パンとバラの存在価値 bread & roses ブーランジュリー編

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bread & roses【ブレッド・アンド・ローズィズ】リュクサンブール公園の外周を取り巻く閑静な住宅街、6区。その中でも特にブルジョワ階級なエリアとも言われるギヌメール通り(rue Guynemer)側の出口からまっすぐ伸びるフルール通り(rue de Fleurus)。ちょうどマダム通り(rue Madame)と交差するその角地に、清潔感溢れるナチュラルなブーランジュリー・サロン、bread&rosesがあります。全てのものに拘り、全て選りすぐりのものをぎゅっと集めたこのサロンは、BIOの粉を使用したパンにイギリスの紅茶、イタリアのコーヒー、はたまたお惣菜は素材を重視した品質高き物ばかりを提供しており、コンフィチュールやワインなどの食材も購入できるという言わばセレクトサロン。イギリスやニューヨークのエッセンスも閉じ込められており、「ベーカリー&デリ・カフェ」と呼ぶ方がぴったりなのかもしれない。今や知らない人はいないぐらいその名は世界に広まり、毎日ひっきりなしに美味しい物好きの人々が集まる場所でもあります。テラス席も大人気で朝のプチデジュネ、遅めのブランチ、3時のティータイム。

bread & roses【ブレッド・アンド・ローズィズ】どの場面にも自然に溶け込んで人々の癒しを演出してくれています。ここを通りすぎる度いつも足を止めてしまう。それは、どのテーブルにも穏やかな時間が流れていることが見るだけで手に取るように感じられるから。ここに来るとほっとくつろげる、時が止まったような自分だけの一時を感じられる。その理由はbread&roses の想いがきちんと形となって存在している、その優しさと誠意が満たされているから。

オーナーのフィリップ・タイユールさん(Philippe TAILLEUR)。落ち着いた優しい物腰とその笑顔はこのbread&rosesの父なる存在であること間違いなしと思えるオーラが溢れています。かつて食品関係のマーケティングにつかれていたという彼は、マーケット経営もなされていたいわゆる「食」の最高品質を知り抜かれたお方。かつてこの場所はブーランジュリーとして違う方が経営されていたそうですが、つぶれることになった時にフィリップさんが買い取られたのだそう。「食」という部分ではブーランジュリーも同じ。ブーランジュリーだけでなく、美味しいものが溢れるサロンに展開。品質に拘り抜いて美味しいものを常に提供し、且つみんなが幸せになれるような癒しの空間であること。どれ一つをとってもキチンと美味しく立派に主張していること。彼のコンセプトは2004年3月8日に形となって誕生しました。

bread & roses【ブレッド・アンド・ローズィズ】イギリス映画監督のケン・ローチ(Ken Loach)の作品「bread&roses(2000年)」のタイトルから命名されたというこの店名。そのフィルムは移民労働者が人生に必要なものは何かを描いたもので、生きていく為の糧であり人生に必要不可欠なパン、と、絶対必要ではないものだけれど、心豊かに生きる為に添えるべくバラ。どちら一つだけあればいいというものではなく、人生には2つが互いに必要である、ということがストーリーに閉じ込められています。その思いをこのサロンに込めたフィリップさん。美味しいパンだけではいけない。美味しいパンには豊かな満たされた心も必要。それが空間。サービス。個々の品質。美味しいパンだからこそ、シンプルで質のいいサラダやお惣菜を合わせることでお互いの美味しさがよりわかりあえるものになる。人生もそういうものである、ということ。

バラを添えて期待を胸にオープンしたbread&roses。がしかし、オープン当初は2-3時間の列ができたかと思ったら、その後客足は途絶え、なかなかお客様にも満たされぬ日々が続いたのだそうです。それでも毎日根気強く仕事を続けていたとある日、海外からのジャーナリストの目にとまりその名は瞬く間に世界へ。そして今ではフランス人をも虜にするサロンになりました。ご近所の常連さんはもちろん、あちこちからその美味しさを求めて人々が集まります。特にお子さん連れのマダムの姿がよく見受けられるのも地元住民達に愛されている証拠。

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さて、みんなを虜にするその美味しいパンやお惣菜、ケーキとは?パンはBIOの粉を中心に現在20種に加えヴィエノワズリーの数々。シェフのディディエ(Didier)さんはオープン当初からbread&rosesを守っておられます。以前もBIOの組織で働いておられたという彼、ブルターニュのご出身で美味しいバターに関してもよくご存知。14歳からこの世界に入りBIOに関してはかなりの熟知者。朝は1:30にここに来て毎朝始動するというのです。好きでなければなかなか続けられぬ職業ですよね。次々にスタッフも出勤。研修中のレバタちゃんもここにきて3年というベテランさん。慣れた手つきで大きなパン生地に打ち粉を放ってガス抜き、分割して成形。女性とはいえど力のいるお仕事。お見事な作業です。隣スペースではパティスリーチームが。こちらは朝6時から始動とのこと。これまた美味しいケーキばかりなのです。窯から焼き上がったパン・ド・ミーが出てきました。ぱちぱちと音を立てながら芳香な香りがアトリエ一杯に放っています。我が子を見つめるかのように愛おしい眼差しで焼き上がったパンに目をやるディディエさん。愛情たっぷりのパン。こうやって毎日、何と16:30まで交代でパンを焼き続けているとのこと。だからここではいつも焼き立てのパンがサロンで食べられるのです。

