ビジター参加指向のアート施設 104

パリ市の巨大アートセンター、104(ソンキャトル)昨年10月にオープンしたパリ市の巨大アートセンター、104(ソンキャトル)。ちょっと辺鄙な19区の促進住宅街にできた、注目の文化スポットだ。3万9千平方メートルに及ぶスペースを保持するため、ガイドツアーまで企画されている。

広さに圧倒されるが、建築物自身も石造りにレンガのアクセントが入った古い建物を、素敵に改築されている。案内図を見ると厩舎なんてのもあるので、元はなんだったのかと、興味を掻き立てられる。

パリ市の巨大アートセンター、104(ソンキャトル)カトリック教会の教区によって1873年に建てられたこの建物には、国家と宗教の分立により、1905年にパリ市の葬儀課SMPFが設けられたのだ。当時、画期的とされた葬儀課。なぜなら、離婚した女性や自殺者に対して罪と見なし、教会では葬儀が行われなかったからだ。宗教に関わらず、全ての死者に葬儀を、というのがこの葬儀課なのだ。棺桶、霊柩車、運搬人、墓地を取り仕切り、繁栄期には年間2万7千人の葬儀が行われ、棺桶を製造する職人を始め、お針子、機械整備士、左官職人など1400人の従業員を抱えていた。建物の中には、葬儀の一環となる戸籍課はもちろん、食堂、美容院、寮なども完備。広大なスペースに広がる当時の人々の活動が想像される。1993年の法律で、市の葬儀事業の独占が終わり、SMPFは1997年に幕を閉じることになる。2006年から改装され、オープンしたスペースは白く磨きがかかった石の壁、アーチ型に大きく刳り貫かれた出入り口、そして鉄骨とガラスで自然光を最大限に取り入れたモダンな空間だ。

ここでは、アーチスト・レジデンスの形式で、美術に限らず、音楽、演劇など幅広い芸術分野の企画を募り、ここでプロジェクトが展開される。つまり、一般の展覧会やアトリエ開きとは異なり、企画が打ち出され、一定期間アーチストがここで制作過程を公開し、作品を発表する。そして、ワークショップなどを通してビジターがあらゆる形式で参加することに重点を置いている。

104のアトリエ・ル・バルトのランドスケープデザイナーのプロジェクト中央のホールでは庭作業ができる。というのも、アトリエ・ル・バルトのランドスケープデザイナー達の企画はピクニックで食べた野菜や果物の種を集めて、栽培をするということなのだ。子供達に植物の育て方を体験させるワークショップや大人には植物の写生会などを企画しながら、年間を通して庭作業を展開するという。

2008年のパリ市の芸術依頼にノミネートされたポール・コックスPaul COXは、『自分でやる展覧会Exposition à faire soi-même』。104の模型を設置し、横には積み木やら針金やら、いろんな形のカラフルなプラスチックプレート。ビジターがミニチュアの展覧会を開催という企みだ。もちろん、子供達も参加できるように、ミニチュア版104は高さ44cmのテーブルに設置されている。ミニ展覧会ができたら、写真を撮って、エキスポテック104 2.0.に投稿しよう!今日から、あなたもアーチストデビュー!?

ベルジェー&ベルジェーBerger&Bergerの『ジキル博士とミスター・マウス』遠くからもネオンが目立つのはベルジェー&ベルジェーBerger&Bergerの『ジキル博士とミスター・マウス』。“天国のような南の島は人工的なスペクタクル”というプロジェクトから生まれた最初のパビリオン。縦に並べられたネオンの真ん中に立つと、眩しさに目がくらむ。光が飽和する都会の夜のネオンの魅惑と自由。このスペースに足を踏み入れた瞬間、公共のスペースにおいて、名のない一人となる。そんな都会の日常の不安を想起させる作品だ。

30才を過ぎてからアートを学んだというアラン・ベルナルディニAlain Bernardini。高校に行った後、左官見習いから始まり、掃除、窓ガラス拭きといった職を経て、今日もサラリーマンをしながら、写真に取り組むベルナルディニ。そんな働く彼のテーマは、仕事とそれを取り巻く環境。意図的に働く人物を配置し、シャッターを切る。サラリーマンの日常を超え、会社に尽くすだけではなく、何か違うものが欲しい。休憩時間を利用して、勤務時間に行う行為を行う。そんな働くポーズが、働く環境を想起させるビニールシートにプリントされたポートレイト。

アラン・ベルナルディニの働くポーズの写真 ビジター参加指向のアート施設 104(ソンキャトル)

公式サイトでプログラムが告知されており、どのアトリエが見学でき、どんなアーチストに会えるのかが分かる。でも、ふらっと立ち寄れば、いつもどこかで何かが行われている。

その他、コンサートや舞台芸術が催されるシアターが2つ、そしてブティックのスペースもあるが、まだテナントを募っているようで、複合施設としてはまだまだ寂しい。年内には、カフェ、レストランのオープンが予定されている。まだ、オープンから時間も立っていないので、どのように充実して行くのか、今後の展開が楽しみだ。

CENTQUATRE【ソンキャトル】
104 rue d’Aubervilliers / 5 rue Curial75019 Paris
開館時間 : 11:00〜20:00、金土〜23:00
アトリエの公開 : 16:00〜18:00(月曜を除く)
メトロ : 7番線Crimée, 2、5、7番線Stalingrad
入場無料(ワークショップ、上映会などは別途入場料要)
http://www.104.fr/

by aki on 2009-03-07 [アート]

 

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