄関となっており、こちらから訪れる人々も少なくないようである。
一通り見学を終えてみると、自分がパリにいる事を忘れており、都会にいながら、何世紀もの時をタイムスリップしたような錯覚に陥っていた事に気付く。
あまりにも見近かすぎるのか、敷地内を通り過ぎる人々は多いのに、立ち止まって見学する人の数は数える程。
まさに観光の穴場である。
お城見学と、ピックニックを兼ねて、これからの気候の良い季節は、1日かけてヴァンセンヌを楽しんでほしい。
Château de Vincennes【ヴァンセンヌ城】
av de Paris 94300 Vincennes
アクセス : メトロ1番線 Château de Vincenne、RER A Vincennes
Tel : 01 48 08 31 20
開館時間 : 4月1日~9月30日10時~18時、週末10時15分~18時30分
3月、10月10時~17時、週末10時30分~17時30分
11月2日~2月29日10時~17時
閉館 : 1月1日、5月1日、11月1日、11月11日、12月25日
料金 : 7,50ユーロ、18歳~25歳4,80ユーロ、グループ(最低20名)5,70ユーロ、18歳以下無料
オーディオガイド : 4ユーロ、カップル(2人用)6ユーロ、グループ2ユーロ
www.monuments-nationaux.fr























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