パリ20区発メッセージを込めたストリートアート Art Urbain
このHayakooがスタートした当初、一度皆さんにもご紹介したことがある、パリの再開発計画により取り壊し寸前の場所などに登場するメナジェや、ネモ、モスコ・エ・アソシエのストリートアート。多分、彼らの作品をどこかで目にされたことがある方もいらっしゃるのではなかろうか。
さて今回、改めて彼らの作品を紹介したエキスポジション「都市アート( Art Urbain )」が、パリ20区のパヴィリオン・カレ・ドゥ・バードゥアン(Pavillon Carré de Baudouin)にて開催中である。(彼らの功績に敬意の意を込めて、同区区役所が後援。)
期間は、この5月15日(金)~8月29日(土)まで。
20区を中心とした通りや,壁を彩る 「白い身体」のメナジェに、「黒いレインコートの男」のネモ、「動物」のモスコ・エ・アソシエ。それに加えて、写真家のジェラール・フォールの作品が展示されている。
ここで、簡単にこの4アーティストについて紹介しておこう。
ジェローム・メナジェ(Jerôme MESNAGER)。Ecole Boulle卒。1983年最初の「白い身体」を描き始めて以来、彼の作品は、取り壊されそうな建物などをキャンパスとし、その上にダイナミックに浮かび上がっている。”大いなる自由!”を求めるかのように跳躍する彼の作品。現在では中国の万里の長城など、海外の幾つかの都市でも彼の「白い身体」を目にする事が出来る。
ネモ(NEMO)。彼も、パリ20区をこよなく愛するアーティストの1人である。ネモが、型紙を用いたアートを始めたのは1980年初期。「黒いレインコートの男」が、パリ20区の通りに出現し出したのは、それより10年後のことである。彼の描く「黒いレインコートの男」には、頻繁に赤い傘や、風船が巧みなバランスを持って配される。ネモの世界は、夢やポエムの世界といっても過言ではないだろう。
モスコ・エ・アソシエ(Mosko et associés)。独自の画風と、数枚の型紙を用いる印刷技術をミックスさせ、廃墟化した建物や、通りなどに鮮やかな「動物」の姿を浮かび上がらせている。ミッシェル・アルマン(Michel ALLEMAND)と、ジェラール・ロー(Gérard LAUX)の二人が、合弁会社モスコ・エ・アソシエを設立したのが、1980年の終わり。最初に描いた彼らのの作品が、パリ18区のCite de la Moskowaの建物であった為、そこからモスコの名前を取ったのだという。グレー地のキャンパスに浮かび上がるトラ、シマウマ、キリンなどの快活さと、美しいカラー。彼らの型紙アートは哲学的でさえある。
最後にジェラール・フォール(Gérard FAURE)。移り変わりを余儀なくされているパリの風景や、建築物を撮り続けているカメラマン。1980年代 彼と同じ思いで活動する上記のストリートアーティスト達と必然的に出会う。彼らの作品を撮ったフォールの写真は、アーティストが主張を込めて描き上げたストリートアートと、そこに住む住民達との強い結びつきを物語っている。
館内に入ったならば、まずは突き当たりのシアターにてミニフイルムを見る事からお薦めしたい。(ミニシアター風で、ゆったりとした椅子が完備されている。)”La vie est belle”、”NEMO de Belleville”、”Peignez la Girafe”など、計5本のミニフイルム(各、約10分ずつ)がエンドレスで投影され、彼らの素顔や、作品製作の風景などが興味深く紹介されている。作品を鑑賞する前に、予備知識のつもりで目にしておきたい。
それでは鑑賞を始めよう。最初の展示は、それぞれのアーティストが今年(2009年)仕上げたばかりの大作3点。展示室の三壁面をそれぞれの作品が覆い隠す程のものである。
まずは、向かって右はメナジェ。青をベースにしたこの壮大な作品は「最後の審判(Le Jugement Dernier)」。世界の終わりに、再生したキリストがあらゆる死者を蘇らせ、改めて天国へ行く者と、地獄へ送られる者を振り分けるという、新約聖書「ヨハネの黙示録」に記述されている事柄がテーマとなっている。
正面は、ネモの作品「Double Carré」。グレーのキャンパス上に描かれる黒いレインコートの男に、馬、牛。そして、赤い傘に、風船はネモのポエムを展開している。
左は、壁面上にあたかも本物のように設えられたモスコ・エ・アソシエの作品「Bar des Amis」。閉められたカフェのブロック上に描かれたチーターや、カバ、そのカフェに続く塀の部分もリアル感に溢れている。
メナジェの描いた グレーと赤の扉を目にしながら階段を上り、1階の展示室へ移ろう。ここには、メナジェ、ネモ、モスコ・エ・アソシエの作品 計26点が展示されている。各アーティストの単独作品だけでなく、彼らが共同で仕上げ、それぞれのキャラクターが共存する作品も、”1粒で2度おいしい!”といった感じで多いに興味を引く。
ここで、目に付いた作品を幾つか挙げてみよう。まずは、階段途中にも展示されていた扉シリーズの内の1つである「Les Trois Portes Bleu 2006」、「La Ronde 1994」は、メナジェの作品。
ポエチックな「Démocratie 2008」、音符を追いかける「rue Ramponneau 1994」は、ネモ作品。
モスコ・エ・アソシエのものは、華やかな色調の「Zebres aux Fleurs 2008」と、3枚の連作となった「Tigre Funambule 2005」が特に印象深く感じられた。
隣の展示室には、ジェラール・フォールの写真13枚が壁を飾る。(地上階にも3枚の展示)
20区を中心に撮影された人間味溢れるこれらの写真。いつ取り壊されるか分からない建物と運命を共にする彼らのキャラクターや、今は既に姿を消してしまった彼らのアートの痕跡を語り続けていかのようである。
写真は「トゥールティーユ通り(rue Tourtille 1994)20区」のネモの作品と、「クリメ通り(rue de crimée)19区」のメナジェの作品が描かれたタバ。
日々続く再開発計画により、姿を消しては、新たに生まれてくる彼らのキャラクター達。もし何処かで見つけたならば、しっかりと目に焼き付けておいて欲しい。数年後には、跡形も無くなっているかもしれないのだから。
尚、時間にまだ余裕がある方には、パンフレット内にも紹介されている「3人のアーティストの作品を巡るモデルコース 20区」もお薦め。生の作品を楽しんでみて欲しい。
Art Urbain【アート・ウルバン】
会場 : Pavillon Carré de Baudouin, 121 rue de Ménilmontant 75020 Paris
アクセス : メトロ3番線Gambetta又はバス 26、96 Pyrénée Ménilmontant下車
Tel : 01 58 53 55 40
開催期間 : 5月15日(金)~8月29日(土)
開館時間 : 火曜~土曜日 11時~18時
入場 : 無料
www.mairie20.paris.fr
by chiharu on 2009-06-21 [アート]
この記事に対してコメント、またはトラックバックを送信できます。
トラックバックURL : http://www.hayakoo.com/art-urbain/trackback/





























コメント