サンジェルマンの老舗ブラッスリー Brasserie LIPP
レオナール・リップ(Léonard Lipp)により、1880年に創業された老舗ブラッスリー。サンジェルマン・デ・プレ教会のちょうど大通り向かいあります。その当時、文学関係者などが頻繁に通い、有名人も常連であったというリップ。かつて小説家ヘミングウェイ(Ernest Miller Hemingway 1899-1961)もパリ滞在中には通っており、彼の作品『移動祝祭日(A Moveable Feast, 1964年)』の中にも登場しています。又、フランス映画でも人気の作品、イヴ・モンタン(Yves montand 1921-1991)主演の『ギャルソン!(Garçon ! 1983年)』では、イヴ・モンタン演じる主人公アレックスが、ギャルソン(給士人)を勤めるブラッスリーの舞台となったのもここリップ。今も当時のまま、白く長いタブリエ(エプロン)に黒ベスト・蝶ネクタイという、クラッシックなギャルソン達の姿は昔の古き良きパリを映し出す、正に現代に残されるべく貴重なブラッスリーの姿であります。
木製の回転扉を押して中に入ると何ともノスタルジックな内装。テーブルはぎゅうぎゅうに並べられ、隣同士肩が触れ合う程の密着感。壁は美しい陶磁器タイル装飾、その隙間を埋めるようにガラスの壁が覆い、古めかしい様な懐かしい様な、老舗ブラッスリー!といった雰囲気。入口には常に案内係のムッシューがおられ、きちんと席まで誘導してくれます。テーブルを大きく引いて、やっと座れたソファー席はなんだかホッコリ。中央にはギャルソン達が作業するテーブル台が置かれ、出来あがった舌平目の料理を慣れた手つきで綺麗にほぐし、デクパージュ(découpage 取り分け作業)したり、パンを切ったりと大忙し。てきぱきと動くその姿は見惚れてしまうほどです。
ここではクラシックなブラッスリー料理が堪能できます。まずは前菜にこちらのスペシャル、『セルヴェラ・レムラード Cervelas Remoulade(8.5ユーロ)』と『サルディン・ミレジメス Sardines Millesimees(10.5ユーロ)』を。セルヴェラとはにんにく風味のするソーセージの一種でコロンとした形。にんにくが効いたマスタードマヨネーズ、レムラードソースがたっぷりかかってやってきます。サルディンは製造年号入りの品質が保証されたもの。缶のままサーブされ、目の前でお皿に移し出してくれます。肉厚のサルディンは身が柔らかく骨を殆ど感じません。クラッシックにバターをタップリつけながらいただきます。
メインはスペシャルの『シュークルート・リップ Choucroute Lipp Spécial au Jarret de Porc(19.9ユーロ)』と『ピエ・ド・ポー・ファルシ・グリエ Pied de Porc farci grillé(19.4ユーロ)』。ブラッスリーと言えばビール、には最高のお料理シュークルート。リップオリジナルのビールでというのもいいですが、キリっと冷えたアルザスのリースリング(4.9ユーロ)をグラスで注文。崩れる程柔らかく煮込まれたジャレ(豚の脛肉)は脂肪分が少なくゼラチン質がタップリ。骨付で豪快にのってます。数種類のソーセージも熱々に煮込まれ、ナイフを入れれば中から肉汁が出てきてとてもジューシー。酢漬けキャベツが口をサッパリさせ、その酸味が非常にいい余韻を残します。ほくほくのジャガイモも絡めてリースリングを口に含むと最高です。
『ピエ・ド・ポー』は豚の足の詰め物。 豚足料理です。こんがり焼けたパリパリの表面にナイフを入れると中からは濃厚な豚の旨みがトロッと出てきます。こちらもゼラチン質豊富な一品。マスタードをタップリ付けて頂くと尚一層美味しいですよ。
前菜もメインも全て各自に取分け皿が置かれ、お料理は別皿。食べたい分だけ目の前に取り出して頂くスタイルも古き良きパリのブラッスリーならでは。通いなれた昔の常連さんと思われるお客さんで一杯で、みんな慣れた手つきで頬張っていました。
デザートも、と思いたいところがここでお腹が一杯に。断念してしまいましたが、ご自慢の『ババ・オ・ラム Baba au Rhum(8.8ユーロ)』は何とも大きなブリオッシュがラム酒をしっかり吸いこんでプックリ膨れてお皿に乗っており、お腹に余裕があれば是非頂きたい一品。又ご近所でもある『ピエール・エルメのデザート Un Dessert de Pierre Hermé(12.7ユーロ)』も楽しめます。これからの季節はお勧めの『タルト・タタン Tarte Tatin(9.5ユーロ)』も捨てがたい。どのメニューもクラシックで、きちんと美味しい伝統の味。歴史の詰まったレシピは今も健在です。
お皿やナイフのあたる音、ギャルソンの叫ぶ声、人々の会話。そんな喧騒の中で頂くからこそ美味しさも倍増するブラッスリー。パリの老舗ならではの雰囲気はまた格別です。
Brasserie LIPP【ブラッスリー・リップ】
151 boulevard Saint-Germain 75006 Paris
Tel : 01 41 45 48 53 913
メトロ : 4番線 Saint-Germain-des-Prés
営業 : 11:00 – 2:00
定休日 : 無休
by junko on 2007-11-19 [普段着のレストラン]
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