今年でカンヌ映画祭も60回目を迎えた。それを記念して、2000年より映画祭の代表者であるジル・ジャコブGilles Jacobのイニシアティブで、この作品『Chacun son cinéma』が製作された。英語タイトルは『To Each His Own Cinema』。日本語にすると、「それぞれが、それぞれの映画」、といったような感じであろうか。25カ国より集まった一線の映画監督34人が、映画館というテーマの下で尺3分の短編を撮り、それらを集めたものである。カンヌでも上映され、DVDも発売されているが、この度映画館でも公開となった。
その豪華な顔ぶれに、それだけでクラクラしてしまいそうだ。詳しくは、下記囲み内をご参照にしていただきたい。33本(ダルデンヌ兄弟は二人だから、34人だけど33本なのだ)もあれば、33通りの映画館への思いがあるということ。そして33通りのスタイルがあるということ。3分の短編にも、それぞれ通常の長編のカラーがにじみ出ていて、「この作品は誰だ?」と想像しながら見るのもまた楽しい。当たると嬉しい。
映画を作る側と、見る側では勿論映画に対する見方は違う。しかし、現役で活躍する彼らももともと、見る側からスタートしているのである。多くの作品から、その「見る側」の視点が感じられるのが非常に興味深いところだ。やはり原動力となっているのは、映画館での原体験、そして映画への愛なのである。自らの家族と映画の関係を語るナンニ・モレッティやクロード・ルルーシュ、感動の涙を流す女性を描くアッバス・キアロスタミやダルデンヌ兄弟、映画館でよくある風景(?)を描くケン・ローチや侯孝賢、はたまた束の間の非現実的空間としての映画館を捉えたガス・ヴァン・サントやデヴィッド・リンチ…。こうして強引にくくるのが申し訳ないほど、それぞれの作品が強烈な印象を残す。
映画館を出るときには、私だったらこんな作品を撮りたいなぁ、というプランまでできあがりかけてしまうはず。企画者のジル・ジャコブ曰く、「60回記念といっても、ノスタルジックなものしはしたくなかった」とのことだ。映画を作る者、見る者、それぞれの思いが、映画に常に新しい生命を吹き込み続けているのである。
Chacun son cinéma【シャッカン・ソン・シネマ】
2007年フランス作品 118分
監督 : テオ・アンゲロプロス、オリヴィエ・アサヤス、ビレ・アウグスト、ジェーン・カンピオン、ユーセフ・シャヒーン、マイケル・チミノ、デヴィッド・クローネンバーグ、ダルデンヌ兄弟、マノエル・デ・オリヴェイラ、レイモン・ドパルドン、アトム・エゴワイヤン、アモス・ギタイ、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、陳凱歌(チェン・カイコー)、王家衛(ウォン・カーアイ)、アキ・カウリスマキ、アッバス・キアロスタミ、北野武、アンドレイ・コンチャロフスキー、クロード・ルルーシュ、ケン・ローチ、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)、ナンニ・モレッティ、ロマン・ポランスキー、ウォルター・サレス、ラウル・ルイス、エリア・スレイマン、ガス・ヴァン・サント、ラース・フォン・トリアー、張藝謀(チャン・イーモウ)、デヴィッド・リンチ













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