以前、この hayakoo でもご紹介しました「Tamano Paris」を覚えておいででしょうか。
パリ3区の素敵なパッサージュ・モリエール内のアトリエ兼ブティックにて、一つ一つ愛情のこもったハンドメイドの靴を作っていらっしゃる永島珠野さん。彼女の作品には、目を見張るような美しさと、女性らしさが溢れます。
さて今回は、パリ12区のアトリエ・ドゥ・パリ(Atelier de Paris)にて開催され、大盛況の内に終了しました、その珠野さんのご師匠であるモーリス・アルヌ(Maurice ARNOULT)氏のエキスポジションのご報告です。
この6月23日で100歳を迎えられたモーリス氏。
今回のエキスポジションは、「職人としての彼の人生100年と、その作品の歴史」を振り返るというコンセプトのもと、職人として、又、人としてのモーリス氏を慕う生徒(弟子)さん達を中心にし、2005年設立された「アトリエ・ドゥ・モーリス・アルヌ協会」が主催するに到ったものです。
まずは、モーリス・アルヌ氏の100年を簡単にご紹介しましょう。
1908年6月23日、セーヌ・エ・マルヌ(Seine et Marne)にて生まれる。
病弱であったため、学校へ行く事もせず幼少時代を祖父母と過ごす。
1922年、14歳でパリはベルヴィルの知人の元へ見習いの様な扱いで送り出される。
当時、この地域は靴職人達の町でもあり、加えて多くの移民達が住を構える地でもあった。
辛く、長い見習い生活が始まるが、週末、近くのビストロで行われる無料の教育を進んで受け、ここで読み書きなどを学んだそうである。
1937年、仕事を始めて15年後、ベルヴィル通り83番地に居兼アトリエを構える。
以降、エレガントなパリジャン達や、有名人など、彼の靴に魅了された多くの顧客を抱えるようになる。時を同じくして、オートクチュールのショー用の靴も手掛けたりしたようである。
1990年頃になると、彼のうわさを聞きつけ、職人である彼の靴作りを学びたい!と、志ある生徒(弟子)達が集まりだす。現在、彼のテクニックを受け継ぎ、巣立っていった素晴らしい靴職人達は数知れない。
そして、2008年6月23日、100歳を迎えた。
展示場奥には、モーリス氏の顧客達の靴木型(ほんの1部に過ぎないでしょうが)が掛けられていたり、彼のメモ書き、トンカチや、ペンチなどの道具類の展示。
又、壁に沿う様、年代別に展示された彼の作品のエレガントさは、時が経とうとも変わる事が無いように見受けられます。
彼のアトリエでのドキュメンタリーフイルムも映されており、それを見ているだけで、素人の私にでも、手作りの靴というものがどれだけの手間隙と、愛情を注いで作られるものなのか、そして、この職がどれだけ高尚なものであるか、多少なりとも感じる事が出来たような気がしています。
展示場中央は、モーリス氏の生徒さん達の作品展示。1900年から今日までの年代を追って、その当時、その当時の靴のモードが再現されていました。
こちらは、1910年当時流行の花柄模様のビスチェとお揃いのブーツ。そして、グリーンのブーツ。(エロディ・ゴラール Elodie Gaulard 作)
1990年を代表しては、3点のブーツ。後部の赤いアクセントの白いブーツと、ボタンが着いたブーツ。(イザベル・シャリオッティ Isabelle Chiariotti 作) そして、手前のボタン2つのブーツ。(Tamano Nagashima 永島珠野作)
全てをご覧いただけないのが残念ですが、とても素晴らしい作品ばかりでした。
そして、最後にこの「淡いグリーンのサンダル」。こちらはモーリス氏が100歳を目前にし、このエクスポジションの為に仕上げたものなのだそうです。
現在、彼の靴を手にするのは不可能に近い事です。
しかし、それでも、このパリに最高の靴職人であるモーリス氏が、100歳になられた今日でも健在でいらっしゃる事を日本の皆さんにも知っていただきたく記事に致しました。
Maurice ARNOULT【モーリス・アルヌ】
83-85,rue de Belleville 75019 Paris
Atelier de Paris【アトリエ・ドゥ・パリ】
30 rue du Faubourg Saint-Antoine 75012 Paris
Tel : 01 44 23 83 56
メトロ : 1,5,8番線Bastille




















うさじろう said 6月に久々パリ行き決定。詳しい方にお聞きしました。 必ずいきます。