アトリエにあったペトラン(パンこね機)は通常のフック型ではなく両脇からぐいぐいと中央に向かって底から持ち上げるような人の手の動きをしたもの。とっても高価なものなのだそうです。この練り方こそが美味しいパンの秘密なのです。特にブリオッシュの生地などはバターをタップリ練り込むことから、通常のこねでは摩擦熱によってバターが溶け出すことがあります。しかしこのように手の動きでこねれば摩擦熱が緩和し、よりしっかりこねあげるも、バターが溶け出さずに旨みを練り込むことができるのです。と同時に粉の風味も飛ばさずにしっかりキープ。だからこそ焼き上がったパンはふわっと粉の香りが漂い、バターの風味が豊かなしっとりしたものに仕上がるのです。そしてもう一つの秘密は水分配合。

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通常のパンよりも少し多めの75%の水分を配合すること。こうすることによってよりしっとりと仕上がり、切ったすぐそばから乾燥してカチカチになりにくいパンが出来上がるのだそうです。特にパン・ド・カンパーニュに関しては80%の水分を確保しているのだとか。そうすることで1週間はしっとりと美味しく保存できるよ、とディディエさん。柳の木で造られたパン籠で成形されていくカンパーニュ。1Fのサロンにどんどん焼き立てが並びます。

美味しさの秘密を知ったからには是非全部食べていただきたいディディエさんのパン。本当にどれもこれも美味しいのです。シリアルがたっぷり練りこまれたバゲット(Baguette aux céréales 1.6ユーロ)や甘いカラントレーズンが入ったフィセル(Stick aux céréales&raisins de Corinthe 2ユーロ)、キノア入りのパン(Pain au Quinoa 4.5ユーロ)や栗の粉を用いたクルミ入りのもの(Pain à la chataigne et noix 4.8ユーロ)。店内奥のカウンターにはホカホカのパンがびっしり並んでいます。レジ横に特別棚が設けられているのはご自慢のブリオッシュ(Brioche à l’ancienne 5.8ユーロ)。店名ロゴの焼印がついた木のバスケットにぷっくり膨れたブリオッシュ。ふわりといい香りがその場を包み込んでいます。密でしっとり柔らかい。それでいてふかっとした生地はあの手ごね式のマシンのお陰。毎朝8時には店頭に並ぶそうです。その他にもそば粉、ライ麦粉、トウモロコシの粉などに、天然酵母のイースト菌で焼き上げられるパン達。若干町場よりは高めだけれど、それだけ美味しさと拘りが詰まっていますから。

テイクアウトもいいけれど、できれば是非焼きたてをその場で味わっていただきたい。この日は朝一番で焼き上がったパン・ド・ミー(テイクアウトは6ユーロ/kg)を部厚くカットした一切れにバターとコンフィチュールが付いたGrand toast b&r beurre, confiture( 4.8ユーロ)をサロンにて朝食に頂きました。欲張ってメープルシロップを練りこんだFeuilleté canadien(2.8ユーロ、テイクアウトは2.2ユーロ)も。お紅茶はセイロンベースにルバーヴと苺、矢車草とひまわりの花びらで香りづけられたThé noir parfumé jaudin bleu(5.5ユーロ)。周りはザクザクと香ばしく、中はしっとりふわふわのパン・ド・ミー。こんがりトーストされたそれは粉の味わいがしっかり感じられ緻密な生地、何とも言えません。エシレバターをタップリ塗って贅沢プチデジュネ。コンフィチュールもとっても美味しく、後で店頭で買おうかな?と思ってしまう。

お紅茶はタップリ3杯分。すがすがしい朝に美味しいパンで朝食。贅沢でとても満たされた気分。店内は音楽もなく、とても静かで太陽の光が差し込めとっても気持ちいい。あえて音楽を流さないのは静けさの中の落ち着きとゆとり、そしてなごみを感じながら、フランスという国の朝8時の雰囲気と空気を感じてもらう為なのだそう。勿論12時、15時、それぞれの時間の空気を。
朝食やパンのみならず、お昼にはとっても素敵なランチが楽しめるのももう一つの楽しみ。3時のおやつのデザートも忘れてはいけません。
ということで、次回は店内で頂けるランチメニューをご紹介致しますのでお楽しみに。

美味しいパンとその香ばしい香りで埋め尽くされた店内。一輪のバラで飾られたテーブル。そんな一本のバラにふと目を落とす時間と心の安らぎ。生きていく上で必要なものとはそんな美味しい50%の糧と心を豊かにする50%のバラ。お互いの存在価値の重要性。共に必要なことと感じてもらえるサロン、bread&roses。ここにはフィリップさんの想いが沢山詰まっています。

bread & roses【ブレッド・アンド・ローズィズ】
7 rue de Fleurus 75006 Paris
Tel : 01 42 22 06 06
営業時間 : 9:00~20:00
定休日 : 日
メトロ : 12番線Rennes / Notre-Dame des Champs , 4番線Saint-Placide
http://www.breadandroses.fr/

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